メイク好きとカードゲーマーの距離が、SNSにて(一部)急接近中。化粧品集めとデッキ構築における、意外にも多くの共通点により

メイク愛好家とカードゲーム愛好家がお互いの趣味の壁を越え、共通の理解を得ることで急速に見識を深めあっているようだ。X(旧Twitter)を中心に、1月下旬ごろから化粧品を揃えることをカードゲームのデッキ構築に例える投稿が多く見受けられる。

メイク愛好家とカードゲーム愛好家がお互いの趣味の壁を越え、共通の理解を得ることで急速に見識を深めあっているようだ。X(旧Twitter)を中心に、1月下旬ごろから化粧品を揃えることをカードゲームのデッキ構築に例える投稿が多く見受けられ、両方の立場から「相手の趣味に対する意見が深まった」という意見が散見されている。メイク好きとカードゲーマーの間で例えを出し合うことで、相互理解が進んでいるようだ。


化粧というのは、ルージュを引いたりマスカラを塗ったりといった単一の工程だけで終わるものではない。まずは毎日の洗顔から始まって、自分の肌に合うスキンケア用品を選び、肌のコンディションに合わせてファンデーションやコンシーラーを使って肌の下地を整える。そこから眉や目元、頬や唇などにポイントメイクを施し、華やかさを足していくというのが基本的な工程である。

メイクを完成させるにはいくつもの化粧品や道具が必要になるが、興味のない人から見れば同じようなアイテムを何個も持っていることが不思議に映るだろう。しかし、一連のメイクで必要となる化粧品をカードに、一式をデッキに例えれば、カードゲーマーにとっては馴染み深い感覚として捉えることができるのだ。

カードゲームのデッキを組むにあたっては、まずテーマや軸となるカードを決めることになる。これは化粧で例えると、そのメイクをしてどこへ行くのかを考えることに近い。出勤するためのメイクとデートのためのメイクでは、化粧品の布陣はまるで異なってくる。そして、デッキがひとつしかなければ同じ戦法しか取れないように、化粧品も同じ一式しかなければメイクの雰囲気を変えることができない。

メイク愛好家が多くの化粧品を集めたくなる気持ちは、テーマデッキをいくつも組みたくなるカードゲーマーの心理と似ているのではないだろうか。

一目惚れしたデパートコスメを中心にメイクを組み立てる感覚は、1枚のレアカードを軸にデッキを構築していく感覚によく似ている。ドラッグストアで買ったお手頃なアイテム同士が、思わぬシナジーを生み出すこともある。メイクとデッキ構築との間にある共通点の数々に、X(旧Twitter)上では「妻がたくさん化粧品を持っている理由がわかった」「恋人にカードゲームの例えを出したら理解を得られた」といった意見が投稿されている。


メイクとカードゲームには、もちろん明確な違いもある。カードゲームにおける「禁止カード」のように特定の化粧品を禁止されるような事態は、メイクにおいては滅多に起こらない。化粧品ポーチのなかには入る限りいくつでも化粧品を入れていいし、同じアイテムを入れてはいけないという制限もない。化粧品ではカードゲームのように安価なスターターパックは売られていないため、はじめて“化粧品デッキ”を組むのであれば見様見真似で揃えるか、自ら百貨店のカウンターに赴いて美容部員にカウンセリングを頼む必要があるだろう。

メイクとカードゲームは共通点も多いが、すべてのことを互いのケースで例示できるわけではない。当然だ、いくら似ていても同じものではないのだから。そのうえで筆者が嬉しく思うのは、メイク愛好家とカードゲーマーが歩み寄り、相手の言語で自分の趣味を例えることで相互理解を深めていったことそれ自体である。異なる属性の人々がぶつかりがちな現代において、どうお互いが理解し合えるかと考えることができるのは素晴らしいことではないだろうか。

互いの趣味を通じて相互理解を深めている、メイク界隈とカードゲーム界隈。ところでライター業というのはほぼ在宅で、少しの外出ならマスクで乗り切る筆者としては、フルメイクをするタイミングは同年代女性と比較するとかなり少ない。こういう人間の化粧品デッキがどうなるかというと、極端にスキンケアに偏ったものとなる。ふと、今回の話題を眺めながら、自分のFANCL染めデッキにピン差しするデパートコスメでも探しに行こうかと思った次第であった。

Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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