超リアルな「スライムシミュレーション」映像が注目集める。UE5のプロが“かわいいスライム”を丹念に表現、でもめっちゃむずい
とあるゲーム開発者が公開したキュートなスライムのゲーム映像が今注目を集めている。「REAL SLIME SIMULATION」と銘打たれたその映像では、巨大なスライムが日本らしき街を動き回る、すべり台やシャワーを楽しむ様子や、そのスライムらしい挙動がかわいいと注目を集めているかたちだ。
映像では、日本語の看板や表札が立ち並ぶ夏の日本らしき街を舞台にスライムが自由に動き回るゲームプレイが映し出されている。自転車や手すりをすり抜ける様子や、シャワーを浴び膨張する姿、すべり台からこぼれ落ちる粘性のかたまりなど、スライムのあらゆる挙動とそれに対する物体の動きがゲーム内で再現されている。また、映像の途中にはモンスターの手をしたカーソルが登場。スライムを撫でたり、暑さで疲弊するスライムに対して炭酸飲料を渡したり、シャワーをかけてあげたりとペットのようにスライムをかわいがっている様子が映される。
この映像を投稿したのは、中国出身でアメリカ在住のゲーム開発者であるAsher Zhu氏。同氏は現在Epic Gamesのシニアテクニカルアーティストとして、Unreal Engine 5(以下、UE5)を使ったさまざまな先進的なプロジェクトに参加。代表例として、映画「マトリックス」をテーマにした公式テックデモ「The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience」や、今月12月7日に公開予定の「LEGO Fortnite」にも携わっている模様。また、UE5の研究開発にも携わっており、物理学に基づいた物体の動きや、水をはじめとした流体の挙動に関する研究を行っているようだ。
そんなAsher氏が仕事の傍らの趣味として、スライムのゲームを作り始めたのが2021年。同氏はスライムをお気に入りのモンスターとしており、スライムをドラッグしてステージを動き回る映像を投稿。その1年後には、中世ファンタジーのダンジョンを探索するスライムの映像を公開している。そこから現在、ダンジョンは日本風の街に、スライムはさらにかわいらしい見た目となり、今回の映像が公開されたかたちだ。
今回公開された映像には、Asher氏の流体の挙動研究が活かされているであろう描写が多々見られる。挙動に応じてこぼれ落ちる粘性のかたまり、カーソルの動きに応じたシャワーの流れ方。暑さで溶ける様子や、スライムの中で弾ける炭酸飲料など、同氏の流体に対するこだわりが見て取れる。
Xではゲームの開発に対して、表面張力や粘性、反重力などスライムの持つさまざまな要素を再現するのは工学的にかなり難しくもあるが、とても満足感があると語っている。また、昨年までの開発映像とコンセプトが違う理由として、誰もスライムを撫でようとしないのが気になり、スライムをもっともかわいらしいものとしてデザインし、それを愛でるようなコンセプトへと変更。同氏のスライムへの愛が、次第に強くゲームに反映されていったと言えるだろう。
Asher氏のゲーム開発および、スライム研究は今後もYouTubeや、X、Artstationにて更新される予定となっている。製品化に期待しておこう。