『マインクラフト』映画のトレイラーお披露目で、急に“『マインクラフト: ストーリーモード』”が褒められはじめる。「実写映画が思ってたのと違う」として株が上がる
『マインクラフト』を題材とする実写映画「マインクラフト/ザ・ムービー」のトレイラーが公開された。作品の出来への懸念も含めさまざまな反響があるなか、「『マインクラフト: ストーリーモード』に謝罪したい」という不思議な反応も寄せられている。
『マインクラフト』は、世界的な人気を誇るクラフトサンドボックスゲーム。プレイヤーはボクセルで構築された世界を探索し、素材を収集し、道具を作って行動の幅を広げていく。本作のプレイヤーキャラのスキン(見た目)はデフォルトでは2種類存在。水色の服を着た栗色髪のスキンと、緑の服を着た金髪のスキンが用意されている。水色の方のスキンはスティーブ(Steve)、緑の方はアレックス(Alex)と呼ばれている。とはいえ本作にはストーリーはなく、キャラクター設定も用意されていない。
渦巻く懸念
「マインクラフト/ザ・ムービー」は、そんな『マインクラフト』の実写映画だ。製作はLegendary Picturesなどが担当し、監督はコメディ映画「ナチョ・リブレ 覆面の神様」などを手がけたジャレッド・ヘス氏が務める。ストーリーは本稿執筆時点で明かされていないものの、謎のポータルから『マインクラフト』の世界に突然迷い込んだ4人が主役となるようだ。またトレイラーには貫禄のある姿をしたスティーブを名乗る人物も登場。「スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のクッパ役を務めた、ジャック・ブラック氏が演じている。
人気作『マインクラフト』の映画化だけあり、初公開されたトレイラーはかなり話題を博している。一方で、特に海外ユーザーを中心に“懸念”も見受けられる。たとえば英語版のワーナー公式YouTubeチャンネルに投稿されたトレイラーのコメント欄には、本稿執筆時点で約9万5000件ものコメントが殺到。「期待していたのと違う」「下げていたハードルをさらに下回った」といった厳しい意見もみられる。
批判意見を見るに、「現実から異世界に迷い込み、敵と戦いながら現実に戻る」といったありがちなストーリー展開が想起されることは、作品の出来への懸念の一因になっているようだ。“異世界迷い込み系”ではなく、『マインクラフト』の世界やキャラクターを活かしたストーリーを望んでいたといった声も見られる。先述のとおりどのようなストーリーになるかは明かされていないものの、作品の出来に不安を募らせるユーザーが続出している様子だ。
なぜか謝罪される『マインクラフト: ストーリーモード』
なおそうした中では「『マインクラフト: ストーリーモード』に謝りたい」といった奇妙な反応が散見される。『マインクラフト: ストーリーモード』(以下、ストーリーモード)は、2015年12月より「シーズン1」が配信されたポイント&クリック式のアドベンチャーゲームだ。同作の舞台となるのは『マインクラフト』の世界観を踏襲した世界。この世界ではかつてエンダードラゴンをthe Order of the Stone(石の騎士団)が撃退し、平和が訪れていた。一方、平穏に暮らしていた主人公ジェシーやその仲間たちは、世界に訪れた新たな危機に立ち向かうこととなる。本来ストーリーのない『マインクラフト』をベースにしつつ、独自の歴史をもつ世界でオリジナルキャラたちが織りなす物語が描かれるわけだ。
『ストーリーモード』を手がけたのはTelltale Games。ドラマ「ウォーキング・デッド」のゲーム「The Walking Dead」など、さまざまなIPを活用したADVゲームを手がけていたスタジオだ。そんな同スタジオが手がけた『ストーリーモード』でも、選択肢による分岐や世界観を活かしたストーリーなど、スタジオ作品の持ち味が発揮されていた。
ただTelltale Gamesは2018年10月に閉鎖。『ストーリーモード』は2017年に配信されたシーズン2が実質的に最後のシーズンとなり、作品のサポートも終了となった。ちなみに2019年には別の会社LCG EntertainmentがTelltale Gamesのブランドや作品の権利を買い取り、Telltale Gamesを名乗りつつ新たなゲームを手がけているものの、『マインクラフト』関連の新作は打ち出されていない(関連記事)。
“再評価”
『ストーリーモード』にはクラフトや建築といった『マインクラフト』ならではの要素も盛り込まれていたものの、基本のゲームプレイはポイント&クリック式のADVゲーム。ストーリー面は一定の評価を得つつも、本家『マインクラフト』とジャンルがガラリと違う点などから、ユーザー評価は伸び悩みを見せていたようだ。あくまで『マインクラフト』のゲームプレイをベースに、ストーリーを楽しみたいといった需要もあったのだろう。
一方で先述したとおり、今回の「マインクラフト/ザ・ムービー」のトレイラー公開に際しては、「『ストーリーモード』に謝りたい」といった反応が散見される。当時は『ストーリーモード』を批判的に見ていたユーザーからも、改めて『マインクラフト』の世界観をベースにしつつオリジナルストーリーが描かれていた点が評価されたのかもしれない。
とはいえ「マインクラフト/ザ・ムービー」は第1弾トレイラーが公開されたばかりであり、ストーリーについても詳細は不明。『ストーリーモード』とストーリーを比較するには気が早いだろう。いずれにせよ、映画版は羊の奇妙なデザインなどさまざまな点で良くも悪くも注目を集めている。続報も気になるところだ。
「マインクラフト/ザ・ムービー」は米国では2025年4月4日公開予定。国内向けには2025年内に公開される見込みだ。