「ゲーム業界入りを目指す人に助言したい10のこと」を、ベテランゲーム開発者がアドバイス。 普段の取り組みから面接まで
スクウェア・エニックスにてナラティブデザイナーを務めるRhianne Murphy氏は5月16日、ゲーム業界入りを目指す人が増える季節が来たとして、そうした人に向けたアドバイスをTwitterに投稿。多くの注目を集めている。
Murphy氏は、『チームソニックレーシング』などセガのレースゲームや『リビッツ! ビッグ・アドベンチャー』『Crackdown 3』などの開発元として知られる老舗スタジオSumo Digitalにて本格的にゲーム業界に入り、レベルデザイナーやシニアナラティブデザイナーなどを歴任。そして2022年にスクウェア・エニックスの英国スタジオに移籍し、ナラティブデザイナーを務めている。現在は、同社の著名IPをもとにした未発表AAAタイトルに携わっているようだ。
今回Rhianne Murphy氏は、これからゲーム業界で働くことを目指す人に向けて、10項目のアドバイスを投稿した。まず一つ目は、オンライン上に自身のポートフォリオを作成すること。ポートフォリオとは、アーティストであれば描いた作品を掲載するなど、どのようなスキルをもっているのか自己紹介をするページのことだ。ゲーム業界では、求人に対し数百件もの応募が集まることがあるため、手早くポートフォリオを確認できない人は、その時点で落とされてしまう可能性があるという。
二つ目は、履歴書およびカバーレター(送付状)のテンプレートを作り、常に最新の状態にし準備しておくこと。履歴書は、一般的な書式でも独自の形式でもどちらでも良いが、1ページか多くても2ページまでにまとめる。そのなかでは正直に書くことが大事だそうだ。また、自己PRなどを記すカバーレターは、応募先に合わせて内容を調整するとなお良いとのこと。
三つ目は、応募する職種に集中して履歴書やポートフォリオを用意すること。多彩なスキルをもっていたら、どれもアピールしたい気持ちになるかもしれない。ただ専門性を打ち出した方が、相手に強い印象を与えられる可能性が高いそうだ。
四つ目は、とにかく応募しまくること。自宅の近くに所在するスタジオや、好きなゲームを手がけたスタジオなどに限定することなく、文字どおりあらゆるスタジオに応募すべきとのこと。最近は多くのスタジオがリモートワークに対応しているため、遠方のスタジオでも仕事が可能。なにより、まずはゲーム業界で職を得ることが最優先ということだろう。そこでスキルを磨けば、いずれ憧れのスタジオで働くことにも繋がるかもしれない。
五つ目は、とにかく応募し続けること。求人に応募したら、結果が判明するまでに数か月かかることもあるため、返答を待つあいだの時間を無駄にせず、他所にもどんどん応募していくべきとのこと。なお、同じスタジオの同じ職種に再度応募する場合は、通常は6か月ほどの期間を開ける必要があるそうだ。
そうして応募し続けているあいだも、個人プロジェクトに取り組んだり、ゲームジャムに参加したりなどして、スキルを磨き続けるというのが、六つ目のアドバイスだ。また七つ目には、オフラインイベントやオンラインのコミュニティに積極的に顔を出し、友人・知人を作ることが挙げられた。そうした人との繋がりも、ゲーム業界で仕事を得るために役立つという。
八つ目は、面接に向けた準備である。Murphy氏は、馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないが、自身の情熱を伝える練習をしておくべきだと述べる。たいていの面接においては、応募者自身のこと、そしてなぜその職に就きたいのかを問われる。そのため、面接を受けるスタジオのことをよく調べ、自身がどういう価値をもたらすことができるのかを考えておくと良いそうだ。これはゲーム業界以外においてもいえることかもしれない。
九つ目は、「諦めないで!」とのこと。ゲーム業界で初めて職を得るまでには、数か月あるいはそれ以上かかることもあり、それはこの業界では一般的なことだという。すぐに結果が出なくても、これまでに挙げたような取り組みを粘り強く続けていってほしいとしている。そして最後の10項目にMurphy氏は、ゲーム業界にはほかにもアドバイスをくれる素晴らしい開発者がたくさんいるとコメント。なかには同氏とは異なる意見をもっている人もいるかもしれないため、彼らにも声をかけて可能な限り多くのことを学んでほしいとした。
今回Rhianne Murphy氏が投稿したアドバイスに対しては、役立てたいと感謝を述べる人や、要点がまとめられていると感心する開発者などがみられる。同氏はずっとイギリスで活動し、大手スタジオにてキャリアを積んできた。そのため日本を含むほかの国や、応募するスタジオによっては勝手が異なることもあるかもしれない。ただこうしたアドバイスは、多くの場面で役立てることができるのではないだろうか。
※ The English version of this article is available here