お笑いコンビのカミナリが『ディディーコングレーシング』BGMの謎のフレーズ“ホーワンバッチャン”を半年かけて解明する。作曲者も忘れていた謎

お笑い芸人コンビのカミナリのYouTubeチャンネルの動画にて、『ディディーコングレーシング』のBGMに流れる“正体不明の単語”である「ホーワンバッチャン」が解読された。発売後26年越しの謎が解明されたかたちだ。

お笑い芸人コンビのカミナリのYouTubeチャンネルの動画にて、『ディディーコングレーシング』のBGMに流れる“正体不明の単語”である「ホーワンバッチャン」が解読された。カミナリは昨年2023年6月から自身のYouTubeチャンネルにて謎の単語「ホーワンバッチャン」を追究した動画を投稿。以降、少しずつ足取りを進め、先日1月19日にその完結編となる動画が投稿された。本作が発売されて26年間、誰も理解していなかったと見られる謎が約半年間かけて、解明されたかたちだ。

Image Credit: 「カミナリの記録映像

カミナリは、石田たくみ氏(以下、たくみ氏)と竹内まなぶ氏(以下、まなぶ氏)によるグレープカンパニー所属のお笑いコンビ。現在テレビ番組などで活躍を見せる傍ら、YouTubeチャンネル「カミナリの記録映像」を運営。チャンネルでは、音楽、ゴルフ、ギャンブルなど、2人の趣味などを押し出した自由な企画を楽しめる。中でも人気の企画がたくみ氏の趣味であるゲームに関するもので、趣向を凝らした企画として制作されているのが特徴だ。

そのゲーム企画のひとつとして始まった「スーパードンキーコングのBGMをじっくりと堪能したい」シリーズでは、たくみ氏があまりにも『スーパードンキーコング』シリーズのBGMが好きすぎるあまりイギリスまで渡航。シリーズの楽曲を手がけるデビット・ワイズ氏(以下、ワイズ氏)の事務所にアポ無しで訪問し、突撃インタビューを敢行したこともある(関連記事)。

Image Credit: 「カミナリの記録映像

そんなフットワークの軽さと好きなゲームに対して強烈な愛をもつカミナリが次に目をつけたのが『ディディーコングレーシング』のとあるステージで流れるBGMだ。同作は1997年に発売されたNINTENDO64向けソフトで、こちらもワイズ氏が作曲を手がけている。カミナリは昨年2月、『ディディーコングレーシング』をコンビ2人で対戦プレイする動画を投稿。たくみ氏が思い入れある本作を懐かしみつつ、ワイズ氏の楽曲も堪能する様子が見られた。その中で、マグマかざんにて流れるBGM「Hot Top Volcano」のある瞬間について、たくみ氏が「ホーワンバッチャン」に聞こえると発言。その後も何度もBGMにあわせてホーワンバッチャンとつぶやいており、このフレーズをやたらと気に入っている様子であった。

(動画8分50秒ごろから該当の場面)

そしてカミナリは先述のワイズ氏とのインタビュー時、このホーワンバッチャンが実際のところ何を言っているかについて直接同氏に質問。これに対してワイズ氏は、あるサンプルCDにてインドの女性が歌っていたある部分のリズムがすごく気に入ったから、「Hot Top Volcano」にサンプリングしたと返答。しかし、具体的な歌詞は同氏にもわからないそうだ。また、ホーワンバッチャンの部分をワイズ氏が口ずさむならどのようになるかという質問に対しては「もう忘れたよ」と答えていた。

作曲者本人も知らないホーワンバッチャンの謎について、カミナリはさらなる追究を開始する。昨年6月に「ホーワンバッチャンの謎を徹底解明する」という動画を投稿。「インドの女性が歌っていた」という情報を手がかりに、インドでもっとも話されている公用語であるヒンディー語での解読を試みた。ヒンディー語辞典の活用や、ヒンディー語話者の方に解読を依頼。しかし、真相には近づけなかった。


一方、7月に投稿された動画では、前回の動画にて視聴者から募った情報で真相へ一気に歩みが進められた。募られた情報からさまざまな説が浮上したものの、結果としてワイズ氏のXでの過去の投稿からサンプルCDを特定し入手、そのデータから歌われている言語を特定した。なおその過程で「まんじゅう」なる新たな謎の単語も浮上していた。同月投稿された動画では、特定した言語の語学教室を発見し、担当の教師に解読を依頼。その結果までが収録されている。


そこから数か月経過した12月26日、単独ライブ「カミナリの記録ライヴ Vol.3」にて、「ホーワンバッチャン ~FINAL~」としてホーワンバッチャンの真相が発表されることになった。同ライブの映像は1月19日に「カミナリの記録映像」上にもアップロードされている。ライブでは、専門家に依頼した解読の結果、ホーワンバッチャン、まんじゅうなどの謎の単語の意味がすべて解明されたことが明かされた。どうやらホーワンバッチャンは「古カンナダ語」の歌に由来しており、発音も“ホーワンバッチャン”とは異なるようだ。またライブではやたらとインド神話に詳しい観客が登壇して解説をおこない、さらにホーワンバッチャンの歌に対する理解が深まるなど思いもよらない展開もあり、盛り上がりを見せていた。ホーワンバッチャンの真相について、詳しくはぜひ動画を見ていただきたい。


ホーワンバッチャン企画やワイズ氏へのインタビューなど、カミナリは独自の視点とフットワークを用いて、意外な発見を動画に収めてきた。昨年11月にはエコールソフトウェアが1996年に発売したセガサターン向けゲーム『デスクリムゾン』のプロデューサー真鍋賢行氏にインタビューを敢行。ネットミーム化されている本作のオープニングについてのさまざまな真相をざっくばらんに訊いている。カミナリの2人の興味やちょっとした疑問が徹底的に掘り下げられており、興味のある人は「カミナリの記録映像」のほかの動画もチェックしてみるといいだろう。

なお同チャンネルでは現在、ワイズ氏にオープニング楽曲を作ってもらう企画なども進行中。こちらの続報にも注目したい。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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