マイクロソフト、任天堂プラットフォームおよびSteamへの『Call of Duty』シリーズの提供を確約。Activision Blizzard買収計画に関連して

マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏は12月7日、同社がActivision Blizzardの買収を完了したのちに、任天堂プラットフォームへの『Call of Duty』シリーズ作品の10年間の提供を確約する決定をおこなったことを明らかにした。

マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏は12月7日、同社がActivision Blizzardの買収を完了したのちに、任天堂プラットフォームへの『Call of Duty』シリーズ作品の10年間の提供を確約する決定をおこなったことを明らかにした。またSteamにおいても、同シリーズ作品をXbox版と同時配信することを確約するとしている。同氏は、プラットフォームにかかわらず、より多くの人々により多くのゲームを届けるためであると説明した。

マイクロソフトが今年1月、Activision Blizzardを総額687億ドル(約9兆4000億円・現在のレート)で買収する方針を発表。現在は、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないかなどについて、各国の規制当局による審査が現在進められている。Activision Blizzardは、傘下のActivisionが手がける『Call of Duty』シリーズや、Blizzard Entertainmentの『オーバーウォッチ』『Diablo』、またKingの『Candy Crush』など、多数の人気IPを抱えている。

上述した規制当局による審査において焦点のひとつになっているのが、マイクロソフトが買収後に『Call of Duty』シリーズをどのように取り扱うのかについてだ。つまり、Activision Blizzardが保有するなかでも特に巨大なフランチャイズであり、マルチプラットフォームで展開されてきた同シリーズを、マイクロソフトが独占化するのではないかと、一部の当局は警戒している。またSIEも同様の理由で、この買収に反対の姿勢を表明している。

これまでマイクロソフトおよびPhil Spencer氏は、『Call of Duty』シリーズを独占する考えがないことについて、たびたび言及してきた。今回の、任天堂プラットフォームおよびSteamへの同シリーズの提供を確約するという決定は、買収にかかわる審査を有利に進めるための一手といえそうだ。もちろん、そもそも独占する意図がないということをはっきりさせる狙いもあるのだろう。


なお、任天堂に対しては10年間と期限をつけていることについては、おそらくあまり大きな意味はないものと考えられる。Spencer氏は以前本件に関連した話題にて、“永遠に”提供すると記載するような契約は存在しないと述べていた(The Verge)。

一方で、もうひとつの主要プラットフォームであるSIEのPlayStationが今回言及されていないことは興味深い。今回の買収計画にあたってマイクロソフトは、SIEが現在結んでいる契約が終了した後も、『Call of Duty』シリーズを少なくとも数年間提供することをSIEに対し約束。SIE社長兼CEOのJim Ryan氏は、それが3年間であったことを明かし、不満を示していた(関連記事)。また先日には、「PlayStationが存在する限りリリースする」とSpencer氏が言及したほか(関連記事)、SIEに対し新たに10年間の提供を提案したことも報じられている(VGC)。

先述したように買収審査においては、『Call of Duty』シリーズがPlayStationプラットフォームに引き続き提供されるのかどうかが焦点のひとつとなっており、SIEは買収に反対の立場。マイクロソフトは、SIEにも10年間の提供を提案したものの、今回言及されなかったということは、まだ両社間で合意に達していないのかもしれない。いずれにせよ今回の声明にてマイクロソフトは、しばらくシリーズ新作が出ていなかった任天堂プラットフォームにも言及し、独占の意図がないことを改めて表明したかたちとなった。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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