『エルデンリング』にて“変装で侵入者を騙す”プレイヤーが話題。偽ゴドリック兵、黒髪の剣士を欺く
『エルデンリング』にて、敵対プレイヤーである侵入者を“変装”で欺く様子が話題となっている。こだわりの衣装と演技で、AIにより動くNPCを演じきり、敵対プレイヤーをやり過ごしたのだ。本作のシステムと相手の不注意が呼んだ、ちょっとした奇跡のような一幕となっている。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけた新作アクションRPG。プレイヤーは広大な狭間の地を舞台に、さまざまなロケーションの探索や、強大な敵との戦いなどが待つ冒険の旅に繰り出すのだ。ダンジョン以外の道中でも、襲いくる野生動物や兵士などの脅威はフィールド上に点在している。そうした敵NPCたちは、キャンプに集って休息していたり、一定ルートを巡回していたりと振る舞いもさまざまだ。また、松明を掲げて周囲を警戒する、熱心な歩哨もいる。
そして、状況に応じて時たま訪れる脅威が、敵対プレイヤーである侵入者だ。本作ではマルチ協力プレイ中や、マルチプレイ人数増加アイテム「嘲弄者の舌」を使用している場合、敵対プレイヤーがゲーム内に侵入してくるリスクが発生する。侵入者は、エリアに存在する敵NPCの攻撃やターゲットを受けず、むしろ一丸となって襲いかかってくる場合もある。侵入されたプレイヤーにとって、敵NPCは敵のまま、そして侵入者にとっては敵NPCが一種の味方となる仕組みだ。
そんな本作の仕組みを逆手に取り、敵NPCに化けることで見事に侵入者を欺いたプレイヤーが現れたようだ。海外掲示板Redditの本作コミュニティ/r/Eldenringにその一部始終が投稿されている。投稿者のxdc_lis氏は、序盤エリアを巡回するゴドリック兵の歩哨を殺害。予め兵士たちから奪っておいた防具を身につけることで、ストームヴィル城を守るゴドリック兵にまんまと成り済ましたのだ。さらに同氏は、歩哨が掲げる松明や、巡回ルートまでもをほぼ“完全コピー”。いかにも「プレイヤーではありません」といった風情でしれっと風景に紛れ込んでいる。敵対プレイヤーの侵入を促すため嘲弄者の舌を使用し、騙すターゲットを待ち構えた。計画的犯行である。
やがて、ひとりの侵入者がxdc_lis氏の世界にやってきたようだ。侵入者は無骨な特大剣を背に携え、兜をかぶらず黒髪があらわになっている。漫画「ベルセルク」の主人公であるガッツの影響が見て取れる、凄腕感があふれる油断なき姿だ。一方で、xdc_lis氏は左手に松明、右手に打撃武器セスタスを装備するのみ。もしも気づかれれば、一刀のもとに両断されるかもしれない。また、本作では、侵入者のコンパスには敵対ホストの位置がマーカーで表示される。コンパスを頼りに急接近する黒髪の剣士。一度はやり過ごしたものの、踵を返してxdc_lis氏演じる“偽ゴドリック兵”に駆け寄ってきた。極限の緊張感のなか、豪胆にも松明を掲げてノロノロと巡回する偽ゴドリック兵。するとどうだろう、黒髪の剣士は偽ゴドリック兵をスルーしてしまったのだ。
黒髪の剣士はそこそこ根気よく偽ゴドリック兵ことxdc_lis氏のことを探していたものの、やがて諦めて自分の世界へと帰還。同氏は見事に、侵入者を騙しおおせたのである。準備と度胸、そして演技力が実を結んだ会心のイタズラであった。ただ、侵入者がややうっかりさんだった点も否めないだろう。というのも、偽ゴドリック兵の演技はかなり簡単に見破られる可能性もあったのだ。まず、ターゲットロックされてしまえば、キャラクターの上にホストの名前が表示されてしまい、プレイヤーキャラだとバレてしまう。また、松明の掲げ方も敵NPCとプレイヤーキャラではかなり違う。xdc_lis氏は薄氷を踏むような賭けに勝ったともいえるだろう。
Redditの同スレッドには、侵入者本人であるというプレイヤーによるコメントが投稿されている。同プレイヤーによれば、うっかり騙された決め手となったのは松明だったようだ。「プレイヤーが明るい中で松明を掲げるわけがない」との先入観が、ある種の迷彩になったのだろう。前述の通り、松明の掲げ方は敵NPCとプレイヤーで違う。しかし、実際のゴドリック兵がどのような松明の持ち方をしていたかと聞かれると答えに窮する面もあり、意外と気づかない盲点だったといえるだろう。
『エルデンリング』にはキャラクターではなく障害物や木々などのオブジェクトに化ける方法も用意されている。そちらを利用して侵入者をだまし討ちにする動画などは、Redditでも散見される。手招きするホストについていった侵入者が、木に化けていたプレイヤーによってやられてしまう動画や、仲間と共に石像に化けて侵入者を隙を狙う様子などが投稿されている。こうした擬態を利用した対人戦の楽しみ方は、すでに多くのプレイヤーに浸透している様子だ。
しかしながら、敵NPCに化けて芝居をする今回の手法は、そうした罠を一歩先に進めたクリエイティブさも感じられる。また、本作および開発元従来作では、敵NPCやNPCの防具がしばしば手に入る。いわば“NPCのコスプレ”が可能となっており、偽ロドリック兵イタズラの実現には不可欠な要素だっただろう。もしかすると、各地の現地兵への変装により、ほかのエリアでも同様のイタズラが可能かもしれない。
発売から時間も経ち、『エルデンリング』の楽しみ方は多彩さを増している。今後も、思いもよらぬ方法で本作の面白さを引き出すプレイが発見されていくことだろう。
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