とあるホラーゲーム、「モンスターエナジー」とタイトルを巡る商標権争いが起きていると開発者が報告。ゲーム名に「Monster」使用はやや鬼門

インディーホラーゲーム『Dark Deception: Monsters & Mortals』開発元の代表者は3月29日、「モンスターエナジー」権利元と商標権を巡る争いが起きていることを明かした。ゲームタイトル内の「Monsters」が争点となっているという。

インディーホラーゲーム『Dark Deception: Monsters & Mortals』開発元の代表者は3月29日、「モンスターエナジー」権利元と商標権を巡る争いが起きていることを明かした。ゲームタイトル内の「Monsters」が争点となっているという。

モンスターエナジー(Monster Energy)はエナジードリンクだ。米国ではMonster Beverageが製造・販売している(日本ではアサヒ飲料株式会社が製造・販売を担当)。ゲーム関連イベントや団体、ストリーマーのスポンサーを務めるなど、ゲーム業界とも縁深い会社と飲み物だろう。

そんなモンスターエナジーとあるゲームとの間で、名前を巡る争いが起きているという。そのゲームというのが、インディーホラーゲーム『Dark Deception: Monsters & Mortals』だ。同作開発元Glowstick EntertainmentのCEO・Vincent Livings氏が自身のTwitterアカウントで、Monster Energy Company(MEC)との間で商標権を巡る争いが起きていることを伝えている。

今回の争いでは、『Dark Deception: Monsters & Mortals』のタイトル内の「Monsters」が争点になっているという。同作はPC(Steam)向けに発売中。Steamストアページを見ると、タイトルロゴのMonstersの文字が装飾され、サイズも大きめのデザインであることが確認できる。モンスターエナジーのロゴデザインに雰囲気は似ているといえるし、別物ともいえる。

左:モンスターエナジー、右:『Dark Deception: Monsters & Mortals』


Livings氏が投稿した書面によると、同氏側は「Monster」という言葉を単独で用いないことや、モンスターエナジーの爪痕のロゴやデザイン、類似のロゴやフォントを使用しないことを提案。一方でMEC側にモンスターエナジーのいかなる権利も侵害していないことを認めるよう要求している。しかしMEC側はこの提案を認めなかったそうだ。

またLivings氏は、MEC側の提案を記した別の書面もあわせて投稿している。まずMEC側は、『Dark Deception: Monsters & Mortals』のタイトル自体については変更する必要はないとしている。一方でMECはGlowstick Entertainmentに対し、今後の商品やサービスに、Monsterだけでなくさまざまな単語やロゴを商標登録・使用しないよう要求している。たとえば「Monster」の変形である「Monsta」、「Monstrous」、「Monstrosity」といった単語も該当。さらには「Beast」、「Unleash」またはその変形を含む商標やマークも要求に含まれている。さらに爪痕だけでなく、複数の平行線も含めた類似のデザインも商標登録・使用しないよう要求されている。

さらにMECの要求では、文字のフォントや色、サイズでは「Dark Deception」および「& Mortals」よりもMonsterを目立たせてはならないと伝えられている。またモンスターエナジーと紛らわしいフォントやデザインなどを商標登録・使用しないよう求め、『Dark Deception: Monsters & Mortals』の現在のタイトルデザインを修正してMECの承認を受けるよう求めている。

Livings氏はこうしたMEC側の主張を飲むつもりはなく、法廷で争う構えを見せている。また今後MEC側から受け取るすべての情報を共有するとのこと。ほかのゲーム開発者がタイトル内の「Monster」を巡ってMECと争う際に先例にしてほしいと述べている。

なおMECがゲームタイトル内の「Monster」を巡って争うのは今回が初めてではない。過去にはユービーアイソフトの『ゴッズ アンド モンスターズ(Gods & Monsters)』の商標登録に異議を申し立てていたことがある(関連記事)。MECは、モンスターエナジーブランドはすでにゲーム業界に浸透しており、ユービーアイソフトの商標登録によって消費者に混乱をきたすと主張していた。

ユービーアイソフトは当初MECの主張を否定し、「モンスター」との単語はすでに多数の商標ですでに使われていることなどを指摘していた。しかし最終的には、ゲームは『イモータルズ フィニクス ライジング』に改題されることになった。なお本作アソシエイトゲームディレクターJulien Galloudec氏は海外メディアVGCのインタビューに答えており、改題はゲームのビジョンに従ったもので権利上の問題によるものではないとしている。

ゲームタイトル内のMonsterを巡る一連の争い。たしかに「モンスターエナジー」はゲーム業界にも関わり深い存在だ。しかし「Monster」あるいは「モンスター」の名を冠するゲームはすでに数多く存在しているのも事実。今回のGlowstick EntertainmentとMECの争いの行方も注目されるところだろう。

【UPDATE 2022/4/5 13:22】
商標判例データベースを見ると、MECは過去に日本国内でもゲームタイトル内の「モンスター」を巡って、商標の登録異議の申立てなどをおこなっていたことが確認できる(読者提供情報)。『モンスターハンタークロス』や『モンスターストライク』などの商標について、MECは特許庁に登録異議の申立てをおこなったものの、同庁は同作の商標登録を維持すると結論付けていた。

【UPDATE 2022/4/6 15:52】
『モンスターストライク』の商標に関して、追記文の記載を変更

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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