Nintendo Switch版リリース『ポリトピア』開発者に話を訊いた。なぜSteamで「圧倒的に好評」を獲得できたのか、なぜ日本語対応したのか
デベロッパーのMidjiwanは10月13日、ターン制戦略ゲーム『ポリトピア(The Battle of Polytopia)』のNintendo Switch版を配信開始した。価格は1999円(税込)で、ゲーム内は日本語表示に対応している。またこれに合わせて、本作のほかのバージョンも日本語に対応した。
本作は、2016年にモバイル版が配信され、2020年にはPC(Steam)版もリリース。現時点で、Steamのユーザーレビューにて「圧倒的に好評」ステータスを獲得するなど、非常に高く評価されている作品である。今回弊誌では、本作の魅力やNintendo Switchへの移植、さらに今後の計画などについて、開発元Midjiwanにお話をうかがった。
まずは『ポリトピア』のゲーム概要を紹介しておこう。本作は、かわいいローポリゴングラフィックを採用するターン制戦略ゲーム。舞台となるのは、ポリトピアンと呼ばれる人々が暮らす平らな世界だ。プレイヤーは12種類(DLC除く)ある部族から選択してプレイする。各部族は初期習得している技術が異なり、たとえばシン=シは山のタイル上を進むことができ、バルデューは野生の獣を狩ることが可能。また、部族ごとにユニットの見た目はもちろん、ランダム生成されるマップの環境表現もガラッと変化する。
本作は、いわゆる4Xゲームである。プレイヤーは、拠点で生産したユニットを送り出してマップを探索。ほかの部族と戦い、新たな技術を開発しながら、領地を拡大させていく。技術は、自陣の人口に応じてターン毎に獲得できるスターを消費することで開発可能。たとえば能力の異なるユニットをアンロックし、またスターを消費して生産するのだ。そうして自らの勢力を強化し、敵部族の侵略に対抗しながら、領地を拡大させていくこととなる。
ゲームモードは、計30ターンでのハイスコアを目指すパーフェクション、ほかの部族をすべて倒すことを目指すドミネーション、そして各種ルールを調節してプレイできるクリエイティブを収録。なお、本作のPC/モバイル版はマルチプレイに対応しているが、Nintendo Switch版は現時点ではシングルプレイのみとなっている。
先述したように、本作は先行してリリースされたPC版もモバイル版も非常に高い評価を獲得している。直感的に遊べるゲームデザインを含め、気軽に楽しめるとっつきやすさがある一方で、奥深さも備えた戦略ゲームに仕上がっていることが好評のようだ。
さてここからは、開発元Midjiwanへのインタビューをお送りする。
――ついに『ポリトピア』が日本語に対応しましたが、日本語サポートを決めたきっかけは何でしょうか。
日本のプレイヤーからゲームを翻訳してほしいという声をたくさんいただきました。今後は日本のプレイヤーの皆様も『ポリトピア』を上手にプレイするための情報を得られるようになるでしょう。
――本作は、4Xゲームとしては比較的手軽かつ直感的に楽しめることが大きな特徴だと思います。そうしたゲームデザインを採用した理由や、特にこだわった点は何でしょうか。
当初の目標は、小さなモバイルデバイスでプレイできる面白いストラテジーゲームを作ることでした。そのため、休憩時間に10~20分だけプレイしても楽しめるように、シンプルなユーザーインターフェイスとゲームデザインにしなければなりませんでした。
――本作の開発にあたり影響を受けた、あるいは特定の要素について参考にした作品はありますか。
はい、あります。私たちは『シヴィライゼーション』の大ファンです。『ポリトピア』は『シヴィライゼーション』をテンポよく、合理化したものだと言っても過言ではありません。
――本作はユーザーレビューにて、Steamでは「圧倒的に好評」、App StoreやGoogle Playでも非常に高い評価を得ています。開発元としては、どのように受け止めていますか。
もちろん高評価には非常に満足しています。これは私たちがユニークなゲームを作ったことの表れですから。プレイヤーの中にも何年もプレイしてくれている方がいます。ゲームが高い信頼性を持っていることが分かりますし、個人的な話ですが、私も飽きることなく毎日プレイしています。自分自身のことも『ポリトピア』のプレイヤーとして、まだ改善できる点がたくさんあります。
――2016年のモバイル版リリース当初から、そのような高評価だったのでしょうか。あるいは、これまで少しずつ評価を上げてきたのでしょうか。もし後者であるなら、どのような取り組みをおこなってきたのかお教えください。
