『VALORANT』新マップ「アビス」先行体験会感想。落下のリスクと奇襲への活用は表裏一体、機転と創造力が勝利のカギとなる

『VALORANT』の新マップ「アビス」のメディア向け先行体験会がおこなわれた。本稿では体験会などで確認できた内容に基づき、「アビス」について紹介する。

Riot Gamesは6月9日、『VALORANT』の新マップ「アビス」を公開した。「アビス」はマップの境界が存在しない本作初のマップであり、プレイヤーがユーティリティーと移動をより創造的に捉え直し、新たな活用方法を見出す余地に満ちた構造になっている。今回はメディア向けの先行体験会という形で、一足お先に新マップを体験してきた。本稿ではその内容についてお伝えする。


新マップ「アビス」のコンセプト

まずは「アビス」の構造について大まかに説明しよう。「アビス」はAサイト・Bサイトの2つのサイトをもっており、そのほか中央(ミッド)エリアが存在する、計3レーンのレイアウトとなっている。次の画像が「アビス」の全体図になる。

新マップ「アビス」のミニマップ

ほかのマップにはない「アビス」の特徴として、マップの境界がない点が挙げられるだろう。そもそも本マップの設定上の所在地はゲームのストーリーに登場する暗殺者集団「サイオンズ・オブ・アワーグラス」の秘密基地で、深い裂け目の奥に隠された土地の上に成り立っている。そのためか、マッチ開始前はマップの境界に「見えない壁」が存在するものの、マッチ開始後には壁がなくなりその外に出るとプレイヤーは落下死してしまう。

Aサイトには「ブリッジ」と呼ばれる落下注意ポイントがある

「アビス」の特徴としてもう1つ挙げられるのが、局所的に存在する「ジャンプショートカット」である。これはAサイトの防衛側、Bサイトの攻撃側、そして中央エリアに存在しており、プレイヤーはジャンプで移動をショートカットできる、というわけだ。

Aサイト防衛側には「シークレット」と呼ばれるジャンプショートカットがある
Bサイト攻撃側には「デンジャー」と呼ばれるジャンプショートカットがある
中央エリアのジャンプショートカット

先行体験で実際にマップを探索して、今回のマップは比較的広く、長距離の撃ち合いが多くなりそうだと感じた。また、高低差だけではなく先述した「ジャンプショートカット」もあって、移動系のアビリティーを活用できそうなポイントが多い。総じて、プレイヤーの機転と創造力が試される面白いコンセプトのマップとなっている。


VCT Shanghai Showmatch の様子

なお6月9日、中国の上海で開催された世界大会「VALORANT Champions Tour」にて、FINAL(決勝戦)の前に特別ショーマッチが開かれ、そこで初めて「アビス」での実際のマッチ映像が世界初公開された。ここでは、そのショーマッチで実際にあった創造的なプレイの一部を紹介したい。

試合はTeam CNとTeam INTLに分かれておこなわれた

1つ目の動画は Team INTL 側の Team Heretics のストリーマーでもある m1xwell 選手が見せたプレイ。Aサイト付近からマップ外に一度出たあと、オーメンのアビリティー「シュラウドステップ」で即座に復帰し、連続キルを達成。この見事なプレイに会場は大盛り上がり。実況および解説が「ゴージャス!」「まさにこのマップで見たかったプレイそのものだ!」と称賛する様子もみられた。


2つ目の動画は、攻撃側のチームがゲッコーのアビリティー「ウィングマン」でトリッキーなプラントを成功させたシーン。このマップでは、Bサイトのデンジャーを渡る手前からウィングマンでプラントをおこなうことができるのだ。ゲッコーをよく使用しているプレイヤーは是非とも覚えておきたいテクニックであろう。


最後に紹介するのは、このマップでの成功例と失敗例が同じラウンドで見られるリプレイである。Team INTL 側に参加している Masayoshi 選手が見せたプレイだ。彼はレイズを使い、Aサイトよりマップ外へジャンプしたのち、ブラストパックを使って見事復帰し、さらにもう一個のブラストパックで敵を翻弄しながらキルを達成。しかし、その後Aサイトのシークレットでジャンプをミスしてうっかり落下死してしまう。「アビス」において境界がないことを利用するリスクもうかがえるワンシーンだろう。


新マップ開発秘話

ちなみにそんな「アビス」について、『VALORANT』リードマップデザイナーの Joey Simas 氏が開発秘話も明かしている。同氏によると、「アビス」は開発初期のころ、落下死の要素をより一層強調したいと考え、もっと高低差のあるマップにする予定だったという。実際、落下死の要素以外もテストしていたそうで、一瞬で高所へ跳ね上がれる「ジャンプパッド」や、ノーダメージで着地できる「クラッシュパッド」なども導入することを検討していたようだ。最終的には不要だと判断され落下死以外の要素は削除されたものの、同氏はこれらの要素について「いつか日の目を見ることもあるかもしれません」と語っている。今後の新マップ開発の行く末にも注目したいところだ。

ちなみにここまでに言及したほかにも「アビス」にはさまざまな注目ポイントがみられた。以下にその一部を紹介しよう。

中央エリアからAサイト側へと通じる「換気通路」は2枚の壊れる扉が塞いでいる。扉は近接攻撃の左クリック2回もしくは右クリック1回で壊れる脆いものとなっている

中央トップには武器スキンのショーケースがある
Bリンクの様子。スキンシリーズ「ネプチューン」を思い出させる水槽がある
Bロビーの様子。スキンシリーズ「ガイアズ・ウェンジェンス」を思い出させる木がある


まとめ

以上が、先行体験会などで確認できる「アビス」についての情報となる。境界がなく落下の危険が常につきまとう緊張感や、高低差と長距離射程を活かした戦略が求められる本マップは、これまで以上にプレイヤーの機転と創造力が試される場となるだろう。今後のアップデートや大会での使用が楽しみだ。なお、新マップ「アビス」のリリース日は6月12日を予定している。

VALORANT』は、Riot GamesからPC向けに基本プレイ無料にて配信中。また本作はPS5/Xbox Series X|S向けにもリリース予定で、6月15日からはベータテストが開催される見込みだ。

Shinichiro Nakamura
Shinichiro Nakamura

シューターとRPGをこよなく愛するゲーマーです。シューターは『VALORANT』と『CS:GO』が特に大好きです。RPGは『ファイナルファンタジー』シリーズが好きです。

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