Appleが「2年以上アップデートのないアプリ」をストアから削除しようとする動き。更新がなければ機能していても消す
Appleは、App Store内の更新がないアプリに対して、削除プロセスを厳格化しはじめているようだ。2年以上更新のないアプリやゲームが対象となっている模様。海外メディアThe Vergeが報じている。
Appleは2016年に、古くなったアプリを販売ページから削除するプロセスを実施することを発表していた。それにあわせて、Appleのアプリ開発者向けサイトでは、「正常に機能しなくなったAppや最新の審査ガイドラインに準拠していないApp、古くなったAppを削除する」と説明されていた。
この方針が今になって、より厳格なものになりはじめているようだ。先日から、複数のアプリ開発者が、削除通知を受け取った、あるいは開発したアプリが販売ページから削除されたことを、Twitter上で報告している。Protopop GamesのRobert Kabwe氏もそのうちの1人だ。同氏の手がけた、2年以上更新のなかった無料ゲーム『Motivoto』に対して、Appleから通告が届いたようだ。
App Store改善通知と題されたメールには、「このアプリは長期間更新されておらず、30日以内に販売ページから削除されます」との記載がある。アップデートが30日以内におこなわれない場合、該当するアプリは販売ページから削除されるようだ。そのあとは、新規ユーザーが該当するアプリを見つけてダウンロードすることができなくなるという。なお、すでに該当するアプリをダウンロードしているユーザーについては引き続きアプリを利用できるとのこと。
Robert Kabwe氏は同ツイート内で、今回のAppleの処置に対して苦言を呈している。App Store向けにリリースされているコンソール版ゲームについては、2000年発売のものでも依然として販売中であることを指摘。つまり、ほかのストアはこうした削除はされていないと言いたいのだろう。Appleの削除プロセスが、インディー開発者にとって不公平な障害であるとした。
同氏のツイートへのリプライには、削除通知を受けた、あるいはアプリを販売ページから削除された開発者たちが声を寄せている。Bobby Wolfe氏も、2年間更新していなかったアプリが削除されたことを報告。同アプリはすべてのデバイスで動作していたうえ、ダウンロードもされ続けていたとのこと。同氏によると、開発者にとって、ストアで販売継続するためだけに、現行のプロジェクトを中断して旧作のアップデートを用意するというのは難しいとのこと。実際に、ほかのリプライからもその実情は確認できる。Simen Øian Gjermundsen氏は、先月中にアップデートを用意する時間がなかったため、完全に機能していた子ども向けゲームアプリが削除されたという。
ほかにも、削除通知を嘆く開発者の声はある。Emilia Lazer-Walker氏も、Appleから同様の通知を受け取ったうちの1人だ。同氏はツイートの中で、「ゲームは完成された著作物として存在していいはずだ」と主張。無料アプリは継続的なアップデートやライブサービスをおこなうことが難しく、そもそも何年も前に完成したアートワークである、としている。
今回のAppleの方針には、「ニーズに合った高品質なAppをユーザーが簡単に見つけられるようにするため」という目的がある。実際に、iPad Airなどの高解像度デバイスに対応していないアプリやゲームはApp Store上で配信されている。最新の仕様にあわせた優れたアプリが埋もれないように、アップデートされない古いものを削除していくという考えだろう。
とはいえ、開発者いわく完全に機能していたとするアプリが削除されているのは、見過ごせない点。30日という短い期限設定も、アプリ開発の実情に則していないようだ。開発者の声を受けて、削除プロセスに配慮がなされることはあるのだろうか。今後の動向に注目したい。
なお、今月はじめには、Google Playも同様の方針を発表している。Google Playストア内のすべての既存のアプリに対して、最新のメジャーリリースから2年以内のAPIを対象にアップデートすることを求めている。この方針は、ストアから入手できるソフトウェアが、Androidの最新のプライバシーおよびセキュリティ機能を確実に利用できるようにするためであるという。期限は2022年11月1日までとされているものの、6か月の延長も申請可能とのことだ。