傑作FPS『ゴールデンアイ 007』“覗き見防止”環境が約25年越しに構築される。N64実機と約100万円超の機材で

NINTENDO64の『ゴールデンアイ 007』対戦モードが、リリースから25周年の折に「個別画面化」されたようだ。イギリスのビデオゲーム博物館が、『ゴールデンアイ 007』特別イベントのため高額の機材を利用して実現した。

傑作FPSゲーム『ゴールデンアイ 007』対戦モードが、リリースから25周年の折に「個別画面化」されたようだ。イギリスのビデオゲーム博物館が、特別イベントのため高額の機材を利用して実現した。オンライン対戦ゲームが主流のいま、かつての対戦環境を思い起こさせる光景となっている。

Image Credit: CW6 on MobyGames

『ゴールデンアイ 007』は1997年8月23日(海外では25日)、NINTENDO64向けに発売されたファーストパーソン・シューティングゲームだ。ジェームズ・ボンドでお馴染みの映画「007/ゴールデンアイ」を題材とし、イギリスのレア社が開発を手がけた。本作は海外を中心に人気を博し、元プロデューサー/ディレクターのMartin Hollis氏談によれば800万本以上を売り上げたとされる(webarchive)。近年でも、リマスター版の噂などが取り沙汰されたほか、ファンメイドの非公式リメイクが開発差し止め要求を受けるなどの一幕もあった(関連記事)。発売25周年を迎える今年に至っても、多くのファンの胸に残る作品なわけだ。

『ゴールデンアイ 007』は1人プレイ用のミッションモードのほか、最大4人までの対戦モードを搭載していた。この対戦モードは、最近ではやや見かけなくなったスプリットスクリーン(画面分割)式となっている。コントローラーを4つ持ち寄り、ひとつの画面を4つに分割してワイワイ楽しむわけだ。当時を経験した方々にとっては、懐かしい思い出のひとつかもしれない。しかし、この画面分割対戦には大きな欠点がある。仕組み上、どうしてもほかのプレイヤーの画面が丸見えなのだ。つまり、お互いの状況が、少し目を脇にやるだけでつぶさにわかってしまうのである。

任天堂公式サイトより画面分割対戦の様子。画像の小ささが、時の流れを物語る

こうした仕組みに対しては、ユーザー側でさまざまな取り組みがなされたことだろう。たとえば、「絶対に覗き見しない」と紳士協定を結んだり、ダンボールで仕切りを設けたりなどだ。しかし、やはり物理的に同じ画面を共有する以上、快適かつ完全に覗き見を防止することは難しかった。そして今回、イギリスのビデオゲーム博物館The Centre for Computing Historyが、ゴージャスな方法でもって、この分割画面を別々のモニターに出力させる“夢の対戦環境”を作り上げた。同博物館がTwitter上で、その様子を公開している。

上述のTwitter投稿動画を見ると、並々ならぬセットアップであることがわかる。まず、ゲームを動かすのはNINTENDO64実機と『ゴールデンアイ 007』のカートリッジだ。映像は液晶モニターではなく、小ぶりなブラウン管ディスプレイへと分配されて出力。1画面を機材によって4分割して、それぞれのモニターに送り込む方式のようだ。

また、動画ではこのセットアップに利用する機材の価格について“8 grand”と言及している。これは8000英ポンドあるいは8000米ドルを指す砕けた表現だ。つまり、いずれにせよ日本円にして100万円分以上の機材によって、贅沢な個別画面『ゴールデンアイ 007』対戦が成り立っているわけである。こうした試みは今までにもあったかもしれないが、NINTENDO64実機かつ今や貴重なブラウン管による別画面対戦は、かなりスペシャルな構成だろう。

この特別対戦環境は、同博物館にて現地時間5月7日に開催される、『ゴールデンアイ 007』25周年特別開発者トークセッションのために構築されたそうだ。周年のお祝いの意味も込めての、豪華セットアップなのだろう。同イベントには前述のHollis氏のほか、David Doak氏やBrett Jones氏ら、元主要開発者たちが登壇。本作開発当時のことなどが語られる予定だ。

なお、特別対戦環境は、モニターを覗き見られない配置にされた上でお披露目されるようだ。また、このイベントの模様は録画され、同博物館のYouTubeチャンネルにて後日公開される予定とのこと。さらなる開発秘話や、『ゴールデンアイ 007』別画面対戦の様子が見られるかもしれない。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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