とあるスマホゲームが“盗用疑惑の広告”を出しまくり物議を醸す。『スーパーマリオUSA』のBGMや「君の名は。」のポスターなどやりたい放題か
『ドット勇者~三時のおやつと昼寝付きの冒険~』なるスマートフォン向けゲームの「広告」がSNS上で物議を醸している。既存作品のBGMをほぼそのまま使った、あるいはキーアートやゲーム内グラフィックに酷似した画像・映像を用いた広告が多数報告されている。出典を記載せずBGMがほぼそのまま用いられている、またはモチーフにされていると見られる作品数が多すぎるといった点から、一連の広告は権利元に無許可で作成されているのではないかといった疑惑が浮上している。
『ドット勇者~三時のおやつと昼寝付きの冒険~』(以下、ドット勇者)は、中国の広東省広州市に拠点を置くEfun Companyが手がけるスマートフォン向けゲームだ。ジャンルとしては「ドット絵放置系冒険RPG」と公式サイトに記載されている。今回問題となっているのは、YouTubeやTwitter、InstagramなどのSNS上に掲載されている本作の広告。同作の広告が、さまざまな作品のデザインやBGMなどを盗用し、著作権を侵害しているのではないかとSNSユーザーから指摘されている。
本件については、『ドット勇者』が日本での事前登録受付を開始した7月20日ごろより、SNS上を中心に疑惑が浮上していた。『不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』、『ショベルナイト』のゲーム内背景や、『スーパーマリオUSA』、『沙羅曼蛇』のBGMがほぼそのまま動画広告に使用されているといった報告が上がっていた。特に『不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』に関しては、ユーザーが実際のゲーム画面と比較した投稿もSNS上で複数報告されている。
またほかには、ドット絵にちなんで引き合いに出すためか、液晶玩具『デジタルモンスターCOLOR』をプレイする様子をそのまま使用した広告もある。弊誌で確認する限り、この広告で使われている動画はYouTube上のユーザー動画と見られる。そのほか映画「君の名は。」の映画ポスターの背景に酷似した広告なども確認可能。『ドット勇者』の広告にはさまざまな作品に似た映像・BGMが用いられており、権利元に無許可で作成されているのではないかといった疑惑が渦巻いている。そうした反応を受けてか、本作公式YouTubeチャンネル上にアップロードされていた動画広告のひとつは、アップロード者によって削除されている。
スマートフォン向けゲームの広告では、実際のゲームには出てこないようなシーンやモチーフを用いて、広告を見た人々の興味を誘うものもある。さらに他社作品のゲーム画面を、宣伝素材のように使用しているケースもいくつか見られる。2022年にはゲームクリエイターの今村孝矢氏が、自身が手がけた『STEELDIVER SUBWARS(スティールダイバー サブウォーズ)』のゲーム画面がスマホアプリの広告に無断使用されたことを指摘していた(関連記事)。
なおTwitterやYouTubeをはじめとするSNSプラットフォームには、問題のある広告を報告をする機能が用意されている。著作権侵害と見られる、もしくは何らかの問題がある広告があればそうした機能を活用するといいだろう。