Epic Games、Googleとの独禁訴訟に「陪審員満場一致」で勝利。Google Playストア手数料30%の強制を巡る争い
Epic GamesがGoogleを訴えていた裁判について12月12日、米国カリフォルニア州サンフランシスコ連邦地裁にて、陪審員がGoogleの反トラスト法(独占禁止法)違反を認める評決を下した。海外メディアThe Vergeなどが報じている。
この裁判の発端は、2020年にEpic Gamesがモバイル版『フォートナイト』に独自の決済手段を実装したことにある。規約上これを認めないGoogleは、Google Playストアから同作を削除。そしてEpic Gamesは、自社の決済手段をメーカーに強制し、それによって30%の手数料を徴収していることを市場を独占する行為であると主張し、裁判を起こしていた。
今回の裁判にて陪審員は、Androidアプリの配信市場とアプリ内課金サービス市場において、Googleは反競争的な行為をおこなっていたとし、これによってEpic Gamesが損害を被ったことなどを認定。Googleによる反トラスト法違反を認める評決を、満場一致で下したとのこと。
Epic Gamesは、同様の経緯を経てAppleとも裁判をおこない、そちらは2021年9月に判決が下っている。同裁判の判決では、Appleが課すメーカーへの規制は反競争的であるとして救済措置の必要性が指摘されたものの、Appleは反トラスト法の定める独占企業とは認められないと結論。両陣営どちらの勝訴ともいえない判決ではあったものの、Epic GamesのCEO Tim Sweeny氏は、開発者や消費者の勝利とはいえないとのコメントを出していた(関連記事)。
一方で今回のGoogleとの裁判は、Epic Gamesの完全勝利といえる評決となった。審理においては、Googleは(独占していると認定された)市場から得た利益を使って競合他社の排除・妨害をおこなっていたことなどが指摘。Epic Gamesの買収も検討されていたという。またこの間にGoogleは、米国の37州からもGoogle Playストアをめぐる反トラスト法違反で訴えられている(関連記事)。
Googleに不利な証言がいくつも飛び出す流れが続いたことで、Appleとの訴訟とは大きく異なる評決が陪審員から下されたのかもしれない。Tim Sweeny氏は、米国の司法制度の素晴らしい面がみられた一例であると評価している。
今回の評決を受けてEpic Gamesは、世界中のアプリ開発者と消費者の勝利であるとする声明を発表。Googleによるアプリストア運営手法は違法であり、独占的地位を利用して競争やイノベーションを阻害してきたことが証明されたと述べた。また、今回の裁判で示された証拠は、スマートフォン市場を掌握するGoogleおよびAppleに対する法律と規制が、すぐにでも必要であることを示したと主張した。
なお今回の裁判については、今回の評決を受けて裁判所が今後救済措置を決定する流れとなる。Epic Gamesは損害賠償金は求めておらず、独自のアプリストアと課金システムの導入を、すべてのアプリ開発者に認めることを望んでいる。一方のGoogleは、本裁判を通じて同社のAppleとの競合関係が明らかになったとし、評決を不服として控訴すると表明。両陣営は、来年1月の第2週に裁判官との協議に臨み、今後の救済措置の可能性について話し合う予定とのことである。