『グラブルヴァーサス -ライジング-』簡易的にコマンドを繰り出せるクイック入力のデメリット排除について、公式が意図を説明。駆け引きを早く楽しめるように
Cygamesは7月26日、『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-(GBVSR)』の一部企画意図を、公式Twitter上にて明らかにした。本作においては、公式Twitter上にて発表された「クイック入力とテクニカル入力の性能差がない」仕組みが、一部プレイヤーから注目を集めていた。発表によると、本作のそうした仕組みは長い議論の末、より早く戦いの駆け引きの楽しさに触れられるようにするべく採用となったそうだ。
『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、『グランブルーファンタジー ヴァーサス(以下、GBVS)』のシリーズ新作として開発中の、対戦格闘ゲームだ。前作『GBVS』では、Cygamesによるスマートフォン向けRPG『グランブルーファンタジー』を原作に、主人公グランおよびジータを含めた24名がプレイアブルキャラクターとして登場。立ち回りや読み合いを重視した戦いが繰り広げられていた。
また『GBVS』の特徴としては、ボタンと方向の組み合わせで必殺技相当のアビリティを繰り出せるシステム(クイック入力)も挙げられるだろう。一定のコマンドによって技を出すテクニカル入力時には、アビリティの再使用までの時間が短くなるといったメリットを用意しつつ、クイック入力では簡単な操作で必殺技が使用できていた。『GBVS』における対戦までの敷居を下げるための工夫の一つが、クイック入力であったわけだ。
本作『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、格闘ゲーム入門の決定版というコンセプトを変えずに制作されている、『GBVS』のシリーズ新作だ。新要素としては、アビリティの強化版であるアルティメットアビリティや、ガードクラッシュを誘発するレイジングストライクなどが登場。前作では未対応だった異なるプラットフォーム間でのオンライン対戦も可能となり、離れた相手とも安定した状態でオンライン対戦しやすいロールバックネットコードも採用されている。
また7月24日には、本作のオンラインβテスト実施へ向けてプレイガイドが公開。あわせて本作においては、ワンボタンでアビリティ(必殺技)を使用できるクイック入力と、コマンドによってアビリティを発動するテクニカル入力に、性能差がないことが明かされたのだ。そんなアビリティの仕様変更発表を受けて、本作の公式Twitterアカウントには、多数の英語圏からのコメントも含めて、プレイヤーからの反応が殺到。「シンプルな入力にデメリットをつけてほしい」「性能差がないのになぜテクニカル入力を残すんだ」といった意見が多数寄せられたそうだ。
昨今の格闘ゲームにおいては、コマンドやコンボを簡単に出せる仕組みが多く見られる。たとえば『ストリートファイター6』のモダンタイプでは、方向とボタンの組み合わせで必殺技を出せるほか、ボタン連打でのコンボも可能となっている。一方でモダンタイプには、クラシックタイプよりも技が少なく、ダメージが低いといった特徴が存在。モダンタイプで対戦までの敷居を下げつつ、クラシックタイプ選択時のメリットが確保されているわけだ。前作『GBVS』においても、コマンド入力のメリットは用意されていたが、クイック入力とコマンド入力が同等になったことで、意見するプレイヤーもいたのだろう。
本日の発表では、そんなテクニカル入力/クイック入力の仕様に関して、本作のクリエイティブディレクターの福原哲也氏から企画意図が説明された。福原氏のコメントによると、本仕様は長時間の議論の末、一度シンプルな入力を導入した『GBVS』だからこそできる、より踏み込んだ大きな挑戦として導入を決定したそうだ。福原氏は、対戦格闘ゲームの面白さの一つとしてコマンド入力の要素を取り上げ、複雑な入力などによる一体感が格闘ゲームでなければ得られない体験だと理解していると語る。
一方で格闘ゲームのプレイヤーにとって「当たり前」でも、新たに格闘ゲームを遊ぶ人にとっては、複数のコマンドを反射的に使い分け、素早く正確に入力することはハードルが高いと指摘。そうした高度なコマンド入力ができないことを、悪く思ってほしくないと考えたのだという。さらに格闘ゲームの対戦におけるもっとも楽しい部分である「相手との攻防の駆け引き」は、当たり前が可能になってはじめて成立する。「当たり前」の差を埋め、早く駆け引きの楽しさに触れられるようにするべく、シンプルな入力のデメリットをなくしたそうだ。
また福原氏は変更によって、技術的な深みはなくなるかもしれないものの、ゲーム全体の底が浅くなるとは考えていないという。本作は、シンプルな入力で多数の新しいメカニクスを駆使することで、キャラクターごとの新たなテクニックや戦略が楽しめるよう力を注いでいるとのこと。コマンド入力の習得を越えた先の、格闘ゲームの持つ読み合いや駆け引きの楽しさを多くのプレイヤーへ届け、格闘ゲームコミュニティがさらに盛り上げるように頑張っていくそうだ。
そのほかテクニカル入力については、福原氏を含めた従来の格闘ゲームプレイヤーが、反射的にコマンド入力をしてしまうことを考慮して残してあるとのこと。暴発を防ぐため、設定によってテクニカル入力の無効化も可能であるそうだ。
『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』は、PlayStation 4/PlayStation 5/PC(Steam)向けに2023年発売予定だ。また本作ではPlayStation 4/PlayStation 5を対象に、7月27日からは当選者が参加できる先行テストプレイ、7月29日から30日にはオープンβテストが実施予定となっている。