AI開発企業であるEtchedとDecartは11月1日、『Oasis』の無料デモ版をPC向けに無料公開した。開発元によると本作はAIによって生成されたゲームであるといい、SNS上で注目が集まっている。
『Oasis』はオープンワールド・サンドボックスゲームだ。Chromeブラウザ上でプレイでき、5分の時間制限付きで遊ぶことができる。本作では『マインクラフト』風の世界を舞台に、歩いたりブロックを壊したり、インベントリを開いてアイテムを使ったりすることが可能。一通りのアクションが実行可能であるが、視界を動かすと風景が一瞬で変わっていたり、あるいは立っているだけでもじわじわと世界が変形していったりなど、不安定な挙動も見受けられる。
開発会社の説明によると、本作は技術的には動画生成AIが元となっており、AIが1フレームずつ描画をおこなっているという。プレイヤーのキー入力をリアルタイムで認識し、逐次画面に反映させることで、操作可能なゲームのような体験を提供しているとのこと。また開発元公式Xアカウントのポストによると、『Oasis』を生成したAIは、OpenAIが提供しているオープンソースのデータセットに含まれる、『マインクラフト』のプレイ動画などを元にトレーニングしているという。本作が全体として『マインクラフト』風となっているのは、そうしたデータセットで学習したから、ということのようだ。
そんな本作は11月1日に公開され、広く話題を呼んでいる。本作を紹介する開発元のXのポストは本稿執筆時点で約2300万件のインプレッションに。また公開から約3日経った現時点で、ユニークユーザーの数は100万人を突破したとのこと。注目のほどがうかがえる。ただ寄せられている反応としては、賛否が入り混じっているようだ。待ち時間も少なく、リアルタイムで生成されているとは思えないと技術面を称賛する声が見られる一方で、挙動の不安定さなどを指摘する声も存在。また、『マインクラフト』のプレイ動画を学習して『マインクラフト』にそっくりなゲームを作るのは一種の“クローン製造”であり、新作ゲームの開発とは異なる話であるとする意見も寄せられている。
AI技術は近年急速に進歩しており、ゲーム開発において部分的に活用したり、あるいは生成AIをゲームシステムの中心に置くような作品も散見されるようになっている。そうしたなかで本作『Oasis』は、まるごとAIが生成したゲームとして注目が集まっているかたちだ。学習元とした『マインクラフト』にそっくりすぎるとして批判も寄せられているものの、開発元としてはあくまで技術的な可能性を示すデモとして公開しているとのことである。
『Oasis』の無料デモ版はPC(ブラウザ)向けに公開中だ。githubでは同作の縮小版のソースコードも公開されている。