『Apex Legends』新イベントYouTubeトレイラーに異例の低評価が寄せられる。“マンネリ年越し”に不満噴出か
Respawn Entertainmentは12月1日、『Apex Legends』「ウィンタータイド コレクションイベント」(以下、ウィンタータイド)のトレイラーをYouTubeにて公開した。そして本トレイラーには、数多くの低評価が寄せられている。異例の低評価数には、イベント内スキンや期間限定モードにおける“使い回し”が関係していると見られる。
「ウィンタータイド」は日本時間では12月7日の開催となる見込みで、イベント仕様の各種装飾アイテムのほか、期間限定モードが登場予定。あわせてトレイラーも公開され、一連のイベント内要素が確認できる。
そしてこのトレイラーに寄せられた低評価数の多さが、注目されている。海外メディアDexertoの運営するTwitterアカウント「Apex Legends News」が動画ページの画像を添付して、本トレイラーの低評価数を指摘。ツイート時点で約1万6000件の低評価数となっている。なお低評価数は、ブラウザの拡張機能を利用して確認したものだろう。弊誌でも確認したところ、現在高評価が約2万件、低評価が約3万件となっていた。「Apex Legends News」のツイート時からかなりの勢いで低評価数が増している。低評価数自体ではもっと数の多いトレイラーも存在するものの、本動画の低評価率やその増加率は異例といってよい数字だ。ただし、ブラウザの拡張機能の低評価推定機能については、数字の推定精度が低いことが弊誌調査で判明しており、そうした点を留意されたい。
【UPDATE 2023/1/24 19:30】
本記事における低評価数は、ブラウザ拡張機能による低評価推定プラグインを参考にしているが、弊誌検証の結果、同プラグインによる推定精度が低いことを追記。
色違いスキン
では本トレイラーがこれほど低評価を集めた原因は何だろうか。ひとつには、イベント仕様のスキンが関係していると思われる。まず今回のイベントでは、レイスのプレステージスキン「Apexヴォイドシフター」が登場する。プレステージスキンとは、3段階のTier(段階)が用意された特別なスキンだ。プレステージスキンはスーパーレジェンドと共に、ミシックと呼ばれるレアリティに分類される。これまでの「Apexヴォイドシフター」もこれまでのミシックと同じく、コレクションイベント仕様の24種の装飾アイテムをすべて揃えたユーザーへのコンプリート報酬として登場する。
イベント仕様のアイテムは、基本的には1個700 Apexコイン(1 Apexコインあたり約1円)のイベント仕様パックを買って揃えることになる。イベント仕様アイテムは“確定排出”ながら、プレステージスキンのために24種すべて集めれば1万6800 Apexコインを要する。イベントストアで割引手段が用意される場合もあるものの、プレステージスキン獲得にはかなりの費用が必要だ。
通例どおりであれば今回も、装飾アイテムにはバナーやダイブエモートといった品目も用意されるだろう。一方で目玉となるのは、やはりレジェンド用のレジェンダリースキンだ。レジェンダリースキンでは通常スキンから3Dモデルが変化。イベントのテーマに沿った、凝ったデザインのスキンが用意される。今までのコレクションイベントのレジェンダリースキンでは、基本的に新規モデルのスキンが販売されていた。高価なプレステージスキン目当ての場合でも、さまざまなスキンを揃えることができた。
しかし今回のイベントでは一部スキンで、3Dモデルが過去のスキンから使い回されていることが確認できる。ジブラルタルとブラッドハウンドのスキンが細かい変化はあれど、過去のスキンの色違いといえるデザインとなっている。
すなわち今回のイベントでは、ミシックに準ずる目玉アイテムともいえるレジェンド用スキンに、過去スキンの“使い回し”が複数紛れていることになる。さらに人気レジェンドであるレイスのプレステージスキンと“使い回しスキン”がセット売りされている点が、ユーザーの反感を買っているわけだ。
期間限定モードのマンネリ
低評価ふたつ目の原因と見られるのが、2019年よりおなじみとなっている「ウィンターエクスプレス」だ。今回のイベントでも例年どおり、期間限定モードとしてウィンターエクスプレスが開催。3つの部隊が列車を巡ってラウンド制で戦う。本モードの内容は昨年から大きな変化がないと思われ、これもユーザーの不興を招いている様子だ。というのも、本モードには2020年には大幅な改修があった。スポーン地点としてサプライシップが登場し、戦略性が変化。停車駅も追加された。
一方で昨年はロードアウトの仕様が変化するという小さな変更にとどまった。つまり、3回連続でほとんど同じウィンターエクスプレスが登場する見込みが高いわけだ。もちろんサプライズで新要素が実装される可能性はあるものの、少なくとも発表されている範囲では、昨年から変化のないウィンターエクスプレスが登場するようである。
冬季イベント内の“使い回し”にユーザーの不満が噴出したのは、今回が初めてではない。ウィンターエクスプレスに大幅な改修が見られた2020年でさえ、スキン販売方法やモードの“使い回し”が指摘されていた(関連記事)。冬季イベントが例年代わり映えしない点に関しては、年末年始に際して開発チームの休息を設ける方針があるとも考えられる。ただ今シーズンは、シーズン3に次いで歴代で2番目に長いシーズンとなる。シーズン期間は105日であり、2月15日まで継続予定。長いシーズンの中で、ユーザーは今回のイベントがもたらすゲームへの変化に期待していたはずだ。そこにレイスのプレステージスキンと“セット売り”された使い回しのスキンと、代わり映えのないウィンターエクスプレスの映像が重なった。そうした理由から、例年にも増してユーザーの不満が噴出。トレイラーの低評価数に反映されたのだろう。
2番目に長いシーズンの先には
一方で、長すぎるシーズンについては、ユーザーの我慢が報われる可能性はある。本作プロデューサーのJosh Medina氏は先月、「Apex Legends News」が今シーズンの長さを指摘した際、“虹の終わり(the end of the rainbow)”は待ち望むだけの価値があるとコメント。次のシーズンには期待してほしいとの示唆だろう。次のシーズンは、シーズン15終了直後の配信であれば、2月中旬ごろの配信となる見込み。本作のサービス開始4周年を迎えた後に開幕するシーズンであり、節目となる時期に大きな変更が計画されている可能性はある。他方では、本作テクニカルディレクターを務めるSamy Duc氏が先日、ユーザーの要望が多かったSBMM(スキルベースマッチメイキング)の仕様変更についても約束。そちらは今シーズン中の配信になる旨を明かしている。新シーズンに向けてさらに遊びやすくなる変化がもたらされる見込みはありそうだ。
『Apex Legends』シーズン15のSteam同時接続プレイヤー数は、シーズン14に比べて落ち着きを見せている(SteamDB)。サービスが長らく続いている本作に、新マップや新レジェンド以上の新鮮さを望むユーザーもいることだろう。Medina氏の発言を見るに、次のシーズンでは大きな変化を期待してよいのかもしれない。