高評価物語づくりゲーム『Storyteller』開発者、「変な売れ方してる」と喜ぶ。“時間差売れ”のきっかけとは
ゲーム開発者のDaniel Benmergui氏は7月3日、自身が手がけたゲーム『Storyteller』の売上についてX(旧Twitter)上で報告した。本作は、TikTokなどが要因と見られる「奇妙な売れ方」を見せているという。
『Storyteller』は、プレイヤーが物語を紡ぐパズルゲームだ。本作ではまず、「悲劇を作れ」といったかたちで、構築するべきストーリーのお題が提示される。プレイヤーはそのお題に沿って、舞台と登場人物を配置。多彩なお話の組み合わせと登場人物のリアクションを楽しみつつ、お題通りの結末を作り上げるのだ。
本作は2023年3月24日にPC(Steam)およびNintendo Switch向けに発売。本稿執筆現在、Steamユーザーレビューにて約5500件中86%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。評価も人気も好調と見られる本作ながら、開発者はリリース当初、売上について悲観していたという。
『Storyteller』を手がけたBenmergui氏が、上述のポストにて本作リリース当初の見通しを述懐している。同氏によれば、発売直後の売上を見る限り、本作は「すぐ下火になって終わるだろう(it would just die out)」と思われたそうだ。しかし、リリースから時間が経ち、本作の売上グラフは奇妙な動きを見せたとのこと。結果として、現在本作は売上的にも成功した作品となったという。
Benmergui氏はその理由を、「TikTokでの露出」だと分析しているという。同氏によればTikTokでは本作が、広告を出したわけでもないのに、自然に話題となるような流れがあったそうだ。TikTokにて本作のタイトルを検索してみると、本作を取り扱う動画がしばしば人気となっている様子がわかる。
また、本作のSteam同時接続プレイヤー数を見てみると、昨年9月に最高記録となる1499人の同時接続者数を叩いていることがわかる(SteamDB)。リリース時(同時接続者数1493人)と同規模の盛り上がりが、リリースから約半年が経って発生したわけである。本作Steamユーザーレビューのグラフを確認してみても、発売半年後あたりからレビュー数がぐっと増えている傾向が見られる。
前述のような一連のデータは、「TikTokで話題になり売れた」との開発者の手応えを肯定している。本作はTwitchなどでもしばしば視聴者を集めているため、売上を支えたのがTikTokの影響のみかは断定しがたい。しかし、TikTokでの人気が本作の売上向上に寄与したこと自体は間違いないだろう。
なお、本作はかつてFlashにて作成されたプロトタイプ版も含め、約15年にわたる開発期間を経て生み出された作品だ。そうした長年の努力の結晶が、「すぐ下火」で終わらなかったことは幸いだろう。Benmergui氏の投稿に対しては、「本作が正当な評価を受けた」として同氏を祝うユーザーたちの声も寄せられている。
『Storyteller』は、PC(Steam)およびNintendo Switch向けに発売中。Steamでは現在、本作が34%オフの1320円(税込)で販売されている。セール期間は7月12日まで。