Epic Games勝利の対Google裁判、ついに最終判決くだる。Google側は他社ストアアプリ解禁など制約がどっさり課されるも、即控訴


Epic Gamesが2020年にGoogleを提訴した裁判について、昨年12月の陪審員評決を経て、現地時間10月7日についに終局判決がくだされた。裁判所はGoogleに対し、Google Playでの他社アプリストアの配信を許可することなどを命じたという。一方でGoogleは控訴することを表明している。海外メディアThe Vergeが報じている。

今回の裁判の発端は、Epic Gamesが2020年にモバイル版『フォートナイト』に独自の決済手段を実装したことにある。規約上これを認めないGoogleは、Google Playストアから同作を削除。そしてEpic Gamesは、Googleが自社の決済手段(Google Play Billing)をメーカーに強制し、それによって30%の手数料を徴収していることを市場を独占する行為であると主張し、裁判を起こしていた。

そして米国カリフォルニア州サンフランシスコ連邦地裁にて昨年12月、陪審員評決にてEpic Gamesが勝利を収めた。陪審員は、Androidアプリの配信市場とアプリ内課金サービス市場において、Googleが反競争的な行為をおこなっていたとし、これによってEpic Gamesが損害を被ったことなどを認定。Googleによる反トラスト法(独占禁止法)違反を認める評決を、満場一致で下した(関連記事)。


その後裁判所により救済措置の検討が続けられてきたが、今回ついに終局判決に至ったようだ。The Vergeによると裁判所はGoogleに対し、Google Play上で他社のストアアプリの配信を許可するように命令。また以下の複数の措置も含めて、現地時間2024年11月1日から2027年11月1日にかけておこなうように命じているという:

  • Google Playで配信されるアプリに対してGoogle Play Billingを強制してはならない
  • Android向けアプリ開発者が、Google Play内でのほかの支払い方法をユーザーに紹介できるように許可
  • Android向けアプリ開発者が、Google Play以外の場所でアプリをダウンロードできるリンクをユーザーに紹介できるように許可
  • Android向けアプリ開発者が、Google Play Billingとは無関係のアプリ価格を独自に設定できるように許可

またGoogleは以下のような施策を禁じられたとのこと:

  • アプリによる収益を「Android向けアプリを配布する個人または団体」と共有すること。また、アプリストアやアプリプラットフォームの立ち上げを計画すること
  • Google Playでのアプリの独占あるいは時限独占での配信のために、開発者に金銭や特典を提供すること
  • 開発者に対し、競合ストアでアプリを配信しないように金銭または特典を提供すること
  • デバイスメーカーまたは通信事業者に対し、(端末に)Google Playを事前インストールさせるための金銭や特典を提供すること
  • デバイスメーカーまたは通信事業者に対し、競合ストアアプリを事前インストールさせないように金銭や特典を提供すること

つまり今回の判決では、Google Play上での他社のストアアプリの配信が許可されただけではなく、Google側が反競争的な施策を取れないようにさまざまな条件が課された格好だ。なおEpic Games側は「6年間」にわたるGoogle Playでの他社ストアアプリの解禁を求めていたものの、裁判所の判決では先述のとおり現地時間2024年11月1日から2027年11月1日までの3年間となった。Googleに過度な負担をかけずに競合他社の参入・成長を促し、公平な競争条件を整える意図があるとのことだ。


一方でGoogleは今回の判決に控訴したことを表明。命じられたような措置が、ユーザーのプライバシーおよびセキュリティを危険にさらすうえ、開発者のアプリ宣伝を困難にしてデバイス上での競争を阻害すると述べている。また米国のユーザー、開発者、デバイスメーカーに損害を与えうるさまざまな意図しない結果を引き起こすとの懸念を説明している。

控訴においては、GoogleがAppleと競合関係にある点などが示されるとのこと。またAndroidがオープンプラットフォームであり、Google Playが唯一アプリを入手できる手段ではないことも、控訴の根拠として主張されるそうだ。このほかGoogleは、Epic GamesとAppleとの裁判の判決についても言及しつつ(関連記事)、今回の終局判決への不服を示している。

ついに終局判決が下されたEpic GamesとGoogleの裁判。Google側に3年間にわたってさまざまな制約が課される判決となったものの、Googleは控訴したことを表明しており、今後の動向も注目されるところだろう。なおEpic Gamesは先日、Googleとサムスンに対して、新たな訴訟を提起(関連記事)。Galaxyなどサムスン製端末に標準採用されている「自動ブロッカー機能」がサードパーティー製アプリの導入を妨げているとして、同機能のデフォルト設定からの削除を求めていた。こちらの裁判の行方も注目される。