『ライフ イズ ストレンジ』など手がけたDON’T NOD、「新作2本の売上絶不調」で開発中止プロジェクトも発生と報告。好評でも売上に繋がらない厳しさ
DON’T NODは現地時間9月23日、2024年上半期の業績について公式サイトで報告した。同社の報告によれば、直近でリリースした『Jusant』および『Banishers: Ghosts of New Eden』の売上が不調だったことを受け、設計段階にある2つのプロジェクトの開発を一時休止するという。海外メディアPC Gamerが報じている。
DON’T NODはフランス・パリに拠点を置くゲーム開発スタジオだ。同スタジオは『ライフ イズ ストレンジ』のナンバリングシリーズや『Vampyr』、『Tell Me Why』など物語重視の高評価作品をさまざま開発してきたことで知られる。また昨年12月には『ライフ イズ ストレンジ』の裏側を語るアドベンチャーゲーム『Lost Records: Bloom & Rage』を発表(関連記事)。同作は2部構成になるそうで、前半が2025年2月18日に、後半が3月18日にリリース予定だ。
今回そんなDON’T NODによっておこなわれた報告によれば、2024年上半期の営業収益は約1460万ユーロ(約23億4000万円)を記録。昨年上半期は1650万ユーロ(約26億4000万円)となっており、昨年比で約12%の減収となった。
この減収の要因のひとつとして、DON’T NODは『Jusant』と『Banishers: Ghosts of New Eden』(以下、Banishers)の売上が「予想を大きく下回った(performed well below expectations)」としている。
『Jusant』は2023年10月にリリース。「バラスト」と呼ばれる相棒とともに、ときにジャンプやロープを使ったアクションを駆使して塔を登るクライミングアクションが好評を博している。なお本作は発売日からPC/Xbox Game Pass向けにも提供されている。
また『Banishers』は2024年2月にリリースされたアクションRPG。亡霊となってしまったパートナーとともにアンデットなどと戦うこととなる。その中ではさまざまな選択をおこなうこともある。パートナーを救うために他者を犠牲にするか、魂を天に昇らせるか、というような選択によって劇的に変化するストーリーが特徴で、高い評価を獲得している。
両作品ともSteamユーザーレビューでは「非常に好評」ステータスを獲得。また各種メディアの評価も上々で、たとえばレビュー集積サイトMetacriticのメタスコアでは『Jusant』は85点、『Banishers』は78点と比較的高い点数を記録していた。
しかしながら、そうした高い評価を受けつつも、両作共に売り上げとしては伸び悩んでいたようだ。両作については、最終的には2400万ユーロ(約38億円)の評価損になる見込みとされている。とはいえ2024年上半期の販売収益は、昨年同時期の約60万ユーロから3倍ほどとなる、約185万ユーロ(約3億円)を記録したものの、『Vampyr』や『ライフ イズ ストレンジ』シリーズによるところが大きかったという。
こうした事態について、DON’T NODは短期および中期で高い収益率を達成することを目指し、進行中のプロジェクトの見直しなどもおこない、業績の向上を図るようだ。具体的には、2027年末までにリリース予定としていた2つのプロジェクトのうち、ひとつの開発を中止。またパリ本社にて設計段階にあるというプロジェクト2つを一時停止するとした。このことにより、現時点でもっとも成功する可能性の高いタイトルにリソースを集中させるという。
高評価を獲得したゲームを多数手がけてきたDON’T NODの新作として好評を得た『Jusant』および『Banishers』ながら、売上は想定を大幅に下回る結果となったようだ。実績あるスタジオであっても、新規IPをヒットさせる難しさが垣間見える。なお同社によれば事業を安定させるためとして、今回の決定以外にも早急に実施可能な別の選択肢も模索しているそうだ。また先述した『Lost Records: Bloom & Rage』は予定どおり開発が進められるとみられ、今後の作品のヒットによっては、一時停止されたプロジェクトが再開されることもあるかもしれない。