人気パブリッシャーHumble Gamesのレイオフを受け、開発者にもショック広がる。「スタッフが凄く親切だった」と口々に感謝
パブリッシャーのHumble Gamesは7月24日、事業再編の実施を決定したとし、それに伴い従業員のレイオフ(一時解雇)をおこなったことを明らかにした(関連記事)。発表に先がけては同社が閉鎖されるのではないかと噂されていたが、Humble Gamesの声明では今後も運営が続けられることが示されている。
いずれにせよそうした知らせは同社と契約を結ぶデベロッパーにとっても初耳だったようで、驚きや懸念も寄せられている。海外メディアGamesRadar+が伝えている。
Humble Gamesは、アメリカに拠点を置くパブリッシャーだ。PCゲームストアを運営しバンドル販売やチャリティ活動で知られるHumble Bundleにより設立。現在は大手メディア企業Ziff Davisの傘下にあり、Humble GamesとHumble Bundleはそれぞれ独立して運営されている。そのため今回のHumble Gamesの事業再編も、Humble Bundleの事業には影響しないことが明確にされている。
Humble Gamesでは幅広い職種の従業員が解雇されたことが報告されており、一部では同社の閉鎖予定についても噂される状況にある。一方で同社は声明にて、インディーゲーム販売において現在厳しい経済状況にあるとしたうえで、取り扱いタイトルの開発者および進行中のプロジェクトを安定してサポートするため、事業再編を決断したと報告した。影響を受ける同社の元チームメンバーの支援についても言及。遠回しながら従業員のレイオフを実施したことを認めたものの、今後も運営を続けることも示されている。
とはいえHumble Gamesの事業再編やそれを取り巻く混乱は、パブリッシング契約を結んでいたデベロッパーにとっても寝耳に水だったようだ。関係者からは驚きのほか、Humble Gamesの担当者への深い感謝なども寄せられている。たとえばSFアクションADV『UNSIGHTED』の開発元Studio Pixel PunkのFernanda Dias氏は、スタッフがレイオフされたことをきわめて悲痛なニュース(incredibly heartbreaking news)だとしつつ、同作のパブリッシングに懸命に携わったスタッフへの感謝を綴っている。
また2Dソウルライクメトロイドヴァニア『Ghost Song』の開発者Matt White氏も、海外掲示版Redditや自身のXアカウントにて同作のパブリッシング時のことを振り返っている。同氏によればHumble Gamesのスタッフはパブリッシャーとしてこれ以上ないほど良い人たちばかりだったそうで、いつも親切にサポートしてくれたという。Humble Gamesと共に発売に向けて開発を進めた数年間は良い思い出だったとしつつ、いつかまた一緒に仕事をしたかったとして心境を伝えている。このほかSFサバイバルホラー『SIGNALIS』の開発元rose-engineのYuri Stern氏など複数のデベロッパーが口を揃えてHumble Gamesのスタッフの対応を称賛しており、今回のレイオフを受けて残念な想いを綴っている。
なおHumble Games側は今後も運営を続けることを示しているものの、同社がパブリッシングするタイトルの行く末を心配するデベロッパーもみられる。先述のStudio Pixel PunkのTiani Pixel氏は、『UNSIGHTED』の将来だけでなくHumble Gamesがパブリッシングするすべてのゲームにどのような影響があるのか心配だとコメントしている。
また7月17日にリリースされた『ボウと月夜の碧い花』の開発元Squid Shock Studiosは今後も同作の開発・サポートが継続されることを明言。一方で、今回のHumble Gamesのレイオフの影響を受けたというほかのスタジオに連絡をとっており、そのスタジオの作品のリリースに向けたサポートや支援を予定していると明かした。Humble Gamesからは今後発売予定のタイトルとして、『Wizard of Legend 2』や『Lost Skies』『Monaco 2』『Never Alone 2』などが発表済み。Squid Shock Studiosの声明を見るに、Humble Gamesにおけるレイオフや事業再編の影響でリリースが危ぶまれるタイトルもあるのかもしれない。
突如明らかになったHumble Gamesにおける事業再編やレイオフは、パブリッシング契約を結ぶデベロッパーにも知らされていなかった事態のようだ。同社は運営を続けることを示しているものの、一部デベロッパーからはすでに販売されている作品や今後のリリースされる作品の行く末が危ぶまれている様子もみられる。今後の動向も注目されるところだろう。