『Elona 2』、広告映像に『UNDERTALE』のBGMとそらまふうらさかの曲を無断使用か。“著作権の扱い”への疑念深まる

香港昆磐文娛有限公司が配信中の『Elona 2』。同作の広告映像にて、『UNDERTALE』および、そらまふうらさかの曲が無断使用されているようだ。検証した。

香港昆磐文娛有限公司が配信中の『Elona 2』。同作の広告映像にて、『UNDERTALE』および、そらまふうらさかの曲が無断使用されているようだ。発表時にライセンスまわりで問題視されていた同作であるが、PRにおいても危うい展開を見せている。

『Elona 2』は、香港昆磐文娛有限公司がiOS/Android向けに配信中のRPGだ。開発は、『Elona モバイル』を制作したDigital Dogが担当。異世界ドット絵RPGと銘打たれており、ダンジョン探索や生活を勤しみながら冒険を進めていく。

本作は『Elona 2』と題されているが、『Elona』を開発した個人ゲーム開発者noa氏は関与しておらず、『Elona』の後継作ではない。香港昆磐文娛有限公司側は、契約に基づき正当な手続きで『Elona 2』と題していると主張しているものの、noa氏は『Elona 2』と冠することを断ったとコメントしている(関連記事)。『Elona モバイル』の続編に『Elona 2』をつけたことや、根本的に原作者と合意をとれないまま続編のようなタイトルをリリースしていることで、批判を受け続けている。そうした中で香港昆磐文娛有限公司は、『Elona モバイル』開発時にDigital Dogがnoa氏と交わしたとされる契約書を公開している。

そんな中、『Elona 2』のPR映像に他ゲームやアーティストの曲が無断使用されているのではないかとの報告があがっている。編集部が確認した同映像を、以下に掲載する:

このPR映像には主にふたつの曲が使われている。まず冒頭には、歌い手グループそらまふうらさかによる楽曲「ロールプレイングゲーム」が使用されている。ふたつめのサビが終わった間奏パートだ(2分50秒頃)。小気味いいリズムが特徴で、同楽曲のYouTube動画でも「リプレイ回数がもっとも多い部分」となっている。当該PR映像ではこのサウンドを少し音やテンポを上げて使用しているようだ。ドット絵キャラが動くカットなど含めて、ロールプレイングゲームの演出を模倣しているように見える。

また後半には、『UNDERTALE』のBGMであるBonetrousleが流れている。tobyfox氏が作曲した、パピルスのテーマともいえる人気曲だ。このBGMをバックに、『Elona 2』のゲームプレイ映像が流されている。

もちろん『Elona 2』運営者が、そらまふうらさか側やtobyfox側に許諾をとり楽曲をPR映像に使っている可能性もゼロではない。しかしそれぞれ人気楽曲にもかかわらず、PR上でそうした楽曲を利用している点のアピールは見られず、動画内に楽曲の出典表記などもない。それぞれひっそりと使用されている点を見るに、権利者に許諾を得たうえで使用されているのかどうか疑われるところだろう。

中国発のソーシャルゲームにおいて、広告にて無断に他社IPが侵害されるケースは少なくない。『ドット勇者』などでは幾度も繰り返されており、常習化している印象だ(関連記事)。今回の『Elona 2』の楽曲使用も、そうしたPR姿勢が背景としてあるかもしれない。また、前述したように『Elona 2』は現在、タイトル名に法的に正当性があるかどうかをめぐりユーザーから疑念も生じている状況にある。今回の件はタイトル名や契約書とは無関係ながら、『Elona 2』運営側のコンプライアンスへの疑いが深まる事例といえるだろう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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