VTuberのIronmouseさん、Twitch史上最大のサブスク数「32万人」を記録。“サブスクマラソン”イベントで登録者を大きく伸ばす
主に英語圏にてVTuberとして活動するストリーマーのIronmouse氏は9月30日、配信サイトTwitchにおけるサブスクライブ(有料購読者)数が約32万人に達したことを発表した。これはTwitch歴代のサブスクライブ人数ランキングにおいて全世界1位となる記録である。Polygonなどが報じている。
Ironmouse氏はプエルトリコ出身のVTuberだ。2017年より配信サイトTwitchでのチャンネルを開設し、2020年からは米国に拠点を置くVTuberグループ「VShoujo」の創設メンバーとなっている。同氏はTwitchプロフィールなどでは自身を「Your cringe demon」と称しており、悪魔のような角が生えたピンク色の髪の外見が大きな特徴となっている。Twitchを主な舞台として配信活動をしており、配信内容は雑談やゲーム配信などがメイン。Twitchでのフォロワー数は本稿執筆時点で208.9万人を記録している。またYouTubeチャンネル上でも配信の切り抜きや、Ironmouse氏自身が手がけるシングル曲などがアップロードされており、登録者数は本稿執筆時点で115万人となっている。その独特な声や高い歌唱力が人気を集めているストリーマーだ。
そんな同氏のTwichサブスクライブ人数が、32万人を記録したという。Twitch統計サイトTwitch Trackerによると、これはTwitchにおける歴代サブスクライブ人数の全世界1位となっている。サブスクライブとはTwitchに用意されている機能のひとつで、視聴者は自分の好きな配信者に対してサブスクライブを購読することができる。購読者にはTwitchチャットで使える特別なスタンプのアンロックや、配信における広告のスキップなどの特典が用意。サブスクライブには3段階のティア(サブスクレベル)が存在するほか、購読者の居住地域などに応じて料金の変動もあるものの(ローカルサブスク価格設定)、配信者にも一定率還元され、配信者の収益となる側面もある。
Ironmouse氏は、そんなTwitchにおけるサブスクライブ登録者数の歴代記録を塗り替えた格好だ。ただ視聴者を集めるだけでなく、購読者として維持している点で驚異的な人気といえるだろう。なおランキングによると、歴代で2位となっているのはKai Cenat氏が2023年5月に樹立した約30万6000人という数字である。なおサブスクライブは基本的に月単位での契約となっており、そのアクティブな人数は変動することを留意されたい。
Ironmouse氏のサブスクライブ購読者数の増加には「Subathon」イベント大きく関係しているとみられる。Subathonとはサブスクライブ(Subscribe)とマラソン(Marathon)をかけあわせた言葉。サブスクライブやギフトなどのマイルストーンを達成することで、長時間のマラソンのように配信時間が延長していくイベントである。IronMouse氏は過去、2022年2月5日から3月7日までの計31日間でSubathonイベントを開催し、イベント終了時までに合計で約17万2000人の購読者を獲得した。そして2023年にもチャリティーイベントSubathonを開催、その際のサブスクライブ登録者数は約20万5000人に達したという。
ちなみTwitchでは8月30日から10月1日16時にかけて、「SUBtember」としてサブスクライブ額の割引キャンペーンもおこなわれていた。そうした施策も、今回のIronmouse氏のサブスクライブ購読者数を底上げしたかたちかもしれない。
そして本稿執筆時点の現在もSubathonイベントが開催中。本イベントは9月2日より開始されており、9月30日には一日で約5万のサブスクライブ購読者を獲得している。こうしたSubathonイベントの盛り上がりが、今回の記録樹立に繋がったのだろう。
32万人という購読者記録にはIronmouse氏の公式Xアカウントも反応を寄せ、達成を祝うツイートとして、コミュニティおよびファンへの感謝を述べている。2017年のチャンネル開設から約7年越しの記録達成に、Ironmouse氏本人や同氏ファンも喜びをあらわにし、祝いの言葉を寄せているようだ。
なお同氏がここまでの人気を得るにはさまざまな経緯があったという。IronMouse氏についてThe Washington Postが伝えるところによると、同氏はプロのオペラ歌手を目指していたものの、分類不能型免疫不全症(CVID)と呼ばれる免疫不全疾患を患っておりその夢を断念。寝たきりの状態を余儀なくされたこともあったという。さらに、その疾患のせいで感染症に非常にかかりやすいほか、人との接触を避ける必要もあった。そのためほとんど家にこもり切りの状態から「寂しくて何かしたい」という理由で、TwitchなどでVTuberとしての活動をはじめたという。なお、VTuberというスタイルで配信をはじめたことについて、同氏は初めて「バーチャルYouTuber」を自称したとされる日本のVTuber、キズナアイ氏の影響が大きいとも語っている。
なおTwitch Trackerによると、Ironmouse氏の最初のTwitchでの配信日は2018年8月15日。その当時の配信開始時の最大視聴者数は19人であった。そうしたスタートから長い期間をかけて、着実に人気を伸ばしていったかたち。そして長時間におよぶSubathonイベントにより注目度を高めていったことで、ついにTwitch史上最大のサブスクライブ購読者数記録を打ち立てた格好だ。
ちなみに同氏は過去に国内メディアPANORAのインタビューにて、VTuberとしての活動を通して、より良い医療設備で治療をおこなうことができるようになったことなどを明かしていた。VTuberとしての人気獲得は、生活・健康と配信活動の両立にも繋がったようだ。またチャリティ配信を通して、「Immune Deficiency Foundation(免疫不全財団)」などへの多額の寄付も実現できたとのこと。破竹の勢いを見せる同氏のこれからの活動にも期待したい。
Ironmouse氏はTwitchでライブ配信中のほか、YouTube、TikTok上でも活動中。
【UPDATE 2024/10/1 15:02】
サブスクライブ料金についての説明、およびSUBtemberについて加筆