『バルダーズ・ゲート3(Baldur’s Gate 3)』開発元のパブリッシング・チーフを務めるMichael Douse氏は11月12日、同作の売り上げの統計について、とある情報をXにて公開した。曰く、「バチカン市国で2本売れた」とのこと。
本作は、RPG『Baldur’s Gate』シリーズのナンバリング最新作だ。本作の舞台となるのはファンタジー世界「フォーゴトン・レルム」。プレイヤーはこの地を、仲間と共に自由度高く冒険することになる。ファンタジー・テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、D&D)の第5版ルールをベースとしており、TRPGのメカニクスをゲームに落とし込んだいわゆるCRPGとして展開されるゲームプレイが特徴だ。
そんな本作について、Larian Studiosのパブリッシング・チーフであるMichael Douse氏はX上でとある情報を公開している。同氏いわく、本作は「バチカン市国で2本売り上げた」とのこと。さらにバチカン市国内でのウィッシュリスト登録件数は1件であるという。Douse氏はこれについて、「ローマ教皇が暇になるのを待っているのだと思いたい」といった冗談を飛ばしている。
バチカン市国は敷地面積約0.44平方キロメートルのきわめて小さな国家である。国家としての側面のほか、カトリック教会の最高機関であり、ローマ教皇及びローマ教皇庁を総称した側面も持っている。バチカン市国が発表するところによると、バチカン市国の人口は2024年6月時点で880人。しかしその人口は聖職者だけでなく、バチカン市国を防衛するための教皇庁スイス衛兵も含まれるほか、人口の約30%は外交官などの業務のため国外に居住しているという。なお現在のローマ教皇もバチカン国籍を保有していることになる。
本作が「バチカン市国で購入された」という情報は、Steamアカウントに紐づけられている居住地域に基づいて確認されたものと思われる。Steamではアカウントごとに居住国や地域が設定されており、変更する場合は、実際に変更先の国で発行された支払方法を使用して購入を完了する必要がある。簡単には変更できないようになっているわけだ。なおエンドユーザー向けのSteam利用規約では、居住地を偽る目的でプロキシやVPNなどを利用したと判明した場合、アカウントBAN処置などがとられることも明記されている。そうして厳しく取り締まられているものの、居住地の変更そのものは不可能ではないため購入者の2人が本当に“バチカン市国に居住している”のかどうかは定かでない。しかし本作が実際に「バチカン市国で2本売れた」というのは面白い事実と言えるだろう。
ちなみにバチカン市国と直接的な関係はないものの、『D&D』は1980年代後半から1990年代の前半にかけて、一部のキリスト系宗教団体より、「悪魔崇拝」「薬物使用」に繋がるなどと道徳的な観点で批判を受けてきた経緯もある(関連ジャーナル)。そんな宗教的観点からの批判もかつて存在した『D&D』をベースとしている『バルダーズ・ゲート3』。本作がキリスト教最大の教派、カトリック教会の総本山たるバチカン市国の国民にプレイされているのであれば、どのように楽しまれているのかも気になるところだ。
『バルダーズ・ゲート3』はPC(Steam)/PS5向けに発売中。