Activision Blizzardが制裁金46億円支払いに合意。内部告発者の保護条項違反などを指摘され
米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission/SEC)は2月3日、Activision Blizzardが3500万ドル(約46億円)の制裁金支払いに合意したことを発表した。この制裁金は1934年証券取引所法(Exchange Act)違反に関して課されたものとなる。
Activision Blizzardは『オーバーウォッチ』や『Call of Duty』シリーズなどを手がける米国のゲーム企業だ。同社は2008年にActivision Publishingと、Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)親会社のVivendi Gamesが合併して誕生。後にモバイルゲーム大手のKingも買収されている。昨年始めには、マイクロソフトが同社を総額687億ドルで買収すると発表し、現在は各国の規制当局による審査が現在進められている。
同社は世界有数のゲーム企業として人気作を手がける傍ら、2021年には労働環境の問題が浮上。Blizzardにおけるセクハラ問題を発端として、Activision含む同社全体での性差別や不当な待遇についての告発や抗議が相次いだ。同社に対しては、個人や行政からの訴訟も複数提起されており、カリフォルニア州公民権局(Civil Rights Department、旧・公正雇用住宅局/DFEH)および雇用機会均等委員会(EEOC)のほか、今回賠償金支払い合意を発表したSECが訴えを起こしていた。
今回のSECによる発表によれば、今回Activision Blizzardは3500万ドル(約46億円)の支払いに合意した。SECによれば、同社は1934年証券取引所法のふたつの条項に違反したという。ひとつは、「従業員による、職場の不正行為への苦情」といった懸念の存在を、同社が投資家向けに適切に開示する体制をとれていなかったとの指摘だ。もうひとつは、SECに向けての情報提供を不当に妨げてはならないという、内部告発者保護条項に違反したとの指摘となっている。具体的には、同社を離れた従業員に対して、SECからの情報提供を呼びかけられた場合にその旨を同社に伝えるよう要求していたとされる。なお、Activision Blizzardはこうした問題の是正命令および制裁金の支払いに合意した一方で、違反についての認否は示していないとのこと。
【UPDATE 2023/2/4 16:06】
SECによる指摘の詳細を補足
なお、Activision Blizzardは昨年3月には、EEOCに対して1800万ドル(当時のレートで約22億円)の支払いで合意していた(関連記事)。一方で、いくつかの係争については引き続き継続中と見られ、同社の職場環境や体質はいまだ厳しい視線に晒されている。また、前述のマイクロソフトによる同社買収についても、米連邦取引委員会などが阻止の姿勢を明白にしており、こちらも懸案のひとつとなっている(関連記事)。