『バイオハザード RE:4』平林P&安保Dに、新システムなど気になるアレコレを訊いた。「遊び心」も継承するリメイク
『バイオハザード RE:4』(以下、『RE:4』)は、2005年に発売されたサバイバルホラー『バイオハザード4』(以下、『バイオ4』)のリメイク作。オリジナル版は初代『バイオハザード』に次ぐサバイバルホラーの金字塔とも呼ばれ、今なお人気の衰えない作品だ。弊誌ではリメイク版である『RE:4』プロデューサーの平林良章氏、ディレクターの安保康弘氏の両名にリモートインタビューを実施。気になる新要素や、リメイクにあたっての思いについて訊いた。
傑作をリメイクする挑戦
──『バイオハザード RE:3』から3年、『バイオハザード ヴィレッジ』から2年と、大きなタイトルとしてはハイペースなシリーズ展開が続いています。企画立ち上げから発売までの期間はどれぐらいでしょうか。
平林良章(以下、平林)氏:
具体的な年数は申し上げられませんが、結構な長期間になります。
──本作『RE:4』は発表時から注目を集めており、ユーザーからはさまざまな反応があったかと思います。発表時から発売までの期間を通じて、嬉しい反応はありましたか。
平林氏:
正直なところユーザーの中には、「あの傑作を今リメイクする必要があるのか?」と思う方もいらっしゃったと思います。プロデューサーとしても、タイトル自体の存在意義に疑問を持たれてしまうと心苦しいので。当初はそうした懸念もあった中、情報を公開するにつれて「懸念が期待に変わり始めた」と言っていただけたのは嬉しかったし、身の引き締まる思いもありました。
安保康弘(以下、安保)氏:
本作は「原作のなつかしさもちゃんと感じられるけど、新しさも感じられる」というリメイク作品を目指していました。その部分を感じ取ってもらえたのが一番嬉しかったですね。
平林氏:
もちろん原作には原作の良いところがあり、今後も楽しんでいただくことができます。それとは別に『RE:4』がリメイクとしてもユーザーの皆さんに受け入れてもらえるのであれば、これ以上に嬉しいことはないかなと。
──情報公開が進むにつれて、ユーザー反応の傾向が変わっていくのは感じました。
平林氏:
ありがとうございます。原作はすでに17~18年ぐらい前の作品なので、原作からリメイクまでの期間という点では実は『RE:2』とあまり変わらないんです。それだけ当時の『バイオ4』のゲームシステムが多大な影響力をもっていたところが大きいと思います。
安保氏:
やはり原作はそれだけ長く遊ばれているんですよね。「(原作発売から)もうそんなに過ぎてるの?」と感じるのはそういった理由もあります。
遊び心をこめた「チャーム」と、遊びを広げるクエスト要素
──『RE:4』には、原作にはない新要素「チャーム」が登場します。アタッシェケースに装備すると特別な効果を発揮するという「チャーム」は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。
安保氏:
これはゲームディレクターの門井(一憲氏)から出たアイデアです。原作の『バイオ4』はプレイ時間が長く、やり込むユーザーも多かった。なので、そのやり込みに対して何か付加できるものがないか、と考えて追加した要素です。
平林氏:
『RE:4』でもいろいろな楽しみの幅を用意したい、という気持ちがありました。チャームはやり込みとしても、通常プレイでの選択肢としても捉えていただけるかと思います。その上で「自分なりにカスタマイズできる要素があると良いよね」と。チャームは最大3つまで付けることができ、複数のチャームから自分なりの組み合わせを考える楽しみもあります。
安保氏:
原作はホラーゲームとしての怖さもありつつ、一方で遊び心があった点もユーザーから受け入れられていて。ちょっとふざけた部分もあったりと、面白さを大事にしていた部分があります。なので今回のリメイクにあたっても「すごく真面目なゲームになっちゃダメだよね」って。原作の遊び心の部分も継承しようという意識があり、そのひとつがチャームになっています。
