『ファイナルファンタジーVII リバース』先行プレイ感想。『FFVIIリメイク』シリーズ新作は探索と仲間との連携という武器を得て、新たなステージへ
およそ3年ぶりの続編ということで早くも話題沸騰中の『FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)』。何が新たにリメイクされ、何が語られているのだろうか。このたび一部を先行してプレイする機会に恵まれたため、現時点で判明しているコンテンツの内容を紹介していきたい。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』は『FINAL FANTASY VII』リメイクプロジェクト三部作の第2作目。対応プラットフォームはPlayStation 5。価格は9878円(税込)。発売日は2024年2月29日となっている。オリジナル版における「ミッドガル脱出を果たした地点から忘らるる都まで」のストーリーをもとに、本作独自の要素を加えた物語が展開される。なお前作である『FINAL FANTASY VII REMAKE』および『FF7R EPISODE INTERmission』のセーブデータを所持していると、それぞれに対応する特典として「リヴァイアサン」のマテリア、「ラムウ」のマテリアが手に入る。このほか、各種特典が封入された特装版の発売が予定されている。詳しくは公式サイトをチェックしてほしい。
思い出の地と連携技
最初に筆者が体験したのは、オリジナル版においても重要なシークエンスとなったニブル山の探索である。ニブル山のあるニブルヘイムは前作でも示された通り、主人公クラウドとティファの故郷であり、因縁の地でもある。試遊版における物語の時間軸は過去になっており、キャラクターとしては英雄の呼び名で讃えられていた頃のセフィロスと、ヒロイックな振る舞いが目立つクラウド、まだ少女の面影が残るティファ、そして彼女のボディーガードを務める神羅兵の4人が登場した。もちろんマップはリメイクされており、あのオリジナル版における複雑な螺旋構造の地形が、分かりやすく美しい、シンプルな形に変わっていたのは時の流れを感じさせる。
今回の試遊版を遊んでみてまず分かったことは、基本的な操作方法と戦闘システムが前作からほぼ変化していないということだ。『FINAL FANTASY VII REBIRTH』における戦闘は、「たたかう」コマンドの連打で完結するコンボ攻撃を軸に、敵の「バーストゲージ」を最大値まで溜め、ダメージが上昇する「バースト」状態に移行させる。そこから自分の「ATBゲージ」を消費し、まほうや凶斬りなど強力なコマンドを叩き込んでいくという、戦局のリアルタイムな展開を軸としたアクションゲーム形式になっている。
同時に、ATBゲージを溜めて消費しなければ強力なコマンドを使えないことや、覚えるコマンドの違いに由来する、「キャラクターの使い分けの重要性」が強調されていたり、コマンドの選択画面を展開することで自由に時間経過を遅くすることができる=ゲームスピードをプレイヤーがある程度コントロールすることができるようになっている。
これは「プレイヤーがじっくり思考し、パーティ全体で多彩なパフォーマンスを行う。そして簡素な入力形態を持つ」コマンド式戦闘の良さと、アクションゲームが持つ「没入感」を融合した形態であり、スクウェア・エニックスが長年取り組んでいる試みでもあると考えている。また本作でもアクションゲームに不慣れなプレイヤー向けの施策として、アクション面をすべて自動でこなしてくれる「クラシックモード」が引き続き導入されるようだ。
ニブル山における探索では、パーティメンバーとしてクラウドの他にセフィロスを操作可能となっていた。彼を自分で操作できるという事実が判明した時点で心躍ったが、実際に動かしてみれば、その高揚は筆舌に尽くしがたい。個人的には『DISSIDIA FINAL FANTASY』シリーズ以来である。
最新のハードウェアが持つ力で描かれるセフィロスの勇姿には隙のない美しさがあり、力強くバスターソードを振り回すクラウドとは違ったかっこよさがある。そうしてセフィロスを堪能していたところ、本作の新要素がスッと顔をだしてきた。連携アクションである。連携アクションはその名の通り2人のキャラクターによる連携技を発動するコマンドであり、ATBゲージを必要とせずに使うことができる便利なコマンドだ。技の内容は組み合わせによって異なるだけでなく、操作キャラクターを変更することでも変わってくる。ニブル山の探索においてはクラウドとセフィロス、どちらを操作しているかによってコマンドの内容が異なっていた。パーティメンバーの組み合わせを吟味したくなるだけでなく、意図したキャラクターにすばやく切り替えて連携を発動し、これに合わせたコマンドによるコンボルートを構築するという、アクション面での練度向上も図れる興味深いシステムである。