実際にはリリース当初から高い評価を受けていましたが、その評価を維持するために、新しい部族や機能を追加し、ゲームのバランスを調整することに取り組んできました。私たちは常にレビューを拝見し、プレイヤーからのフィードバックを集めて、ゲームを改善する方法を模索しています。
――先日、全プラットフォーム合計で1600万ダウンロードを達成したと発表されていました。やはり売り上げも好調ということでしょうか。Steam版の販売本数はどれくらいになりますか。
販売の詳細については触れませんが、うまくいっていることは確かです。私たちはインディーゲーム開発者として、お金を稼ぐことではなく、素晴らしいゲームを作ることに集中するという取り組み方を続けることができます。
――ここまでの成功に至った理由について、開発者さまの考えを教えてください。
それはシンプルにゲームを始められるということと、経験を積んでからのゲームの戦略的な奥深さの組み合わせだと思います。高度なスキルをベースにしたゲームプレイや、ランダムな要素がほとんどないことで、プレイヤーが学ぶことによって良いプレイヤーになることができるスキルのゲームになっています。また、少ないポリゴン数のグラフィックスタイルと、それぞれの部族にまつわる言い伝えも、プレイヤーを虜にしているのだと思います。
――初のコンソール版にNintendo Switchを選んだ理由は何ですか。また、移植開発において苦労した点や、こだわった点はありますか。
任天堂のファンには、インディーゲームに興味のある適切なタイプがいると感じています。また、Nintendo Switchには、モバイルゲームとしてリリースされた当初からの遊び方であるタッチスクリーンが搭載されています。移植における主な課題は、コントローラーでゲームを直感的に操作できるようにすることです。
――Nintendo Switch版配信を受けて、本作で初めて戦略ゲームに触れるという人もいるかと思います。戦略ゲーム初心者に向けて、ゲームプレイ上のアドバイスがあればお教えください。
ゲームのプレイ中にテキスト情報のポップアップを読むことをお勧めします。その中にはゲームをマスターする方法に関して有益な情報がたくさん含まれています。あとは簡単なレベルから始めて、徐々に難しい難易度にしていきましょう。経験を積んだら、それぞれの部族で3つ星の獲得を目指して頑張ってください。かなりのやりごたえがあるはずです。
――Nintendo Switch版にて本作のことを知った、戦略ゲームが大好きな上級者もいることでしょう。彼らに対しては、本作のどのような点をアピールしたいですか。
Nintendo Switch版には通常の12の部族がすべて収録されていますので、さまざまな部族を試してみてください。部族はそれぞれ技術ツリーでスキルを1つアンロックした状態で始まります。そのため、部族によって異なる戦略でプレイする必要があります。また、出会う部族によって戦略を調製する必要があります。
――DLCとして追加部族が複数販売されています。どれから買うべきか迷う方もいるかと思いますが、オススメはありますか。
DLCの部族のことを、私たちは特別な部族と呼んでいます。彼らはより特殊な能力を持っており、実際に新しいゲーム体験を生み出し、通常の部族とはまったく異なるプレイを強いられるでしょう。それにしても、特別な部族でも通常の部族でも、ある部族が他の部族よりも優れているということはありません。勝つためには正しい戦略しかありません。そしてその戦略こそが『ポリトピア』のすべてです。
――マルチプレイは、Nintendo Switch版はオフラインのみのようですが、今後オンラインに対応したり、クロスプレイに対応したりといった計画はありますか。
後にマルチプレイヤーを追加したいと考えていますが、正式な計画はまだありません。
――本作の今後の計画や展望についてお教えください。
今後も引き続きゲームも改善を行っていきます。現時点では、ゲームにスキンを導入することと、新しい部族の開発に取り組んでいます。また、マルチプレイヤートーナメントの立ち上げと運営を容易にできるようなeスポーツ機能にも取り組んでいます。eスポーツ版には、ターン時間の制限やリプレイ、その他にもクールな要素が盛り込まれています。間違いなく面白くなりますよ!
『ポリトピア(The Battle of Polytopia)』は、Nintendo Switch/PC(Steam)およびiOS/Android向けに配信中だ。