『オーバーウォッチ2』の新ヒーロー「ラマットラ」の開放条件に批判の声。ヒーローはバトルパスの向こう側
Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は11月5日、『オーバーウォッチ2』に向けて新ヒーロー「ラマットラ」を発表した。ラマットラは12月7日から開幕されるシーズン2と同時にリリース予定。しかし、このラマットラの入手方法に、一部プレイヤーから批判の声が集まっている。
ラマットラは、オムニックのタンクヒーローだ。シーズン1で追加された新ヒーロー「キリコ」と同様、プレイヤーはプレミアムバトルパスを有償ゲーム内通貨で購入し、ラマットラを即時入手可能。もしくは無料のバトルパスをレベル55まで上げることでも入手できる。シーズン終了後は、ゲーム内通貨であるオーバーウォッチコインでの入手が可能となるようだ。
そうした入手方法について、本作プレイヤーや著名実況者などが異議を唱えている。たとえば、YouTubeやTwitch等で『オーバーウォッチ2』関連コンテンツを投稿するStylosa氏だ。同氏はYouTubeにて、チャンネル登録者数73万人を超えるなど人気を博している人物だ。同氏は11月7日、バトルパスシステムについての問題点を指摘する動画を投稿。そのなかで、ラマットラや今後追加されていくヒーローが、バトルパスでロックされることによってもたらされるゲームプレイへの影響を懸念していると語った。同氏は『オーバーウォッチ2』ではヒーロー同士の相性が特に重要であり、ラマットラが必要不可欠となるチーム構成や場面が出てくるのではないかと指摘。バトルパスによって開放されるヒーローを所有しているか否かで、ゲームプレイに格差が生じるのではないかと危惧しているわけだ。
また、Stylosa氏はシーズン1とシーズン2のバトルパスとの違いにも言及。シーズン1で開放可能なサポートヒーロー「キリコ」は、前作『オーバーウォッチ』の所有者であれば即時アンロックが可能であった。しかし、シーズン2以降はすべてのプレイヤーが同様のアンロック手順を踏まなければならない点に言及している。また、前作『オーバーウォッチ』は買い切りタイトルとして、新規実装ヒーローは全プレイヤーが即座に利用可能となっていた。こういった点を踏まえて同氏は「基本プレイ無料になるのなら、もっとよいかたちのバトルパスや運営方針を期待していた」との旨を伝えている。前作からのプレイヤーのなかには、同氏と同じように新たな環境に戸惑いを感じている人もいることだろう。
なお無料バトルパスシステムでのヒーロー開放条件には、シーズン1時点から批判の声が上がっていた。ヒーローアンロックが可能となるバトルパスレベル55に到達するには、およそ50時間のプレイが必要とされ、一部メディアでは“アンロックに時間が掛かりすぎるのではないか“との声も取り上げられていたのだ。一連の懸念については、TwitterなどSNS上でプレイヤーからも同様の意見が寄せられている。
一方で、Blizzard側もバトルパスによるヒーローアンロック方式には、しばしば言及している。『オーバーウォッチ2』のアートディレクターを務めるDion Rogers氏は、シーズン1のヒーロー入手システムに対する批判を受けたと見られるコメントとして、“チーム内でも絶えず議論されている内容だ”とコメントしていた(TheGamer)。一方で本作ゼネラルマネージャーのWalter Kong氏は、ヒーローをバトルパスでのアンロック方式とした思惑について、“ヒーロー追加は最も人気のコンテンツであり、プレイヤーの興味を誘う新システムのバトルパスに取り入れるのが適切だと考えている”と言及している(PC Gamer)。
また、Blizzardは9月の公式ブログ投稿において、バトルパスによるヒーローアンロックシステムについて説明している。同投稿ではまず、「特定のヒーローに対して、特定のヒーローが極端に有利」という相性、いわゆる“ハードカウンター”に関して言及。プレイヤーが幅広いヒーローを利用できるよう、そうした極端なカウンターを緩和する調整に取り組んでおり、指針としていくと伝えた。また、本作にて追加される新ヒーローは、登場から数週間はライバル・プレイ(ランクマッチ)での使用が制限。開発チームがバランス調整などをしやすいようにするという。Blizzard側は、こうした「新ヒーローのランクマッチ向けの解禁を遅らせ、素早い調整を実施する」という対応により、バトルパスを通じたヒーローアンロックの問題点を緩和しているとの見解のようだ。
なお、Stylosa氏は前述の動画にてバトルパスの改善案についても提示。バトルパスに導入されるのは、「ゲームプレイに影響を及ぼさないコスメティックアイテムなどに留めるべき」との意見を伝えている。ヒーローアンロックを通じてゲームプレイに格差が生じてしまう限り、こうした異議の声は投じられそうだ。