都市開発シム『Cities: Skylines II』開発元、“圧倒的に不評”DLCの無料化・返金を表明。急ごしらえによる内容不足を謝罪、今後は本編改善に注力

『Cities: Skylines II』にて3月26日に配信されたDLC「Beach Properties」に向け、批判が殺到。開発元Colossal Orderが謝罪を投じ、今後の対応を伝えている。

Cities: Skylines II』にて3月26日に配信されたDLC「Beach Properties」に向け、価格に反するボリュームの少なさやかねてからの本編の状態などから批判が殺到。これを受けて開発元Colossal Orderが謝罪を投じ、同DLCを無料化し購入者に返金をおこなうと表明した。今後の開発姿勢をあらためることも伝えられている。

DLC「Beach Properties」


『Cities: Skylines II』は、高い評価を得た都市開発シミュレーションゲーム『Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン)』の続編だ。プレイヤーは居住区やインフラなどを整備し、さらに産業を活性化させながら街を一から建設。市民の生活や経済などが複雑にシミュレーションされ、それらのニーズや状況変化に対応しながら街を発展させていく。

本作は発売前に「目標とするベンチマークに達しないまま」リリースされることが告知されていた。結果として本作は最適化不足という課題を抱えたままPC版のみが発売されるかたちとなり、PS5/Xbox Series X|S発売は延期。PC版発売後にはパフォーマンス問題や不具合の報告が寄せられた。

その後アップデートを重ねつつ、一部改善も実施。また3月26日には、かねてより最優先事項とされ開発されていた公式Modエディターが実装された。同時にはあわせて本作初のアセットパックDLC「Beach Properties」が配信開始。新たな住宅バリエーションや樹木などを実装する内容であり、価格は税込1390円となっていた。

DLC「Beach Properties」


一方、DLC「Beach Properties」はSteamにて、本稿執筆時点でユーザーレビュー1366件中好評率が4%にとどまる「圧倒的に不評」ステータスとなっている。実装内容の品質自体には問題がないものの、価格に反してコンテンツが少なすぎるとして多くの批判が寄せられている。

こうした状況を受けて、本作公式フォーラム上に開発元Colossal Orderからの声明が投稿されることとなった。まずColossal Orderは、「Beach Properties」に向けてユーザーから多くの失望の声が寄せられていることを認識していると説明。コンテンツ不足なども指摘されている『Cities: Skylines II』の課題を解消するために同DLCは非現実的なスケジュールで急いで開発されたといい、リリースされるべきではない状態で発売されたとしている。そして『Cities: Skylines II』発売後も我慢強くサポートを続けてくれたユーザーを失望させてしまったとして、謝罪を綴った。

そのため今後の対応として、まず「Beach Properties」は販売価格が無料に変更されるとのこと。すでに購入したユーザーには、可能な限りの返金対応がおこなわれるという。なお本DLCは本作「Ultimate Edition」の対象DLCとなっている。Ultimate Editionはデジタルおよびパッケージ版で展開されていることもあり、同エディション所有者に「Beach Properties」に相当する金額を部分的に払い戻すには非常に複雑な手続きを要するという。そのためUltimate Edition所有者に向けて返金はおこなわれず、かわりに39.99ドル(約6000円)相当のDLCになる「Creator Pack」系DLC3種類およびラジオ局系DLC3種類を提供することで補填とするとのこと。

DLC「Beach Properties」


また声明では今後の開発計画も伝えられている。これからはゲーム本編とModエディターの改善に重点を置くといい、コミュニティとより深く関わりながら開発の優先順位を定めていくそうだ。そうした施策として、プレイヤーコミュニティの代表者からなる少人数のグループと開発元が開発計画について話し合う「advisory meeting」がおこなわれるという。そうした施策を踏まえて今後数か月間は無料アップデートに注力していくとのこと。

一方で2024年第4四半期に予定されていたDLC「Bridges & Ports」は2025年にリリース延期となる見込み。ただ先述した「Creator Pack」系DLCについては独自に開発が進められているそうで、ゲーム本編やModエディターの改善には影響しないとのことだ。

このほか2024年春にリリース延期となっていたコンソール版については、再延期となることも明らかとなった。4月に予定されている開発版で十分な進捗が認められれば、新たに10月を目標としてコンソール版の開発が進められていくとのこと。コンソール版の開発チームはPC版開発チームと別であり、それぞれ集中して取り組まれていくそうだ。

DLC「Beach Properties」


リリース当初の最適化不足のほかにもさまざまな課題を抱えている『Cities: Skylines II』。そうしたなかで発売されたDLC「Beach Properties」のボリュームの少なさには大きな批判が渦巻き、開発元が謝罪と共に無料化するという事態となった。今後はコミュニティとより深くかかわりながらDLCではなく本編やModエディターの改善を最優先で進めることが掲げられており、コミュニティからの信頼を取り戻せるかどうかが注目される。

『Cities: Skylines II』は、PC(Steam/Microsoft Store)向けに発売中。PC Game Pass向けにも提供されている。またPS5/Xbox Series X|S向けには10月のリリースを目途に開発が進められている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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