「最近のゲームのグラフィックすごい」として、キャラの“目元だけ”比較がネットミーム化。リアル系にローポリやドット絵ゲームが堂々と並び、シュールな比較続々

X上で、ゲームに登場するキャラクターの「目元」をまとめた画像がネットミーム化している。海外のインディーゲーム開発者などを中心として、話題となっているようだ。

X上で、ゲームに登場するキャラクターの「目元」をまとめた画像がネットミーム化している。海外のインディーゲーム開発者などを中心として、話題となっているようだ。

発端と思われるのは、中東およびアラブ地域のゲームメディア「GAMER SNACK」の創設者、PainkillerQ8氏の投稿。「どのゲームのグラフィックが一番いいと思う?(Which game has the best graphics?)」という質問とともに、『Horizon Forbidden West』『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』『The Last of Us Part I』『Senua’s Saga: Hellblade II』の登場人物の目元がクローズアップされた画像が添えられている。それぞれグラフィック面でも高い評価を受ける作品であり、目元だけで比べても甲乙つけがたい精細さといえる。

この投稿には多くの反応が集まっている。さらなる“ベストグラフィックゲーム”候補を挙げる声や、そもそも目元だけで良いグラフィックを比較することを疑問視する意見まで、さまざまな反応が寄せられた。ちなみに同氏の後日の投稿によれば、目元グラフィック比較は単なる質問とのことで、特定の作品を批評するような意図はなかったそうだ。ともあれこの投稿は本稿執筆時点で約3500リポスト、約4100いいねを獲得し、“ネットミーム”のような状況を引き起こしている。


というのも、この投稿を引用するかたちで、サバイバルホラーゲーム『Crow Country』を手がけるSFB Gamesの設立者のひとり、Tom Vian氏が投稿。同氏は「最近のゲームのグラフィックはとても見事だ(Graphics are so impressive these days)」というコメントとともに、1枚の画像を投稿。『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の部分を、自身が手がけた『Crow Country』の画像へと差し替えている。

いわゆるローポリゴン風のレトロなアートスタイルを採用している『Crow Country』は、高精細なグラフィックの3作に比べ、「リアルさ」という観点では大きな差があるだろう。最近のゲームながら懐かしいグラフィックという作品の特徴を活かし、自身のゲームを“オチ”として使ったようだ。


そんなTom氏の投稿がシュールだとして人気を博した様子。2DドットやPS1風といった、レトロなグラフィックのゲームを手がける開発者たちを中心として、このフォーマットが広く用いられ、ネットミーム化している。あるいは“オチ”として自分の作品を使うことにより、面白おかしく自作品を周知できるという意図もあるのかもしれない。多種多様なゲームで“グラフィック比較”がおこなわれている。以下にその一部を紹介しよう。


まずはピクセルアートにて展開されるゲームについて。山登りアクションゲーム『Celeste』や青春物語RPG『Fishbowl』の主人公などの画像が、それぞれの作品の開発者によって『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の部分に差し替えられている。特に『Celeste』の主人公マデリンは、アクションパートのドット絵では目や口が描かれていないため、もはや「目元」かどうかも怪しいシュールな比較だ。しかしながら「ピクセルが見えるほどグラフィックがすごい」「マデリンがこの中で一番リアルだ」などとするユーモアある“批評”などもおこなわれ、賑わっている。

またピクセルアートだけでなく、先述の『Crow Country』と同じく比較的ローポリゴンなスタイルの作品などを用いた画像も存在。ほかにも、「人間」に限定しない比較画像も相次いで投稿されている模様だ。たとえばカスタマイズメカ対戦アクション『Battlecore Robots』やコメディレーシングアクション『WHAT THE CAR?』の公式アカウントもこの流れにならって画像を投稿している。いずれもリアルな3作品と並ぶと違いやシュールさが際立つ印象で、写実的ではないグラフィックなのにあえて肩を並べようとする点がユーザーの笑いを誘っている様子だ。

この流れはゲーム開発者以外にも波及している。ユーザーの好みや、“布教”したいと思われる、ピクセルアートやローポリゴン、あるいはアニメ調などのアートワークで展開されるインディーゲームとの比較もおこなわれている。目元どアップ画像の比較ではその作品における主要人物が取り上げられることも多めで、その作品の“顔”と呼べる存在を周知、“布教”する機会にもなっているようだ。

いずれにせよ、目元どアップ画像比較は、グラフィックのギャップを楽しむムーブメントになっている様子だ。目元だけで“良いグラフィック”を比較しようとする当初の投稿への皮肉といえる点も、面白がられている一因かもしれない。比較画像からはシュールな面白さのほか、ゲームにおけるグラフィックやアートワークの多様性も感じられる。どういったゲームが目元どアップ画像比較に参戦しているか気になった人は、X上で「Graphics are so impressive these days」と検索してみてもいいだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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