スタジオ閉鎖の『The Day Before』Steamで販売中止&公式サイトSNSもろとも閉鎖。開発元への連絡が困難に

『The Day Before』の開発元FNTASTICは12月12日、スタジオを閉鎖すると発表。PC(Steam)上では販売が停止されており、開発元の公式サイトやYouTubeチャンネルなどが閉鎖されるに至っている。

The Day Before』の開発元FNTASTICは12月12日、スタジオを閉鎖すると発表し、同作の開発を中止することを告知した。あわせてPC(Steam)上では販売が停止されており、開発元の公式サイトやYouTubeチャンネルなどが閉鎖されるに至っている。


『The Day Before』はオープンワールドサバイバルMMOと謳われ、PC(Steam)にて12月8日に早期アクセス配信開始された。舞台となるのはパンデミック後のアメリカ東海岸。本作の世界には、血肉に飢えた感染者が徘徊しており、生存者たちはウッドベリーと呼ばれる安全なコロニーを構築している。プレイヤーはコロニーの新たな住民となり、生存者コミュニティの再建に取り組んでいく。

本作開発元FNTASTICは本日、スタジオを閉鎖すると発表。さらに開発・運営を継続する資金がないとして、本作の開発を中止すると告知した。さらにSteamストア上では本作の販売が中止されており、新たに購入することもできなくなっている。なお声明においては本作および同スタジオが手がけた『Propnight』について、先行きは不透明ながら、サーバーは稼働し続けると案内されていた。本稿執筆時点では『The Day Before』のサーバーは稼働を続けているようだ。

またスタジオ閉鎖に伴って、FNTASTICの公式サイトはXに投稿された声明文のみが表示されるかたちとなり事実上閉鎖。さらに公式YouTubeチャンネルに投じられていた動画もすべて非公開となった。さらにFNTASTICのCEOであるEduard Gotovtsev氏はXアカウントを削除。ビジネス向けSNSであるLinkedInの同氏のページも情報がすべて削除され実質的に閉鎖。FNTASTICや代表者に対してユーザーが連絡をおこなうことが困難な状態となっている。

https://twitter.com/nickjcal/status/1734312541436760141


『The Day Before』は2021年1月に発表され、Steam DBにおけるSteamウィッシュリスト登録者数で1位になるなど多くの注目を集めてきた。一方でたび重なる発売延期や“商標トラブル”など紆余曲折を経て12月8日に早期アクセス配信開始された。しかし本作はサーバー問題や品質面などの課題を数多く抱えていたことから不評が寄せられる結果となった。本稿執筆時点では、Steamユーザーレビューにて約1万9000件中好評率が17%にとどまる「圧倒的に不評」ステータスとなっている。

公式Discordサーバーにも数多くの批判が寄せられ、発売直後はgeneral(総合)チャンネルが一時閉鎖された。ユーザーからは品質のほか、「MMO」と標榜されていた一方で実際のゲームプレイが脱出型PvPvEシューターとなっている点なども批判されることになった。モデレーターは本作をユーザーからのサポートのもとで改善していくといった案内をおこなっていたものの、今回突然スタジオ閉鎖が発表され、ユーザー間では混乱が生じている。


なお公式Discordサーバーもほとんどのチャンネルが閉鎖され、本稿執筆時点ではgeneralチャンネルのみが残っている。こうした状況でモデレーターを務めていたLevitate氏は声明を投じ、モデレーターや有志の関係者もまた、開発チームからサバイバルMMOといった情報しか共有されていなかったと主張。批判への対応を一任されているような状況からか、FNTASTICがモデレーターや有志のスタッフを“スケープゴート”にしようとしていると述べた。

そしてLevitate氏はモデレーターを辞任すると宣言し、あわせて返金を求めるユーザーに対し、プレイ時間2時間を過ぎていた場合でも返金がおこなわれたとするReddit上での報告を紹介している。通常であればSteamでは返金ポリシーに基づき、購入から2週間以内かつ使用時間が2時間未満のゲームまたはソフトウェアアプリケーションへの返品が受け付けられる。一方本作についてはプレイ時間が2時間を過ぎていた場合であっても、返品をリクエストし、Forbesの報道や今回のスタジオ閉鎖発表などを引用してValve側に丁寧に状況を説明すれば返金が認められる可能性があると報告されている。

そのほか本作の販売元Mytonaも声明を発表。本作が大多数のプレイヤーからの期待に応えられなかったとして謝罪をおこなった。あわせて同社は、希望者への返金対応に向けてSteam側(Valve)との協力を予定していると表明。またゲームの今後について、FNTASTICにも連絡をとっているとのことだ。

https://twitter.com/mytona_official/status/1734359076690362582


なお海外マーケティング調査機関GameDiscoverCoのSimon Carless氏は、『The Day Before』の「返金者数」について報告。先述のEduard氏がTelegramにて関係者に送信したと見られる、本作の売上報告を示す画像を紹介している。画像は販売者が閲覧できるSteam上の売上データと見られ、本作は12月10日時点で20万1076本を売り上げていたようだ。しかしそのうち9万1694本が返品された様子。12月10日時点でも売上の約半数が返品されていたようである。


FNTASTICはスタジオ閉鎖の理由を、『The Day Before』が収益的に失敗しており、運営継続のための予算が不足しているためだとしている。Steamにて多数の返品がおこなわれたと見られる点も、同スタジオが見込んでいた収益に達しなかった背景としてあるのだろう。いずれにせよ突然のスタジオ閉鎖発表で混乱が生じているにもかかわらず、公式サイトなどユーザーに対する窓口が閉ざされた状況にある。販売元Mytonaからは返金対応が予定されているとの告知があったものの、今後Valveとの連携が実現するかどうかは注目されるところだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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