Discord上でプレイできる農場シム『Farm Merge Valley』が日夜大盛況、中毒者続出。公式サーバーに20万人以上参加、常時300人以上がボイスチャンネルで黙々とマージ


デベロッパーのCoolGamesが2022年からFacebookなどのブラウザ向けに配信している農場ゲーム『Farm Merge Valley』。同作は今年8月に、Discordのアクティビティ向けにも配信を開始した。日本でも一部で話題を呼び、現在では公式サーバーに世界中から23万人以上が参加するほどの盛況となっている。

『Farm Merge Valley』は、一定時間放置するごとに生産される作物類を収穫したり、3つ以上の同一オブジェクトをマージしてリソースの価値を高めたりすることで農場の規模を拡張していく農場シミュレーションゲームだ。作物を植えられるスペースはかなりの広さが用意されていて、序盤は全体的にロックされている。農場レベルを上げていくごとに数タイルずつアンロックされていき、栽培できる作物の種類も増えていく。基本プレイ無料で、一部のリソースは課金することで多めに入手でき、ゲームの効率を上げられるようになっている。FacebookのようなSNSでプレイすることで、フレンドの農場を時折訪れてちょっとしたお手伝いをすることもでき、お手伝いしたプレイヤーにも報酬が発生する緩い協力システムもある。こういった仕組みは、かつてmixiで展開されていた『サンシャイン牧場』を彷彿とさせる。

本作がDiscordのアクティビティに導入されたのは今年8月のようだ。Discordには元々、ボイスチャンネルで起動することで協力・対戦ゲームをプレイできる「アクティビティ」という機能がある。ポーカーやチェス以外にも、ファストフード店の注文を捌く協力ゲーム『Chef Showdown』や、ピンボールの盤面のようなところでぶつかりあって点数を競う対戦ゲーム『Bobble Bash』などが存在している。YouTubeの動画を一緒に視聴する『Watch Together』もアクティビティのひとつだ。


昨年までアクティビティの種類が増える機会はそう多くはなかったが、今年3月から少し事情が変わった。自作のアプリケーションを誰でも使える新規アクティビティとしてDiscordに公開できる開発キットが配布されたためだ。これにより、誰でも自作ゲームなどをDiscord上に実装できるようになった(関連記事)。『Farm Merge Valley』も元々HTML5で作成されたブラウザ用のゲームだが、この開発キットを活用してDiscord版を公開したものと思われる。その後、YouTubeで配信者が視聴者と一緒に本作を遊んだり、SNSでその中毒性を話題にするプレイヤーが現れたりしたことで、日本のDiscordユーザーの間でもじわじわと話題になり始めた。筆者も、本作のためにボイスチャンネルにほぼ24時間にわたって入り浸るプレイヤーを複数見かけるようになった。

本作の公式Discordサーバーには、本稿執筆時点で23万人以上の登録者がいる。サーバーは、まさに本作を遊びたいDiscordユーザー向けに広く開放されており、「Quiet Playrooms(マイクが強制オフ)」「Sleeping Farmers(寝ている間も起動しているユーザー用)」「Language Channels(言語別)」など、分類された多数のボイスチャンネルが常時稼働している。自分で新規にボイスチャンネルを作成することも可能だ。稼働しているボイスチャンネルの数は常時40~50に上り、ボイスチャンネル参加者は常に合計300人以上を誇る盛況を見せている。


現在のDiscordでは、テキストチャンネルでもアクティビティを起動することが可能になっているため、ボイスチャンネルと別に本作を遊ぶためのテキストチャンネルも二つ用意されている。しかし、大多数は従来通りボイスチャンネルに集まっている。知らない人どうしで数十人集まって、無言で作物をマージしたり、黙々とお互いの農場を行き来しているさまはシュールかもしれない。


また、本稿執筆中にDiscord用のゲームサーバーがダウンした際には、一般テキストチャットチャンネルが「ついに寝るときが来たか」「みんなおやすみ」と語り合う英語の書き込みで溢れていた。いかに24時間体制のプレイヤーが多いかが窺える。本作は、ハロウィーンイベントを開催したり頻繁にアップデートを行ったりして、コンテンツの拡充を図っており、コミュニティは益々活発になっているようだ。

『Farm Merge Valley』はWebブラウザ(Facebook/CrazyGames/MSN)、Discordにて基本プレイ無料で配信中。