米任天堂、Nintendo Switchの海賊版ソフト起動に使われるツールへの“誘導”にも対処。「GitHubでリンク紹介してるだけ」は言い訳にならない
米任天堂は現地時間3月11日、GitHubに向けて、Nintendo Switchの海賊版ソフト動作に利用されるツールなどの削除を求めるDMCA(デジタル・ミレニアム著作権法)通告を送った。同通告により、約30件のリポジトリが削除されたようだ。Torrent Freakが伝えている。
今回、米任天堂の代理人がGitHubに削除を求めたのは、「Sigpatch Updater」と呼ばれる、改造Nintendo Switchにおいて違法コピーソフトを起動するためなどに用いられるツールだ。また、同様の目的をもつ別のツールらについても、同日にDMCAによる削除要請が送信されている。
「Sigpatch Updater」は、コピーされたNintendo Switchソフトの違法コピー対策技術を迂回する目的で使われる「SigPatch」の利用を補助するツールだ。代理人がGitHubに送ったDMCA通知によれば、同ツールを流通させることはDMCAに違反し、任天堂の所有する著作権を侵害しているという。GitHubでは27件のリポジトリが同ツールを流通させていたとのこと。ただし、それらのリポジトリではツール自体は配布されておらず、「ツールへのリンク」が案内されていたようだ。
というのも、「Sigpatch Updater」は2022年に、任天堂のDMCA通知によって削除されているのだ。代理人は今回のDMCA通知のなかで、「Sigpatch Updater」開発者であるiTotalJusticeなる人物について言及。iTotalJusticeが前回の通知後、任天堂からの措置を避けるために、第三者のウェブサイトを紹介するかたちで「Sigpatch Updater」を配布していると指摘した。代理人はこれもDMCAに抵触する「流通(Trafficking)」行為にあたるとして、今回また削除を求めたのだ。
今回、米任天堂代理人によって挙げられた一連のリポジトリは、現在ごく一部を除きいずれも404エラーかDMCAによる削除が実施されたとの表示になっている。「ツールのリンクを紹介しているだけ」という建前は、やはり通用しないようだ。
なお、米任天堂は今年2月、Nintendo Switchの非公式エミュレーター「yuzu」の開発元Tropic Hazeを提訴し、同エミュレーターの配布などの恒久的な差し止め、および損害賠償を求めていた。同訴訟はTropic Hazeがエミュレーター配布を停止し、米任天堂に対して賠償金を支払うなどの方針で決着となった(関連記事)。今回のGitHubに向けた働きかけも、そうした海賊版対策の動きの一環かもしれない。