『Starfield』の主人公は当初「普通に喋りまくる」予定だった。担当声優ふたりは、後にサム・コー役とアンドレヤ役に
『Starfield』では当初、主人公が「会話ボイス付き」になる予定だったという。さらに今回、主人公の英語版声優をサム・コー役のElias Toufexis氏およびアンドレヤ役のCissy Jones氏が担当予定であったことが明かされた。
『Starfield』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズの開発で知られるBethesda Game Studiosが手がけるRPGだ。本作では人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険することになる。本作には100以上の星系に1000以上の惑星が存在し、プレイヤーはほぼすべての惑星について探索可能。宇宙を旅する中では、プレイヤーに協力してくれるクルーを仲間にすることも可能となっている。
このたび本作のクルーであるサム・コーの英語版声優Elias Toufexis氏が、開発中における裏話を明かした。同氏はもともとアンドレヤの英語版声優Cissy Jones氏と共に本作の声優として抜擢。しかし両氏は当初、サム・コー役でもアンドレヤ役でもなかった。数か月間にわたり「主人公(the player)」役として収録をおこなっていたという。
つまり本作の主人公は当初、会話ボイス付きの人物として計画されていたわけだ。このことは本作のデザインディレクターEmil Pagliarulo氏により、過去の海外メディアPolygonのインタビューでも明かされていた。本作のプリプロダクション段階ではボイス付きの主人公となる計画があり、声優を雇って検討されていたとのこと。一方で「この声優の演技は(主人公役として)個性的すぎる」と評価されたそうだ。もっと役に適した声優を雇うか、あるいは複数人の声優を用意するといった選択肢が検討されたという。
なお本作では主人公の出自などをプレイヤーが自由に設定できる。そしてプレイヤーに「理想のキャラ」を追求してもらうためには、声のない主人公にすることが唯一の方法だと判断されたそうだ。
ちなみに同じくBethesdaが手がけた『Fallout 4』では、ボイス付きの主人公となっていた。Emil氏によると『Starfield』で主人公のボイスがなくなった背景には、会話選択肢が用意されるゲームの「問題点」もあったという。というのも、主人公がボイス付きの場合、会話選択肢と実際に読み上げられるセリフがまったく同じとは限らない。選択肢として選んだ内容とはニュアンスの違うセリフであることに不満をもつプレイヤー反応も見られたという。また会話選択肢に書かれた内容とセリフが同じであった場合にも、わざわざ一度読んだ内容が読み上げられるのを待つ必要がある。そうした点から、理想的なかたちでボイス付き主人公と会話選択肢を用意するのは難しいと判断されたようである。
結果として主人公のボイスは撤廃されることになった。一方Elias氏によれば、Bethesdaはその際にサム・コーの役を同氏に、またCissy氏にアンドレヤの役を与えてくれたそうだ。こうした対応はゲーム業界では珍しいようで、Elias氏はBethesdaを称賛。今後もずっと仕事をしていきたいと同スタジオへの敬意を表している。
ちなみにElias氏はサムと一緒に冒険をしているとき、主人公もサムも同じ声を出していると伝えている。つまり主人公が発する、走る際の息切れなどの細かなボイスはサムと共通のもの、あるいはどちらもElias氏の声といった説明だろう。英語版ボイスで彼を連れて冒険をする際には、今回明らかになった意外な共通点を意識して声を聴き比べてみるのもいいかもしれない。
近年ではロールプレイが持ち味となる自由度の高い作品においても、ボイス付き主人公が採用される例は見られる。たとえば『バルダーズゲート3』ではキャラメイク時にボイスを4種類から選択可能。『サイバーパンク2077』ではカットシーンのほか、会話選択肢に応じた多彩なボイスも用意されている。主人公のボイスを用意するか否か、またどのように用意するかにも、コンセプトの違いが反映されているのだろう。
『Starfield(スターフィールド)』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに発売中だ。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。