CRI・ミドルウェアが高性能コミュニケーションツール「CRI TeleXus」提供開始。まずは100人規模の低負荷ボイチャ機能から
株式会社CRI・ミドルウェア(以下CRI)は5月24日、新製品「CRI TeleXus(テレクサス)」のアーリーアクセス版の法人企業向け提供を開始した。高性能ボイスチャットを中心とした、コミュニケーションの活性化を促す製品であるという。
CRIは、ゲームを中心に活用されるミドルウェアを手がけている企業だ。例としては、多様なサウンド演出を手軽に実現する「CRI ADX」や、ムービーを活用したリッチな演出を手軽・軽量に実現する「CRI Sofdec」などがある。こうしたソフトウェアはさまざまなタイトルに採用されており、ゲームの起動時などに「CRIWARE」のロゴを見たことがあるユーザーも多いだろう。また、同社は高圧縮・高音質コーデック「HCA」なども提供しており、ゲーム開発に活用されている(関連記事)。音声にまつわる技術力も、CRIの強みなのだ。
そうしたCRIの音声関連技術を活かした新製品が、「CRI TeleXus」だ。同製品はコミュニケーションを活性化させ、コミュニティ拡大による収益の向上に寄与するソフトウェアであるという。今回提供開始したアーリーアクセス版では、ボイスチャット機能の先行試用ができるとのこと。このボイスチャット機能は、同社の音声圧縮技術、パケット制御技術、音声処理技術によって、通信量を大幅に削減。100人規模の多人数同時会話に対応しており、立体音響による話者のポジショニングも可能だという。また、クロスプラットフォームにも対応する。
スペック面でいえば、「CRI TeleXus」ボイスチャット機能における音声データの総通信量は、13Kbpsにまで削減されているという。たとえば、コミュニケーションツール「Discord」のデフォルト音声通信量設定は64Kbpsだ。下限8Kbpsまで下げられるものの、音質はかなりガサガサとなる。通信量が下がれば下がるほど、ユーザーのネットワークの通信帯域に余裕がでる。「CRI TeleXus」が13Kbpsで音質もしっかり保っているのなら、声を通じたコミュニケーションの快適さ全般に大きく寄与するだろう。活用例としては、バーチャル空間で大人数が集まるケースなどが考えられそうだ。具体的には、比較的低速な回線でも快適に通話でき、さらにはバーチャル空間内でのユーザー位置関係によって、それぞれの声の聞こえ方が変わるといった実装だ。
「CRI TeleXus」の正式版では、さらに多彩な機能が提供される予定だ。高性能ビデオチャット・ストリーミングビデオ配信機能・ラウンジアプリなどが提供されるという。活用例としては、音声会話を自動的に翻訳するAI通訳や、ゲーム内外でのコミュニケーションおよびメタバースなどが例示されている。ほかにも、オンラインライブなどのイベント、そして自動運転車を繋いでの「カラオケバトル」などさまざまな用途が考えられるようだ。言語・回線品質・プラットフォームなどの垣根を超えて、コミュニケーションを促進する製品というコンセプトなのだろう。「CRI TeleXus」採用製品を通じて、ユーザーにどのような体験がもたらされるのか興味深い。
「CRI TeleXus」は現在、法人企業向けにアーリーアクセス版を提供中。興味のある方は、本製品コンセプトページをチェックしてみてほしい。