──公開された映像では、「サイドクエスト」のような青い紙も確認できます。依頼をこなすと報酬がもらえるようですが、どのような新要素になるのでしょうか。
安保氏:
もともと、あえて原作から少しプレイの感覚を変えたいという気持ちがありました。原作は前に進んでいくゲームだったんですが、今時のゲームは自分の意思で行き来して探索する部分があると思います。それを取り入れられないか、という考えからクエスト要素を入れています。ユーザーが任意のタイミングで周辺を探索して、アイテムを集めたり、それを別のものと交換したりと、遊びの幅を広げたいという狙いです。息抜きとして自分のペースで遊んでもらえたらと。
平林氏:
たまに息抜きとはいえないようなミッションもありますけどね(笑)
──公開された映像では、ルイスも登場していますね。原作でも存在感があり軽口も多い人物でしたが、リメイク版でふたたび登場させるにあたり意識した部分はありますか。
安保氏:
ルイスは僕もすごい好きなキャラクターで。まず原作よりルイスの出番が増えています。彼と一緒に行動する中で、一緒にアクションしてくれたりと、彼のAIがとる行動もかなり増えています。原作ではルイスが軽口を叩くようなシーンはデモシーンにしかなかったんですが、リメイク版ではプレイ中も一緒に戦いながら軽口を叩いたりと、共に戦うキャラクターとしてより魅力的になっています。
──新たに日本語声優として、ルイス役に津田健次郎さんを起用されていますね。個人的に大変嬉しかったです。
平林氏:
そう言っていただけると嬉しい限りです。ルイスはユーザーにシリアスに感じてほしい部分と、非常にコミカルな部分があるので、キャラクターとしても幅の広い演技が必要でした。今回初めて日本語のボイスがつくキャラクターとして声優さんを探した結果、その演技の幅広さという点で津田さんはいいルイスになるんじゃないかと思っています。ディレクターに対しても津田さんを推させていただきました。ただ、キャストはもちろん私の一存ではなく、多くの声優さんの演技を入念に吟味させていただいた上での配役となります。お楽しみいただければ幸いです。
過去作から何を変え、何を受け継ぐのか
──過去のリメイクシリーズ『RE:2』『RE:3』の経験から、本作『RE:4』に受け継がれている点はありますか。
安保氏:
前作『RE:2』の開発では、自分たちスタッフも原作をプレイして、原作の印象に残っている部分や意見をいろいろな人に聞きました。すると人それぞれに、ゲーム内の印象深い場所や思い出があるんですよ。なのでそれらをできるだけ多く拾いつつ、どうアレンジすればもう一度遊ぶユーザーにも驚いてもらえるか、と考えました。そうしたやり方を『RE:2』で確立したので、今回もそれに基づいてやっています。
平林氏:
当時は模索しながらのやり方で不安もありましたが、『RE:2』が世に出てからは、ユーザーにもその点を非常に喜んでいただけました。なのでそこは重要な指針だと認識して、『RE:4』でも同じ気持ちで取り組みたいと思っています。
安保氏:
当時の僕自身、売る側ではなくユーザーとして『バイオ4』を遊んでいたので、ユーザーの目線で原作を見た経験もあります。お客さん目線は意識していますね。
──約18年前のオリジナル版から、現代にリリースされる『RE:4』にあたり、一番変わった点はどこだと思いますか?
安保氏:
リメイクとして原作からアレンジしたのは、「操作性」「ビジュアル」「ストーリー」の3つでしょうか。操作面では、コントローラーを手に取った瞬間から感じるほどの違いがあります。ビジュアル面でも現代水準によせた、解像度の上がった密度のあるビジュアルになっています。ストーリーについても各所に原作から掘り下げている部分が用意されていますので。その3つは大きく変化を感じていただけるのではないかと。
──ありがとうございました。
『バイオハザード RE:4』はPS5/PS4/Xbox Series X|SおよびPC(Steam)向けに、3月24日発売予定だ。
[聞き手・執筆・編集: Aya Furukawa]
[聞き手・編集: Seiji Narita]