Nintendo Switch『バットマン:アーカム・トリロジー』が「結構な無茶移植」と話題。作品によって守った部分捨てた部分、賛否いろいろ
WB Gamesは12月1日、『バットマン:アーカム・トリロジー』をNintendo Switch向けに発売した。本作は、アクション・アドベンチャーゲーム『バットマン:アーカム』シリーズ三部作の移植版。オリジナル版は高い評価を受けたAAAタイトルであり、広大なオープンワールドを採用した作品も含まれる。Nintendo Switch上ではどのようなパフォーマンスで動作するのか、さっそく検証がおこなわれている。
本作には、2010年発売の『バットマン:アーカム・アサイラム』、2011年発売の『バットマン:アーカム・シティ』、そして2015年発売の『バットマン:アーカム・ナイト』がNintendo Switch向けに移植され、全DLCと共に収録。各作品ではゴッサム・シティを舞台に、主人公バットマンがさまざまなアクションやガジェットを駆使して、ジョーカーやトゥーフェイス、ハーレークィンなどのスーパーヴィランに立ち向かう。
YouTubeチャンネルGameXplainは12月1日、『バットマン:アーカム・トリロジー』収録各作品のNintendo Switch版とオリジナル版の比較映像を公開。オリジナル版の映像にはPS4/Xbox 360/Wii U版のほか、『バットマン:アーカム・アサイラム』と『バットマン:アーカム・シティ』にはPS4向けリマスター版(『Batman: Return to Arkham』)も使用されている。
その前2作のパートでは、Nintendo Switch版はPS3/Xbox 360当時のバージョンをベースに移植されていることがうかがえる。PS4向けリマスター版と比べると、解像感やテクスチャ・エフェクトの品質で見劣りする部分はあるものの、Xbox 360版とは遜色ないように見える。
一方PS4/Xbox One世代の作品である『バットマン:アーカム・ナイト』では、高台からオープンワールドマップを見渡した際に大きな違いが確認できる。オリジナル版ではかなり遠方まで描画されているが、Nintendo Switch版ではマップが高いビル群に囲まれているのだ。Nintendo Switchのスペックに合わせて描画距離を調整することが目的だったと考えられる。またほかの多くのシーンでも、オリジナル版の雰囲気を再現しつつも、解像度の低下が目立つ。
『バットマン:アーカム・ナイト』のNintendo Switch版については、YouTubeチャンネルCycu1がフレームレートの解析をおこなっている。それによると本作では30fpsを上限とし、室内環境ではおおむね安定して動作しているようだ。ただ、屋外ではフレームレートが低下することも多い模様。特に移動中には20fps前後にまで低下している。
各動画のコメント欄などでは、『バットマン:アーカム・アサイラム』と『バットマン:アーカム・シティ』に関しては、その移植品質に良い意味での驚きを示すコメントがみられる。一方で『バットマン:アーカム・ナイト』については厳しい意見が散見され、YouTuberのGameRiot氏はプレイに堪えない(Unplayable)とまでコメントしている。なお同氏は、前2作については素晴らしい移植であると述べている。
本作の移植開発を担当したTurn Me Up Gamesは、『It Takes Two』や『ボーダーランズ レジェンダリー・コレクション』『トニー・ホーク プロ・スケーター 1+2』などのNintendo Switch向け移植を手がけた実績のあるスタジオだ。その仕事については高い評価を受けており、『バットマン:アーカム・トリロジー』でも多くの部分でその実力が発揮された模様である。
もっとも、『バットマン:アーカム・ナイト』のNintendo Switch向け移植に関しては苦労した様子。ちなみに同じWB Gamesからは、『ホグワーツ・レガシー』のNintendo Switch版が先日発売され、その移植手法に注目が集まった。PC/PS5/Xbox Series X|S版ではオープンワールドが採用されているが、Nintendo Switch版においては一部エリアを区切りローディングを挟むことで移植が実現されたのだ(関連記事)。『バットマン:アーカム・ナイト』も、もともと壮大な作品であったことから、ファンからはどのようにして移植するのか不安視する声が聞かれた。Turn Me Up Gamesにとっては、無茶な移植への挑戦となったのかもしれない。
『バットマン:アーカム・トリロジー』は、Nintendo Switch向けに発売中だ。