大流行のバナナ取引“ゲーム”『Banana』を受け、ネコ集めやバナナキュウリ集めなど類似作品が続々出現。それぞれ「業者」の影も見え混乱模様


Steamにて急激な人気の高まりを見せる『Banana』。同作の流行を受けてか、Steam上では類似作品もさっそく複数出現している。それぞれSteamDBで“不自然”なプレイヤー数の増減が見られるなど、やや混乱模様も見られる。

『Banana』は、バナナの画像をクリックするだけの基本プレイ無料ゲームだ。PC(Steam)向けに4月23日にリリースされた。本作では画像をクリックすることで表示されたカウントが増えていくが、それ以外は特に何も起こらない。実績は画像を1回クリックするだけで獲得可能だ。


ゲーム中にできることは画像をクリックするだけにもかかわらず本作は高い人気を博しており、その理由は“バナナの取引”にあるとみられる。本作では、3時間おきにゲーム内の画像をクリックすることによりレアリティ「Common」のバナナをひとつずつ獲得可能。そして18時間おきにゲーム内の画像をクリックすることでレアリティ「Rare」のバナナをひとつずつ獲得できる。なおバナナは装飾アイテムのようにゲーム内で利用することはできず、Steamのアイテムインベントリ上でコレクションや取引のみに用いる“概念”のような存在となっている。

さらに本作コミュニティでは期間限定で、ゲーム中に低確率で希少なバナナがドロップしたり、公式Discordサーバー上で希少なバナナが抽選プレゼントされたりといったイベントも実施されている。獲得したバナナはSteamのコミュニティマーケットにてSteamウォレットクレジットを用いて売買することが可能。SteamウォレットクレジットはSteamストアでの支払いに用いることもできるため、ゲームプレイではなく“投機目的”で本作はプレイされているようだ。

そんな本作の同時接続プレイヤー数は本稿執筆時点で最大約83万人を記録しており、非常に高い人気を博している(SteamDB)。また公式Discordサーバーのメンバー数は現時点で約8万2000人。サーバー内でもユーザー間のバナナの取引・交渉が盛んにおこなわれている様子もみられる。

『Banana』のコミュニティマーケット

そうした『Banana』の流行を受けてか、Steam上には類似作品が複数出現している。たとえば、これまで猫探しポイント&クリックゲームを多数手がけてきた100 Cozy Gamesは5月21日、『Cats』をリリース。またonline99なるパブリッシャーからは6月13日に『Banana & Cucumber』がリリースされた。それぞれ基本プレイ無料で、『Cats』ではバナナの画像の代わりに猫のイラストを、『Banana & Cucumber』ではバナナとキュウリを合成した画像をクリックするだけの内容だ。また『Banana』と同じくSteamのアイテムインベントリ上にアイテムが追加され、コミュニティマーケットにて取引できる点も同様となっている。

なおそもそも『Banana』も、KolbasinoGamesにより2024年2月にリリースされた『Egg』の類似作品といえる。『Banana』の開発者のひとりであるRobert Partyson(Steamユーザー名)氏も過去にSteamの本作フォーラムにて「『Banana』は『Egg』よりももっと酷い作りのゲーム(this is just a worse made egg game lol)」とコメント。『Banana』の開発者側も、『Egg』との類似点などは認識しているようだ。

『Egg』

いずれにせよ、Steamでは『Banana』の爆発的な人気に伴って、類似作品が出現している状況がある。また『Egg』や類似作品はそれぞれSteamDB上では、同時接続プレイヤー数が数万人を記録。取引可能なアイテムを求めて多数のアカウントが本作をプレイしているようだ。

ただし『Banana』を含め類似作品は、それぞれSteamDB上で確認できる同時接続プレイヤー数の推移を示すグラフが“不自然”な形状となっている点に留意したい。グラフでは数万人~数十万人規模のプレイヤーが定期的に急激な増減を繰り返して、小刻みに波打つような形を描いている。状況証拠しかないものの、取引可能なアイテムの収集目的で、Botなどを用いて複数のアカウントでそれぞれの作品がプレイされている可能性もあるわけだ。

Image Credit: SteamDB


4月にリリースされ、急激な人気の高まりを見せている『Banana』。類似作品が乱発され、“業者”の影も垣間見える状況があり、混乱が生じている側面はありそうだ。ゲームとして奇妙な形態をとっていることもあり、Steamを運営するValveがそうした作品にどのような見解をもっているのかは引き続き注目されるところだろう。