そうして敵を蹴散らしながらニブル山の奥地へ進むセフィロス一行。本作ではパルクールが導入されているようで、簡単な段差なら登ったり飛び越えることができるようになった。この飛び越え可能な段差がパッと見で分からないことがミソであり、フィールドには意外と登れる山肌とその先の空間が隠されていたりする。後述する試遊内容と合わせて、ほぼ一本道だった前作と比較すると、本作は探索要素がさらに拡充されている。
ダンジョンの奥ではカウンターのマテリアをくれることでお馴染みマテリアキーパーがボスとして登場。美しくリメイクされた肉体による攻撃で攻め立ててくる。このほか、足でクラウドたちを拘束するギミックが追加されたり、天井に張り付いて攻撃をするようになっているなど、彼もまたアクションゲームになったことで新たな一面が描写されたのが嬉しい限りだ。
しかしながら、クラウドとセフィロスのコンビネーションには刃が立たず。最高峰の連携攻撃である連携アビリティ「クロススパイラル」によって撃破される。連携アビリティは専用のゲージを消費して発動するコマンドであり、強力な攻撃力を誇るだけでなく、発動することで戦闘に有利な追加効果を一定時間得ることができる。しかしこれはパーティ中二人のキャラクターが一定時間攻撃に回ってしまうことも意味している。適当に発動して回復役やサポート役が本来の役割を遂行できない、なんてことが無いようにしたい。敵のバースト中など、ここぞという場面で発動しよう。
広大なフィールドと探索要素
ニブル山の登山体験を終えて次に筆者が体験することになったのはジュノンエリアの探索とボス戦だ。本作は物語を展開するにあたって、しっかりとした広さを持つ箱庭をエリアとして数多く擁している。ジュノンエリアはそのうちの1つだ。ジュノンは神羅カンパニーが保有する巨大軍事都市であり、前作の舞台となったミッドガルと同様、貧富の差が凝縮された多層構造になっていることを特徴としている。
今回探索できたのはジュノン自体ではなく、その周辺地域であったが、エリアの各地には足を運びたくなるさまざまな仕組みが用意されており、美しくリメイクされた情景と合わせ、探索体験として大いに楽しめた。先述したパルクールを用い、道路から外れて山登りをしてみれば、意外と登れる段差が多かったり、泳げる水辺が存在したりと驚かされた。物語をただ辿るのではなく、クラウドとして「冒険をしている」感覚を前作よりも強く感じることができた。
それでは新たな探索要素を詳しく見ていこう。まず取り上げたいのはチョコボの存在だ。本作ではフィールドにいるチョコボを捕まえることにより、ワールドエリア内ならいつでも呼び出すことが可能となる。なお、レッドXIIIもチョコボにしっかり乗る。現時点で判明している範囲で、チョコボは通常種のほかに、山登りが得意な山チョコボと、チョコボ滑空場から空を飛ぶことができる空チョコボが存在している。広大なエリアを導入したことに合わせた快適な移動手段というわけだ。そしてチョコボは地中に埋まったお宝探しもできる。不自然にうさぎが集まっている地面を調べると、レーダーが反応。それを辿るとアイテムを入手できる。『FINAL FANTASY IX』を思い出す懐かしいギミックである。
このほかに用意されている移動手段としては荒地帯専用のバギーや、リゾート地コスタ・デル・ソルで乗ることができる、セグウェイっぽい見た目をしたウィリーが用意されているという。これら移動手段が充実したと同時に、ファストトラベル地点も増加した。
これ自体は取り上げるに十分なトピックではないが、しかし可愛かったのだ。ファストㇳラベル地点に案内してくれるはぐれチョコボが。ちんちくりんで、まんまる。ふわふわな仕草がクセになる元気っ子だ。近寄れば頭を撫でることも可能。彼が案内してくれるファストトラベル地点を開放すると、ご褒美としてアイテムを入手することができる。これはチョコボの外見をカスタマイズするアイテムなどと交換が可能だ。筆者としては野外の汚いベンチ(HP&MP回復ポイント)に座るに当たって、消費型のアイテムざぶとんが必要になったことも見逃せない。これはオリジナル版で言うテントのようなものだろうが、懐からさっと座布団を取り出しベンチに敷くクラウドの姿は非常に面白く、彼の繊細な人となりを端的に表現してもいる。バレットやザックスなら絶対にこんなことはしないだろう。
