アトラス新作RPG『メタファー:リファンタジオ』開発者が本作に恋愛要素がない理由を明かす。今回はその方がリアルだから

『メタファー:リファンタジオ』では、ロマンス要素が実装されないことが明らかになっていた。その理由について本作ディレクター橋野桂氏が海外メディアGamesRadar+のインタビューにて明かしている。

アトラスから10月11日に発売すると発表された『メタファー:リファンタジオ』。本作では、ロマンス要素が実装されないことが明らかになっていた。その理由について本作ディレクター橋野桂氏が海外メディアGamesRadar+のインタビューにて明かしている。

『メタファー:リファンタジオ』は、アトラスのスタジオ・ゼロが手がけるRPG。スタジオ・ゼロは橋野桂氏を中心として、『ペルソナ3』以降の『ペルソナ』シリーズを開発してきたチームを中心として設立されたスタジオだ。本作の舞台となる王国では王族が暗殺され混迷に陥っており、歴史上前例のない「選挙魔法」が発動。どんな身分の者でも民衆の人気さえ集めれば次の王になれるという魔法であり、これを受けて世界は王位争奪戦に発展する。主人公もこの選挙戦に巻き込まれ、世界各地を巡ることになるという。


本作については、『ペルソナ』シリーズなどで登場している「コミュ」「コープ」などの要素のように、主人公が仲間との関係を深めることで、ロマンスに発展するかどうかを気にする声もあった。『メタファー:リファンタジオ』には「BOND」というシステムが存在。主人公の旅において出会う人々のなかには、支援者となってくれる「フォロワー」がいるのだ。その人物と関係を結び、絆を深めることで、主人公に新たな力「アーキタイプ」が覚醒する。これはキャラクターと関係を深めて力を覚醒、あるいは強化させる「コミュ」や「コープ」のシステムに近いものといえるだろう。

しかしながらアトラスは、「BOND」システムにおけるロマンス要素について、「恋愛関係に至ることはない」と明言。あくまで深い絆を結ぶことによるサブストーリーの発生を通じて、より深い物語体験ができるシステムだと、4月に公開された「メタファー:ストーカー倶楽部・ファイナル」にて 説明されていた。


こうして『メタファー:リファンタジオ』から恋愛要素が外された理由について、本作のディレクターを務める橋野氏が海外メディアGamesRadar+に詳しく語っている。橋野氏によれば、『ペルソナ』シリーズを通じて「恋愛要素が好きなプレイヤーが多く、人気もある」という状況をチーム全体で認識していたようだ。にもかかわらず、あえて本作には実装しなかったとのこと。

そもそも橋野氏が『ペルソナ』シリーズに恋愛要素を導入していた理由は「リアリティを出すため」だったという。「10代の若者たちが、日常を生きる」という作品コンセプトを踏まえて、若者の日常には、恋愛を含んでいる方が自然であると考え、恋愛要素を実装しているのだという。

ところが『メタファー:リファンタジオ』の主人公となるのは、若者ではあるものの、王位を狙う人物だ。若者の日常ではなく、王位争奪戦を軸とした話であるため、恋愛要素を盛り込まなかったようだ。主人公は、人々の人気を集める旅の中で、フォロワーと出会い、さまざまなことを学び、サポートされたり刺激を受けたりする。橋野氏は「恋愛より、そうした人間関係の方に重きを置いている」と語った。


さらに橋野氏によれば、チームがゲームを開発する際には、まず作品が「何を達成しようとしているのか」「どういうゲームなのか」を考えるところから始めるという。そして「どんなシステムが合っているか」を検討し、最終的に適していると思うシステムのみを取り入れると橋野氏は述べた。

『ペルソナ』シリーズの恋愛要素を好んでいたプレイヤーも多いなか、『メタファー:リファンタジオ』のストーリーや世界観においては、恋愛ではない人間関係をより深く描くのが適切と判断されたかたちだろう。人気要素だからと盛り込むのではなく、ゲームの方向性を最重視して要素を決めていくのは興味深い判断であり、スタジオ・ゼロの開発における方針が垣間見えたともいえるだろう。

メタファー:リファンタジオ』は、PC(Steam/Microsoft Store)/PS4/PS5/Xbox Series X|S 向けに10月11日に発売予定だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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