ステージ破壊FPS『THE FINALS』開発チーム合同インタビュー。「競技性だけでなく楽しさも中心に」、シーズン1を終えた本作のこれからを訊いた
ネクソンは本日3月14日、Embark Studiosが手がけるチームシューター『THE FINALS』にてシーズン2を開幕する。新シーズンに際して、開発者に直接本作のアップデートについて尋ねられる機会をいただいたので、本稿ではその模様をお届けしよう。
『THE FINALS』は、バーチャル空間での賞金争奪番組をテーマにしたチーム対戦FPSだ。基本ルールでは、撃ち合いを重ねて金庫からキャッシュを奪い合い、最初に指定額まで運び込めたチームの勝利である。作中では、ゲームタイトルでもある「THE FINALS」という番組がマルチコなる組織により運営。架空の企業がスポンサーに付いているといった演出も用意されている。
今回、質問に答えてくれたのは、Embark Studiosから共同設立者/エグゼクティブ・プロデューサーのRob Runesson(ロブ・ルネソン)氏、コミュニケーション・ディレクターのSven Grundberg(スヴェン・グランドバーグ)氏、クリエイティブ・ディレクターのGustav Tilleby(グスタフ・ティレビー)氏の三名だ。
── シーズン2で「THE FINALS」が「CNS」にハックされるという設定にした理由は何でしょうか?
開発チーム:
まず、CNSという組織の背景を説明しましょう。彼らはゲームの最初期の段階から設定に存在していました。この世界には「THE FINALS」と、CNSという2つの派閥があります。
CNSのメッセージはデイワントレーラーから今までに発表されたあらゆるビデオの中に巧妙に隠されていて、実はまだ見つかっていないものもあります。興味がある人はもっとくまなく探してみると、今後のアップデートのヒントになるかもしれません。
CNSは通常の「THE FINALS」とは違うゲームを作りたいという野望がありまして、その結果がシーズン2の新マップ「SYS$ HORIZON」に現れているのかもしれませんね。ちなみに彼らのデザインやビジュアルは、ハッカーというより8bitゲームのイメージが強いんです。これは僕らが初めてゲームに触れた時の感覚を思い出して作っています。今の時代のゲームよりずっとシンプルだった頃の、ゲーム本来の純粋な楽しさをお届けしたかったという思いがありますね。
── CNSという名称は何の略でしょうか。名称にした理由は?
開発チーム:
まだ内緒です!ただ、彼らのイメージがどこから来たかというと、80年代か90年代のヨーロッパには「デモシーン」というサブカルチャーがあったんです。DreamHack(GAMES・MUSIC・BYOC・EXPO・ACTIVITIESの5分野からなる大型のアミューズメントイベント)の元ネタですね。
学校の食堂とかに若者が集まって、ピクセルアートとか音楽とかゲームとかを作っていて、なんとゲーム会社が作ったゲームをハッキングして交換するようなヤツもいました。その時の空気感を出したかったんですよ。我々もその頃に出会って、ここまで一緒にやってきたので。
── 何故CNSは「THE FINALS」をハッキングしたんですか?
開発チーム:
今後のシーズンにもまたがる話なので全部は話せません。ゲーム内の設定の話ですが、元々この『THE FINALS』が始まった頃は、もっと違うゲームだったんです。しかし、現在の運営会社であるマルチコが手を加えたことで今の形になっており、CNSはそれをハックして本来の姿に戻したいと考えているんですよ。マルチコは利益とかスポンサーを意識していて、最初の理念を忘れているんです。
── シーズン1までを振り返って開発者の皆様はどう感じましたか?
開発チーム:
プレイヤーからの反応はほとんどポジティブで、特にローンチの反響は思ったより大きかったです。我々がゲーム業界に携わってきたこの20年間で、一番多くのユーザーからの愛が集まっていたかもしれません。この話をしているだけで感動が込み上げてきます。この仕事をしていると、ゲーマーからのフィードバックがキツいと感じる時もありますが、このゲームに関してはあまりそういうことがなく、嬉しいところですね。
実はEmbark Studiosも、ゲームは「楽しい」ことが一番だと信じているという点で、ゲーム内の組織であるCNSと同じなんです。開発チームは『THE FINALS』のことを思い描くままに創造ができる“サンドボックス(砂場)”のように考えてますから、ゲーム自体を変えていくという点を意識して、プレイヤーたちの声を聴きながら、良いところを強化して悪いところを直していきたいです。
── これからのシーズンではどんなアップデートを考えていますか?
開発チーム:
シーズン2でも隔週程度のアップデートのペースはキープします。新しいコンテンツやイベントもいっぱい用意していますよ。本当は言いたいことがいっぱいあるけど、言えないこともたくさんあります(笑)もちろん、新コンテンツによって変化したバランスについても、状況にあわせて調整していくつもりです。
── シーズン1から2になって、大きく変わったメタ(環境)についてどのような考えに基づいて調整していますか?
開発チーム:
ユーザーからのフィードバックをもとに調整しています。シーズン1のプレイヤーの動きを見てると、開発側でも驚きはたくさんありました。それらをもとに戦略のバラエティを増やすにはどうしたらいいかを考えたんです。
ゲームの基本戦略として、完全に決まったプレイスタイルを勉強するのではなく、自分の好きなプレイスタイルを見つけるほうが楽しいはずで、このゲームではそれが持ち味でもありますし。よって、今回のライトビルドみたいにスキル、あるいはガジェットが入れ替えになることはあるでしょうし、消えたスキルやガジェットが将来戻ってくるかもしれません。
── 新マップ「SYS$HORIZON」はどういうところにこだわりましたか?
開発チーム:
このマップは、普通のマップがロードされている途中でフリーズしたという設定なんです。形が変でレトロっぽいのはそういうことです。シーズン1に出てきたマップ4つからのグレイテスト・ヒッツ(長所の寄せ集め)を目指しました。またこのゲームは仮想空間という設定なので、さまざまな発想が詰め込まれていますよ。開発者としてマップをデザインする際は楽しかったし、ゲームプレイ自体も楽しいものでした。マップの元ネタはまだ教えられませんが(笑)
── 新モードについてですが、実装後も継続的にアップデートされる予定でしょうか。また、好評だった場合はパワーシフトをランクマッチに実装する可能性もありますか?
開発チーム:
まだわかりません。プレイヤーのフィードバックを見てからですね。皆が楽しんでるなら拡大しますし、そうでなければモード自体を作り直したり、なくしたりもします。
── 今回体験したパワーシフトはモナコでしたが、ラスベガスなどのほかのマップも遊べますか?
開発チーム:
できれば、すべてのゲームモードにすべてのマップを実装したいですが、メカニクスによっては向いてないかもしれません……。試してみなければ何とも言えませんね。まずはモナコでのパワーシフトをお楽しみください。
── 読者に向けたメッセージをお願いします。
開発チーム:
シーズン2には愛とパッションを込めたので是非とも皆さんに遊んでほしいです。『THE FINALS』は開発チームにとっての“サンドボックス”なので、今後も大きく変わるかもしれないという可能性を感じてほしいですね。ゲームは楽しいがすべてなので、楽しんでくれればいいんです。FPSは競技性も大事ですが、やっぱり楽しいを中心に設計しているので。
── ありがとうございました。
以上、開発者に向けたインタビューの内容をお届けした。弊誌では先行プレイにて確認できた内容を伝える記事も掲載予定。興味のある人はそちらもチェックしてみてほしい。
『THE FINALS』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S/GeForce NOW向けに、基本プレイ無料で配信中だ。