探索をしているとさまざまなアイテムを拾うことがある。本作ではこれらを調合し、ポーションなど新たなアイテムを作ることができるクラフトシステムが導入されたと認識している。あわせてクラフトレベルという概念も導入されている。これはクラフトを続けると経験値が溜まり上昇する。レベルが高くなるほど貴重なアイテムを作ることができるようになるという仕組みである。レベルが上がればざぶとんも作れる。
戦闘に関連した探索要素としては「ワールドレポート」が存在する。これはマップ上に点在する強敵たちを倒していくという遊びだ。これは前作におけるバトルレポートの戦闘がフィールド内で行われるようになったものであり、攻略することでチャドリーからマテリアなどの報酬を獲得できる。各戦闘には「〇〇が技を出す前に討伐する」「制限時間以内に倒す」など、それぞれの敵に応じたミッションが用意されている。単純に敵を倒すだけでなく、これらをクリアすることによってさらに専用のポイントが加算され、報酬獲得にグッと近づく仕組みだ。戦闘突入時にはモンスターの解説が入るため、本作の世界観の理解を深められることだろう。ちなみに、強敵たちがいる場所自体がファストトラベルポイントになっており、一度到達すれば簡単に移動できるだけでなく、倒しても再挑戦が可能である。
ジュノンエリア編は時間軸が現在ということで、前作では援護攻撃を行うゲスト扱いだったレッドXIIIを操作可能となっていた。特徴としてはガードに成功したり、アビリティ発動中に攻撃を受けることでゲージを溜め、それを開放することで能力を強化し戦う守備型のキャラクターになっており、バイオやコメットなど特殊な魔法を扱うこともできる。ブラッドファングなどのリミット技はオリジナル版の描写を雛形にアクションゲームらしく表現されている。
攻撃を受けて反撃するキャラクターということで、プレイヤーの腕前が如実に反映される性能に仕上がったと言えるだろう。そしてニブル山編と同様に、パーティの皆で連携アクションと連携コマンドを使うことができた。試遊版では3種の固定パーティにより計5人のキャラクターを使い分けることができ(パーティメンバーは最大3人まで。クラウドは固定メンバーだった)、この時点で数多くの組み合わせが存在していたが、ユフィやケット・シーといった今後登場することが示唆されているキャラクターを踏まえると、パーティ構築の楽しみはより一層のものになることだろう。
探索を楽しんだらジュノンの下層部アンダージュノンでボス戦だ。オリジナル版ならばここでプリシラという少女を助けるイベントが発生するが、本作ではなんとプリシラが助けを呼んでいた。急ぎ駆けつけてみると小舟で流れ着いたであろうユフィが襲われているではないか。前作において星の運命の番人フィーラーを打倒したゆえの変化なのだろうか。イルカが彼女を安全な場所に運んだあと、懐かしのボトムスウェルとの戦いが始まった。今作も引き続き水球でパーティを行動不能にしてくるほか、近接攻撃」当たらないというオリジナル版の仕様を「空中に浮く」「水中に潜る」という形で擬似的に再現している。水球は魔法で対処すればよいのだが、本作は使うにあたってMPだけでなくATBゲージも必要なため、ゲームプランを構築しなければならないという点でいやらしい。しかし特段難しいということはなく、余裕を持って撃破。筆者の試遊体験は幕を閉じた。
筆者の総合的なインプレッションとしては、続編作品として着実に体験を進歩させているという印象を受けた。戦いの奥行きを拡大する連携の要素や、ミッドガルを出て旅が始まったことを端的に表現する広大なフィールドと探索要素。既にオリジナル版の外側へ到達したストーリーも含め、現代に紡がれるクラウドたちの「新たな物語」が楽しみである。バレットの因縁やレッドXIIIの故郷、ウータイの情景はどう描かれるのか。ゴールドソーサーのイベントはどうなっているのか。そしてエアリスの運命はいかに。発売日が待ち遠しい限りだ。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』は、2024年2月29日発売予定だ。
© SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO