『ヘルダイバー2』開発者、武器弱体化の批判殺到に“煽り返し”、火に油を注ぐ事態になり謝罪。大ヒットゆえの、コミュニティとの関わりの難しさ

『HELLDIVERS 2』にて3月6日に配信されたアップデートでは、人気武装が弱体化、公式Discordサーバーではユーザーの批判が殺到。ある開発者が調整方針を説明しつつ「煽り返す」ように返答したため物議を醸し、開発元CEO・Johan Pilestedt氏が声明を公開する事態となった。

HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』にて3月6日に配信されたアップデートでは、人気武装の弱体化が実施された。このことを受けて公式Discordサーバーではユーザーの批判が殺到。ある開発者がユーザーへの返答として調整方針を説明しつつも「煽り返す」ような表現を用いたことが大きな物議を醸している。

本件について開発元Arrowhead Game StudiosのCEO・Johan Pilestedt氏は声明を公開。そうした発言について問題視しており、再発防止に努めることなどを伝えている。海外メディアPCGamerなどが報じている。


『ヘルダイバー2』は、2015年に発売された『HELLDIVERS』の続編で、最大4人でのオンライン協力プレイに対応するTPSだ。開発はArrowhead Game Studiosが手がけている。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5。なお本作は、PC版とPS5版でのクロスプレイに対応している。

プレイヤーはエリート兵士ヘルダイバーとなり、銀河に平和と自由と管理民主主義を広める任務を遂行。故郷スーパーアースの安全を脅かすエイリアンとの戦いに挑む。チームで相乗効果を得られる装備を選び、各ミッションへの戦略を立て、目標を共に達成するのだ。プレイヤーには数多くの強力な武器が用意され、ロードアウトをカスタマイズ可能。そして任務を通して得たリソースで、プレイヤーの宇宙船をアップグレードでき、強力な武装を入手できる。


本作は3月6日にアップデート「Minor Patch 01.000.100」が配信された。ミッションや武器のバランス調整などがおこなわれており、火炎放射器やレーザーキャノンが強化された一方で、人気武器「ブレイカー」や戦略支援武器「レールガン」などが弱体化。この調整についてユーザーからさまざまな反応が寄せられた一方、調整意図が詳しく解説された開発者ブログも公開。ユーザーのもつ弱体化への懸念について認識しているとしつつも、武器の持ち味を重視して損なわないようにしているといった開発方針が示されていた(関連記事)。


今回物議を醸したのは、本作の公式Discordサーバーにおける開発者やモデレーターの発言だ。サーバーにはArrowhead Game Studiosのスタッフが数十名参加しており、プレイヤー同士の交流のほかにも、開発者とのやり取りや意見、要望を伝える場としても用いられている。そこでは人気武器であったブレイカーの弱体化について、バランスが優先され武器の面白さが損なわれてしまう、という懸念などに基づいた不満も寄せられていたようだ。

そうした流れがあるなか、本作の公式Discordサーバーにて、一部の開発者などによってコメントが投稿された。先述したように数多く存在する武器の持ち味を失わないようにする調整方針が提示されていたなかで弱体化に対する多種多様な批判が集まっていたこともあり、再度方針を説明し、混乱を鎮める意図もあったのだろう。

なかでも開発者のFredrik Eriksson氏は、今回のアップデートでは武器が使い物にならなくなるほどの弱体化をおこなっておらず、ほかの武器と性能を揃えたと説明。また本作が発売からまだ1か月程しか経っておらず、今後抜本的な変更をおこなう前に、ゲームを当初開発チームが意図していたとおりの状態にしたいとの方針を述べた。一方で同氏は、プレイヤーの遊び方がもっと把握できれば、変更される可能性があるとも示唆。フィードバックに基づき多様なアプローチをおこなっていく姿勢も示した。


しかしながら、その投稿内においては過激な発言も含まれていた。「I’m feeding the rage a little for my own entertainment here(個人的に楽しむために、ちょっとユーザーの怒りを煽っているんだ)」と冒頭に述べたり、ブレイカーやレールガンの強さを「the most brainless playstyles(もっとも頭からっぽなプレイスタイル)」と形容したりしていた。後述するように、同氏はこうした表現をプレイヤーとの“じゃれあい”を目的としていたと述べている。一方でこれらの発言は、かねてより不満を抱いていた一部のユーザーにとって火に油を注ぐ結果となったようだ。

これを受けてFredrik氏は、今回のコメントについて“荒らし(trolling)”への反応として行き過ぎた発言だったと謝罪。「プレイヤーたちとじゃれあおうと思ったが、自分が開発者であり、対等な立場ではないことに気づいた」と説明。同氏としては、開発元に寄せられる強い批判に対し、対等な関係だと考えて少し煽り返すような意図もあったのかもしれない。いずれにせよ同氏は発言について謝罪し、今後コミュニティと関わらないと表明した。しかし一部ユーザーの怒りは根強く、Redditの本作コミュニティなどでも多くの不満や批判が引き続き渦巻く結果となった。また同サーバーではあるモデレーターも「(弱体化を受けて)みんなが泣いているのを見るのはとても楽しい」との発言を投じ、こちらも波紋を広げている

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こうして過熱するReddit上でのユーザー批判に対し、開発元Arrowhead Game StudiosのCEO・Johan Pilestedt氏が直接コメント。一連の事態をすでに認識しており、「開発者に組織を代表する方法を教育するため、内部で措置を講じている」とスタジオとしても一連の発言を問題視し、再発防止に取り組んでいることを表明した。別の声明では、開発者がコミュニティに積極的に関わる方針がある一方で、現状では激論や難しいコミュニケーションのリスクに晒されている点にも言及。スタジオではそうした状況の改善にも取り組まれているという。

またPilestedt氏は問題となったコメントはひどく許しがたい内容であり、Arrowhead Game Studiosが支持するメッセージではないとも明言。「常にできる限り楽しい体験とコミュニティになるように取り組んでいる」とのスタジオ方針を述べた。そして武器の調整を含むバランスパッチ対してのユーザーからのフィードバックについて、スタジオ内で現在重要なトピックとして話し合われていることも伝えられている。さまざまな反応も踏まえて、調整は進められていくのだろう。

本作は開発元が想定する以上のヒットを記録し、発売直後にはサーバー問題も続いていた。一方で2月25日には同時接続プレイヤー数の上限が緩和されるなど、サーバー問題もようやく解消傾向となった。そうしてゲームプレイのバランス調整が本格的に開始された矢先に、人気武器の弱体化を巡る混乱が生じているかたちだ。大規模なコミュニティとの関わり方の難しさも垣間見える事例だろう。

なお本作は発売後1か月足らずであり、今後もゲームバランスを含むさまざまな課題への対処がおこなわれていくとみられる。開発元がユーザーの声をどのように受け止め、バランス調整が進められていくのかが注目される。

『HELLDIVERS 2』は、PC(Steam)/PS5向けに配信中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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