『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にて“自作ロボ”技術がどんどん進化。ゾナウギア活用ユーザー発明の歴史

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では、発売直後からさまざまなロボットやメカが制作されてきた。本稿では発売後約2週間に起きた技術の進歩を辿っていく。

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では、発売直後からさまざまなロボットやメカが制作されてきた。立ち上がって移動するだけのものから始まり、今や“ハイテク”な機能を備えた脅威のメカが開発されている。本稿ではSNS上に投稿されてきたメカたちから、発売後約2週間に起きた技術の進歩を辿っていく。なお本稿では多数のゾナウギアの機能や活用例を紹介しているため、注意されたい。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。なお本作は、発売後3日間で売上1000万本を突破したことが伝えられている(関連記事)。

本作では多数の新能力が登場。なかでも「ウルトラハンド」は、プレイヤーたちが最初に手にするであろう能力だ。ウルトラハンドを使えば、フィールド上の物体を持ち上げて移動させ、好きな向きでくっつけていくことが可能。ゾナウ文明が遺した装置「ゾナウギア」を付けることで、作り上げたものに動力などの機能をもたらすこともできる。ウルトラハンドと多彩なゾナウギアにより、プレイヤーが幅広い“ものづくり”をおこなえる点は本作の持ち味だ。


そんな本作では発売当初から、プレイヤーたちが攻略目的だけでなく、想像力のおもむくままに多種多様なものを制作してきた。なかでも注目したいのが、ロボットやメカの進化だ。発売当初にユーザーが作り上げたメカはシンプルなつくりだった一方で、今や複雑な機能を備えた脅威のメカたちが開発されている。本稿では本作発売後のユーザー制作メカの進歩を辿っていこう。

まず発売直後に注目を集めたのは、Twitterユーザーの秀吉氏が作り上げた“神獣”。木材を人型に組み合わせ、両足の先には車輪とゾナウギア「おきあがりこぼし」を装着。股間には「扇風機」のゾナウギアが設置されている。神獣は起動するとすっくと立ちあがり、荘厳な出で立ちで大地を駆っている。一方で起伏のある地形に弱いためか10秒ほどでバランスを崩し派手に転倒。転んだ先にたまたまいた不運な鳥を撃破し、リンクにトリ肉をもたらす機能性を発揮している。

【UPDATE 2023/6/6 12:09】
ゾナウギアとパーツに関する記述を修正

そのほか発売直後に話題を呼んでいたのが、TwitterユーザーのZAKUYA氏が手がけた、股ぐらに火炎放射器を備えた神獣(?)だ。木材を組み合わせ、股間には立派な丸太とゾナウギア「火龍の頭」および2つの「タイマーバクダン」が取り付けられている。ほほ笑むような表情と股間から勢いよく吹き上がる炎、そして二つの“玉”が勢いよく爆裂して顔だけが残る儚い散り様が印象深く、国内外のユーザーの心を掴んでいた。

こうしたベニヤ板のメカはシンプルなつくりながら、ゾナウギアが限られた序盤から生み出されていた点は興味深い。新要素に触れたばかりの段階から、本作では思いどおりのメカを生み出せるのではないかと予感し、それを試みるユーザーたちが存在したわけだ。

その後ユーザーらが攻略を進めるにつれて新たなゾナウギアを発見され、彼らが生み出すメカにもさまざまな機能が盛り込まれてきた。たとえば「操縦桿」のゾナウギアを発見したユーザーたちによって車両系のメカが編み出され、ハイラルのドライブを楽しむ様子も見られた。

そして「大砲」や「光線の頭」のゾナウギアが発見され、ハイラルにはさまざまな戦闘兵器がもたらされることになった。車両型だけでなく飛行兵器人型メカの開発例もある。敵地に攻め込みながら、強力なゾナウギアの武装により敵を葬っている様子が見られる。

さらには人型であるだけでなく、二足歩行が可能なメカの開発を試みるユーザーもいた。車輪による走行ではなく、2本の足で歩行できる機構の開発を試みている。ただしこちらの“歩行メカの試作機”は2本同時に足を上げる挙動となっており、歩くというより跳ねるような動きだ。投稿者も自分の発明を「失敗……?」と評している。

一方で直近では二足歩行メカの開発成功例も報告されている。「大きなタイヤ」が駆動部となっており、胴体や関節部分には「おきあがりこぼし」を装着。おきあがりこぼしは地面を基準に垂直に立ち上がるゾナウギアだ。この性質を利用して、二足歩行時のバランス制御を実現している。なお兵器として開発されてきた一連のメカは、作者やユーザーにより「マクロス」や「メタルギアを超える兵器」などと呼称されており、メカ開発はほかの作品におけるメカを意識したり再現したりする試みでもあるのだろう。

そのほか操縦者を必要としない、自律的に攻撃をおこなうメカの開発例も見られる。海外メディアGameSpotのビデオプロデューサーMax Blumenthal氏が開発した下記のメカもその一例だ。同氏のメカは上空に飛び立ったのち、空中で “地上用ドローン”を分離展開。空中から光線の頭で敵を攻撃しつつ、地上では「追跡台車」のゾナウギアが装着されたメカが敵を追い立てる設計だ。リンク自身が手を汚すことなく敵の拠点を壊滅させる技術まで開発されている。

発売から2週間がたち、さまざまな発明がおこなわれてきた『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』。メカの進化という点に着目すると、ベニヤ板を組み合わせた原始的なメカから近未来的な自律戦闘メカまで凄まじい進歩を遂げてきた。

発売直後から人型メカを作ろうと試みられ、結果として攻撃機能を備えた強力な人型メカが実現された点も興味深いところ。またそうしたプレイヤーの想像力を実現できる、多彩なゾナウギアの用意や本作のシステムの作り込みにも注目したい。攻略や冒険の合間には、自由気ままな発明に勤しんでみるのも面白いだろう。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。




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Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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