『ヘルダイバー2』、大成功したけど「開発チームは小さい」と赤裸々に明かされる。新要素開発と不具合修正を同じ人が担当するなど大忙し
Arrowhead Game Studiosが手がける『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』のアソシエイトコミュニティマネージャーを務めるSpitzerFX氏は、コミュニティに向けて本作の開発規模について言及。本作は大人気を獲得した割にチームの規模が小さく、「新要素の定期的な実装と不具合修正」の両立が難しい状況もあるという。海外メディアGamesRadar+が伝えている。
『HELLDIVERS 2』は、見下ろし視点型シューター『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。開発はArrowhead Game Studiosが手がけている。本作は最大4人でのオンライン協力プレイに対応し、PC版とPS5版の間でのクロスプレイもサポート。プレイヤーはエリート兵士ヘルダイバーとなり、宇宙生物のムシ(ターミニッド)や、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。
本作は2月8日にPC(Steam)/PS5向けに配信開始され、Steamではピーク時の同時接続プレイヤー数が45万8709人を記録する絶好調の船出を見せた(SteamDB)。開発元が想定外とする盛況ぶりから、一時サーバー問題も発生し対応されるほどであった。
また本作では基本的には新要素実装・バランス調整・不具合修正などをおこなうアップデートが毎週実施されているほか、毎月「プレミアムウォーボンド」が配信されるといった施策を用意。プレミアムウォーボンドとは、有償/無償で入手できるゲーム内通貨スーパークレジットにて購入するコンテンツだ。ウォーボンド内には武器やアーマー、装飾アイテムなどが含まれており、ゲーム内リソースであるメダルを消費して欲しいものをアンロック可能。本作のマネタイズであり、毎月新要素を実装する施策にもなっている。そうした新展開もあってか、本稿執筆時点でもSteamでは連日ピーク時には約10万~20万人が集まる人気を維持している(SteamDB)。
そんな本作のアソシエイトコミュニティマネージャーを務めるSpitzerFX氏がRedditスレッドに寄せたコメントに注目が集まっている。SpitzerFX氏が反応を示したのは、RedditユーザーがSpitzerFX氏の公式Discord内の発言を引用したスレッドだ。
引用された発言においてSpitzerFX氏は、本作のパッチノートにおける既知の問題(known issues)リストの不具合も、修正に向けて積極的に取り組まれていると説明。時間のかかる大規模な不具合やほかよりも優先順位の低い不具合が、既知の問題とされていることを示した。
というのも、本作では各パッチノートにて、修正された問題とは別に既知の問題が列挙されてきた。先日4月16日におこなわれたアップデートPATCH 01.000.203では既知の問題として、ゲームプレイに影響の小さい不具合のほか、フレンド登録やクロスプラットフォームプレイにかかわる不具合などが紹介。既知の問題として合計18項目が列挙されており、うち16項目は4月9日のアップデートPATCH 01.000.202でも既知の問題として示されていた。新たにふたつの不具合が加わったかたちだ。
SpitzerFX氏はそうした複数回のアップデートにわたって解消されない不具合が存在する理由を改めて説明したのだろう。また同氏は、そうした問題でも大型アップデート時にはほとんど修正されるはずだと伝えた。さらに同氏は、本作では月に1回「プレミアムウォーボンド」が配信される計画が維持されている点にも言及。SpitzerFX氏によれば、毎月プレミアムウォーボンドを準備しながら各アップデートに間に合うように大きな不具合を修正するのは困難だという。
そうしたSpitzerFX氏の発言の引用を見たユーザーからは、「そもそもプレミアムウォーボンドを毎月準備する計画に無理があるのではないか」といった反応も寄せられている。中には不具合修正を優先するために人員をもっと割くべきとの意見も存在。これに対しては、SpitzerFX氏が自ら反論を投じた。
SpitzerFX氏によると、Arrowhead Game Studios は本作の成功に比べると非常に小規模なチームだという。武器やアーマーの不具合を修正しているのと同じ担当者が、新たな武器やアーマーを開発しているとのこと。同氏は、毎月のプレミアムウォーボンド実装というペースの維持と不具合修正のどちらも重要ながら、(アップデート間に設けられた期間である)1週間にできる仕事は限られているとした。スタジオの規模からスタッフを増員することはできず、また運営方針から確認された不具合をすぐさま修正するのが難しい状況はあるようだ。
『HELLDIVERS 2』は、見下ろし視点型シューターであった前作『HELLDIVERS』からTPSにゲームシステムが大きく変化。幅広いユーザーが取っつきやすくなったことからか、先述のとおり開発元が想定する以上のロケットスタートを見せた。リリース当初はサーバー問題も発生し、チームはその対処に追われていたとみられる(関連記事)。
一方、並行して開発元は毎月のプレミアムウォーボンド向けの新要素開発や毎週のアップデートを継続してきた。サーバー問題への対応と新要素の開発もあるなかで、認識されつつも対処が後回しにされた不具合も存在したのだろう。現在では当初のサーバー問題は解消されたとみられるものの、予期せぬほどの大成功を収めた“しわ寄せ”として不具合修正が間に合っていない状況はあるのかもしれない。
今回SpitzerFX氏により、現状のスタジオ規模では定期的な新要素実装と不具合修正をすべてこなすのが困難であると正直に明かされたかたちだ。ちなみにArrowhead Game Studiosの求人ページによると、現時点での同スタジオの規模は約120名とのこと。たとえば運営型ゲームとして、Respawn Entertainmentの『Apex Legends』開発チームは400名以上とされている。ジャンルやゲームシステムは違うものの、運営型ゲーム開発元としてArrowhead Game Studiosは比較的規模が控えめといえるかもしれない。
大盛況のスタートから、2か月を経た『HELLDIVERS 2』。定期的なアップデートやプレミアムウォーボンドの実装を続けてきたこともあり、多数の同時接続プレイヤー数を維持している。一方で迅速な不具合修正を実現するには手が足りないといった状況もあるようで、今後どのように課題が解消されていくのかは注目される。