人気オンラインチェスサイト、ユーザー数爆増で1日の利用者1000万人に。世界レベルのチェスブーム到来

チェスサイト「Chess.com」運営元は1月23日、同サイトのサーバーが不安定な状態が続いていることを発表した。利用者数が急増を見せ、サーバーがデータの処理に対応できないためだという。

チェスサイト「Chess.com」運営元は1月23日、同サイトのサーバーが不安定な状態が続いていることを発表した。利用者数が急増を見せ、サーバーがデータの処理に対応できないためだという。

「Chess.com」はさまざまなチェス関連のサービスが提供されているサイトだ。対人戦が可能なオンラインチェスのほか、チェス入門者向け講座やCPU相手の対戦機能。さらに詰め将棋のように楽しめるパズルモードも用意。チェス関連のニュースまで取り扱うサイトとなっている。


今回、「Chess.com」では現在サーバーが不安定な状態にあり、現在解決に向けた取り組みが進められていることが公式発表された。そして同サイトのサーバー負荷を大きくしている原因は、ユーザー数の爆発的な増加だという。

発表によると、先月12月31日、同サイトの1日の利用会員数は史上最高となる700万人を記録。そのまま今月1月には、ほとんど毎日同サイトの利用会員数の記録を塗り替え続けたとのこと。記録を更新しなかった日は5日間だけだという。そうして1月20日には1日の利用会員数が1000万人に達したそうだ。そうした利用者数の増加を受けてサイトのトラフィックは12月初めと比べてほぼ倍増。ピーク時となる日本時間午前2時から6時にかけては、サーバーが特に不安定な状態にあるそうだ。

また「Chess.com」の公式アプリも好調とのこと。米国App Storeにおける無料ゲームアプリ部門では、2位を記録。そのほか複数の国で1位を記録する好調ぶりだという。


利用者が増加し続けている理由について、同サイトは見解を述べている。発表においてはまず、2020年および2021年の人気の理由は明らかであると言及。Netflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」の人気や、ロックダウンによる自宅での娯楽需要増加などがチェス人気を高めたとの見解が述べられている。

一方で2022年のチェス人気の高まりでは、絞り込めないほどさまざまな要因が考えられるという。チェスコミュニティが創出したコンテンツの数々。FIFAワールドカップに際して打ち出された、クリスティアーノ・ロナウド選手とリオネル・メッシ選手がチェスをする広告。チェスの世界チャンピオンであるMagnus Carlsen氏が、自身の連勝記録を止めたHans Niemann氏の不正を唱えた一幕(BBC)などが挙げられた。そうした出来事が良くも悪くもチェスの注目を集めていたとの見方だろう。

また最後には、同サイトに今月1日に追加されたCPU対戦相手Mittensの存在も挙げられている。「Chess.com」のCPU対戦機能では、対戦可能な相手の腕前の目安が、オンライン対戦と同じくレーティングとして記載。Mittensのレーティング表記は1で、表記上は最低レーティングの対戦相手である。しかしレーティング表記や可愛い子猫の見た目とは裏腹に、Mittensは異常な強さを誇る。その強さはチェスのグランドマスター中村光氏を引き分けに持ち込むほど。また強さだけでなく、対戦中にチャットで相手を煽り続ける“口の悪さ”でもユーザーの注目を集めているCPUだ。話題のMittens目当てにChess.comを訪れ、腕試しに興じた利用者も一定数いることだろう。

いずれにせよ「Chess.com」の、サーバーが不安定になるほどの爆発的な人気は、2020年から続くチェス人気の高まりに、さまざまな要因が重なった結果なのだろう。なお同サイト運営元はこれまでロックダウン中に大規模な投資をおこない、サーバーを強化していたという。そのため「クイーンズ・ギャンビット」ブームの際にはほとんどサービスが中断されることはなかったそうだ。しかしながら今回のユーザー数急増ではデータの処理が追い付かず、不安定な状態に陥っているとのこと。

サイト運営元は今週中のサーバー強化を予定しているものの、問題解決のためにはハードウェアの増強だけでは不十分との見立てが述べられている。サーバー強化とあわせて、データベース上の問題などを発見し、システム上のボトルネックへの対処も進められていくそうだ。また早急な処置としては、不具合発生時により迅速に復旧できるような改善が試みられるとのこと。今週末にはより安定した体験が提供される見込みだそうだ。また2~3週間後には次の“チェスブーム”にも耐えうるような大きな変更が実施されるとのこと。

人気ドラマや広告、はたまた“残忍な子猫”の影響もあってか怒涛の勢いで利用者数を増やしているという「Chess.com」。今後サーバーやシステム面でのサイトの安定化が予定されているとのことなので、その機会にチェスに入門してみるのもいいだろう。ちなみに同サイトでは1月1日に、Mittensを含め5匹の猫CPU対戦相手が追加されている。Mittensのほかの猫たちはグランドマスターでなくとも善戦可能な常識的な腕前となっているため、まずは彼らに挑戦してみるのもいいかもしれない。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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