『マインクラフト』で“フレンド”を自作したユーザーが登場。友達がいないなら作ればいい
プレイヤーの創造力の赴くまま、さまざまなものを作ることができる『マインクラフト』。ゲーム内に留まらず、ゲームの外での本作Modやアドオンなどの制作も盛んだ。そんな本作で、“フレンド”まで自作してしまうユーザーが現れたようだ。80 LEVELが伝えている。
『マインクラフト』は、人気のクラフトサンドボックスゲーム。プレイヤーは世界を探索し、素材を収集し、道具を作って行動の幅を広げていく。プレイヤーはどのような目標をもってもよいし、そこに到達するまでの道のりも多様だ。また、本作はマルチプレイにも対応している。フレンドたちをサーバーに招待するなどの方法で、冒険・建築・採掘などを共に楽しむことができる。
一方、そうしたオンライン機能を利用することなく、“フレンド”を自作したというユーザーが現れた。海外掲示板Redditに、自作のフレンドと仲睦まじくプレイする様子を収めた動画が投稿されている。投稿者はKNKevin氏。過去にも巨大な「砂絵」の動画など、本作のコンテンツを制作・投稿しているユーザーだ。
「人工フレンド」動画は、ゲーム内チャットに「Give me a friend(友達がほしい)」と入力するところから始まる。メッセージを送信すると、突然目の前にキャラクターが出現。こちらに礼儀正しく、お辞儀をしている。名前はBestie(親友)というようだ。KNKevin氏がチャットで挨拶すると、向こうも返答。その後の会話も成立している。「一緒に『マインクラフト』を遊んでくれますか?」という同氏の質問にも快諾。こうして、同氏とBestieの冒険が始まるのであった。
動画ではその後、Bestieと森の中を探索する様子や、敵キャラクターであるピリジャーたちとの死闘を繰り広げる様子が確認できる。そして、町で一息ついたKNKevin氏は、Bestieにクッキーを贈答。喜ぶBestieは「ありがとう、bestie!」となぜか自分に向かって感謝。挙動は怪しいものの、感謝を述べている。そして、動画はKNKevin氏がBestieと仲良く添い寝をするシーンで締めくくられていた。
一見、普通のフレンドとのプレイ動画のようにも思えるこの動画。実は、BestieがおこなったKNKevin氏への返答は、AIによって生成されたメッセージだそうだ。つまり、同氏はAIにクッキーを贈ったり添い寝したりしていたわけである。メッセージ生成には、OpenAIが開発した言語モデルAI、GPT-3が利用されているという。GPT-3は、事前学習をもとに文章生成をおこなうAIだ。文章のどこに要点が置かれているのかに絞ることで、低負荷かつ高い精度で言語学習をおこなう仕組みが盛り込まれている。Bestieの正体は、最新技術によって生み出されたAIだったわけだ。
なお、Bestieが会話だけでなく、仲間として共に行動している仕組みについては明かされていない。しかし、『マインクラフト』には特定エディションでのNPC作成機能や、NPCを仲間にできるModもいくつか存在する。Bestieの挙動に関しては、そうした機能やModが応用されているのかもしれない。また、KNKevin氏によると、Open AIのガイドラインに基づき、交流目的のチャットボットであるBestieはModとして公開または共有することはできないそうだ。
画期的な自作フレンドの登場には、Redditのユーザーたちは驚きと称賛を示していた。ただその一方で、なんとなく悲壮感を覚えるユーザーもいる様子。各人複雑な思いでKNKevin氏とBestieとのイチャイチャを眺めているようであった。
『マインクラフト』では、先日にも“7万時間見て学んだAI”がOpenAIによって紹介されていた(関連記事)。操作はシンプルながら要素の多い本作は、AIの試験運用にも最適なゲームなのだろう。『マインクラフト』でのAI運用例は、今後も登場するかもしれない。