『ヘルダイバー2』開発元、「人気武器弱体化」の理由を丁寧に解説。弱体化はするけど“不安”もわかる

Arrowhead Game Studiosは3月6日、『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』にてアップデートを実施し、人気武装の弱体化をおこなった。本日3月7日、スタジオの公式サイトにて開発者ブログが公開され、調整の背景が細やかに明かされている。

Arrowhead Game Studiosは3月6日、『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』に向けてアップデート「Minor Patch 01.000.100」を配信開始。バランス調整では、武器「ブレイカー」や戦略支援「シールドパック」などが弱体化されることになった。そして本日3月7日、スタジオの公式サイトにて開発者ブログが公開され、今回のアップデートで実施されたバランス調整の背景が細やかに明かされている。


『HELLDIVERS 2』は、2015年発売の見下ろしシューター『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。開発はArrowhead Game Studiosが手がけている。本作は最大4人でのオンライン協力プレイに対応し、PC版とPS5版の間でのクロスプレイもサポート。プレイヤーはエリート兵士ヘルダイバーとなり、宇宙生物のムシや、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。

本作に向けて3月6日にアップデート「Minor Patch 01.000.100」が配信開始。バランス調整では一部武器が強化された傍らで、武器/支援武器である「ブレイカー」や「レールガン」、戦略支援装備の「シールドパック」が弱体化された。そして今回、Arrowhead Game Studiosの公式サイトにて開発者ブログが公開。本作の製品テスト責任者(Head of Product Testing)を務めるPatrik Lasota氏により、こうしたバランス調整の意図が詳細に解説されている。ちなみに同氏の役職では具体的には、ユーザーからのフィードバックの検討やバランス調整の責任を負っているそうだ。


『HELLDIVERS 2』の開発方針

Lasota氏はまず、ゲームバランスや調整方針について寄せられているユーザー意見について言及。同氏によると「(プレイヤーの武装を)弱体化をせず、強化だけしてほしい」といった意見は数多く寄せられているという。同氏はゲームデザインという観点でそうした意見は良くないアイデアだと述べつつも、プレイヤーたちが「弱体化してほしくない」と考える理由もわかるとしている。

Lasota氏はプレイヤーの懸念の背景として、さまざまなゲームにおいて、バランス調整のために武器を使う際の楽しさ・気持ち良さや武器がもつ“イメージ(fantasy)”がないがしろにされがちであると指摘。プレイヤーたちの弱体化への懸念は、そうした調整方針によって、武器の持ち味が台無しになることから生じているのだろうとの見解を伝えている。本作の開発チームとしては、武器の持ち味を損なわないように慎重な調整を重視しているとのこと。それでももし一線を越えてしまったときには、フィードバックを受けて改善する方針もあるという。


またLasota氏は、本作のメイン武器の調整方針についても説明。ユーザーからは本作のメイン武器について、通常の状態では十分な威力や弾薬がないため、すべての敵には対処することができない点を問題視する声も寄せられているという。同氏によればこれは意図的なバランスだそうで、あらゆる敵に対処するためには、自分およびチームの戦略支援に頼らざるを得ないバランスが想定されているとのこと。メイン武器だけで戦闘を幅広くこなせるバランスは、開発側による本来の想定とは異なるようだ。


人気武器弱体化の狙い

そうした開発方針を紹介したうえでLasota氏は、今回調整をおこなった武装について、調整意図を詳細に解説。たとえばブレイカーは1マガジンあたりの総ダメージ量がほかの武器と比べてかなり高くなっていたという。このため、マガジンの装弾数を減らし、反動の増加という弱体化が実施。ダメージを据え置きにしてパワフルなオートマチックショットガンという武器のイメージを保ちつつ、残弾数と反動を考慮した運用が必要になる調整がくわえられたそうだ。

レールガンの従来の性能については、ほかの対装甲支援武器に比べて圧倒的に高いと判断されたという。リロード用のバックパックを装備した味方による補助などのリスクがないにもかかわらず、非常に安全かつ便利に運用できる性能となっていたとされている。このため安全モードの装甲貫通力が低下し、さらに敵の弱点以外の部位へのダメージも減少。爆発のリスクを伴う限界突破モードをタイミングよく使ったり、弱点部位を狙ったりする必要性がもたらされたかたちだ。なおほかの対装甲支援武器の利便性や効率が悪いことがレールガンの人気に繋がっていた点も認識されているそうで、今後の動向を受けてさらなる調整もおこなわれる見込みだという。


またシールドパックについては、従来は本作の持ち味でもある戦場のさまざまな危険を無視できてしまうような性能であり、実質的に“必須”装備のような扱われ方であったとされている。そのため、シールドが減少した状態から再生し始めるまでにかかる時間を大幅に増やしたそうだ。つまり少し減少したシールドを隠れて再生させてからふたたび戦いに戻るといった安全策が取りにくくなったかたちだ。シールドが壊れてから再生させた方が手っ取り早いような調整になっているとのこと。

今回の開発者ブログではこのほか、強化を受けた武装についても調整意図が紹介された。それぞれ開発チームがもつ武器のイメージに加えて、プレイヤーからのフィードバックに基づいて調整がおこなわれているそうだ。たとえばレーザーキャノンでは、プレイヤーの要望を反映して装甲貫通力を高めているという。なおレーザーキャノンを含め、今回調整を受けた武装には、今後もユーザー反応を見ながら調整が予定されているものもあるようだ。


本作は発売直後プレイヤーが殺到する高い人気を見せ、サーバー問題やログインに関する不具合も続出。開発元が同時接続プレイヤー数を制限するなど、問題の対応に専念されていた。一方で2月25日には同時接続プレイヤー数の上限を80万人に引き上げ(関連記事)。サーバー問題も解消傾向とみられ、今回のアップデートも含めゲームプレイのバランス調整も本格的に開始されているかたちだ。

ただ人気武器の弱体化がおこなわれた点には一部批判も見られ、そうした意見へのアンサーとして、今回の開発者ブログが公開されたのだろう。バランスを保ちつつ武器のイメージや使い心地も重視するといった開発方針が細やかに明かされており、本作で開発元が目指す状態のイメージもつきやすいかもしれない。今後もそうした方針に沿った調整が実施されていくことだろう。

『HELLDIVERS 2』は、PC(Steam)/PS5向けに配信中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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