Steam成り上がり経営ゲーム『Big Ambitions』、16万本売れていた。売れた鍵は『GTA』×『Cities: Skylines』な特徴アピール

Steamにて早期アクセス配信中の『Big Ambitions』は、配信後20日足らずで約16万本を売り上げていたという。GameDiscoverCoが、本作の人気の理由を開発者に訊いている。

デベロッパーのHovgaard Gamesは3月11日より、Steamにて『Big Ambitions』を早期アクセス配信開始。Steamストアページ上では日本語非対応と記載されているが、ゲーム内は一部を除き日本語表示に対応している。ユーザーから高い評価を受けている本作は、配信後20日足らずで約16万本を売り上げていたという。海外マーケティング調査機関GameDiscoverCoが、本作の人気の理由を開発者に訊いている。

『Big Ambitions』は経営シミュレーションゲームだ。貯金が底をつきそうな主人公が、親戚の紹介で新しい仕事を始め、ニューヨークの街でのし上がっていくストーリーが描かれる。バイトからキャリアをスタートし、資金を貯め、会社を設立し、家を買い、巨万の富を築き上げていくのだ。

本作は細かな生活要素が特徴となっている。食品を買うのもスーパーに行く必要があり、保存のためには冷蔵庫を購入しないといけない。睡眠を取らないと体を壊してしまうことも。所持金や体力と相談しながら、計画的に事業を進めていくことが大事になる。

さらに自由度の高さも本作の売りだろう。食品店、ギフトショップ、宝石店などさまざまな業種の店を経営できる。お金の使い道も多く、事業拡大のために使う以外にも、投資、豪邸や高級家具を購入したり、スポーツカーを乗り回したりもできる。


本作はSteamユーザーレビューで、本稿執筆時点で約3750件中95%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得。売上としても、早期アクセス配信開始から20日足らずで16万3000本を売り上げているとのこと。かなりの人気と好評を博しているわけだ。

そうした人気を受けてGameDiscoverCoのSimon Carless氏は開発元代表Jonas Hovgaard氏、およびマーケティングなどを指揮したエージェンシーICO PartnersのLewis Burnell氏にインタビューを実施。本作のマーケティング戦略を訊いている。

本作では、インフルエンサー主体のマーケティングがおこなわれたという。まずはゲームの概要紹介を約1000人ものインフルエンサーたちにおこない、その時点で上々な反応を得られたそうだ。さまざまなインフルエンサーに合計約200本のゲームキーを配布したとのこと。そうして海外の人気YouTubeチャンネルなどを中心に、本作の動画が多数投稿されるに至った。

本作にはプレイヤーを引きつける“フック”になる要素が2つ想定されているという。ひとつは、ゲームの導入部。本作は町中で主人公1人を操作して移動させる場面からスタートする。家を借りて家具を置き、買い物をして生活基盤を整えていくことになる。すぐさま経営・運営要素に触れるわけでなく、生活系ゲームのような導入部になっているわけだ。

そしてふたつめのフックとして想定されているのが、車の運転。プレイヤーたちが初めて車に乗り込んで運転したときに、先のゲームプレイへの想像を膨らませ、本作のコンセプトを理解してくれることを期待していたとのこと。導入部におけるシミュレーションゲームとしては珍しいふたつのフックは、プレイヤーだけでなく動画視聴者の興味も引いたことだろう。

なおマーケティング時には、インフルエンサーたちに本作を有名なゲームになぞらえて売り込んでいたという。「Grand Theft Auto meets Cities Skylines」あるいは「House Flipper meets Two-Point Hospital」との紹介をおこなったとのこと。そうした紹介によって本作のジャンルや特長をインフルエンサーたちにしっかりと理解してもらえたとLewis氏は考えているそうだ。


なお本作がインフルエンサー主体のマーケティング戦略をとった背景には、発売前にゲームメディアでの露出が減少してしまったことがあるという。初期の売り込みではおおむね問題なく取り上げられていたそうだが、その後何度も働きかけていたものの期待していたよりもメディア露出が減少。アプローチを素早く変更し、インフルエンサーへの売り込みに切り替えるに至ったそうだ。

そうしたマーケティング戦略の成功もあり、本作はかなり好調な売れ行きを見せる結果となった。インフルエンサーによる流入や、プレイヤーを惹きつけるふたつのフックの存在が幅広い客層を獲得する結果をもたらしたと考えられる。なおJonas氏は本作が広い層のプレイヤーからも好評を受けている点に驚いているという。本作にはプレイテスト時点で好意的なフィードバックが寄せられていたそうで、もともとターゲットとなるユーザーが楽しんでくれる見込みはあったそうだ。

一方で“一般的な”ユーザーからは、あまり好意的な反応を得られないとの予想もあったという。しかし発売後には、予想外の好評を獲得しているとのこと。幅広いプレイヤーたちからの評価が、Steamユーザーレビューの「圧倒的に好評」ステータスにも表れているのだろう。


なお本作は早期アクセス配信期間として、8か月間〜12か月間が見込まれている。早期アクセス配信中に、既存のシステムの改良やコアとなるゲームサイクルのバランス調整が実施予定。またユーザーのフィードバックをもとにコンテンツ追加が予定されているそうだ。正式リリース時の値上げは“おそらく(probably)”おこなわれない見込み。

『Big Ambitions』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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