『スカイリム』にて「本でプールを埋め尽くす」狂気のチャレンジに挑むユーザー現る。基本的に暴力で書物を収集

 

The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、スカイリム)』にて、奇妙なチャレンジがコミュニティの注目を集めている。とあるユーザーが、ゲーム内の都市ホワイトランのある水場を“本”で埋め尽くそうとしているのだ。しかも特別な理由はない。海外メディアDualShockersが紹介している。

『スカイリム』は、Bethesda Softworksが手がける人気オープンワールドARPG。2011年に発売され、昨年11月11日にリリース10周年を迎えた長寿作品だ。本作はゲームプレイの幅も広く、多種多様なユーザー制作Modが利用可能なほか、やりこみプレイやスピードランもファンの間で根強い。そして先ごろ、海外掲示板Redditの本作コミュニティ/r/skyrimにて、新たな挑戦に乗り出すプレイヤーが現れた。Redditユーザー/u/PanzerkampfIV氏が1月12日、「ホワイトランの水場を本で埋め尽くす」と同掲示板にて表明したのだ。
 

 
ホワイトランは、『スカイリム』に登場する都市のひとつ。本作の舞台となるスカイリム地方でも有数の大都市であり、多くのプレイヤーが序盤から長きに渡り拠点とする場所だ。同都市には設備や店舗も充実しており、機能的なだけでなく、町並みに見どころもある。都市北東の高台では王宮「ドラゴンズリーチ」が威光を放つ。その膝下からは、清冷な流れが眼下の町に注ぎ込み、途中にはプールのように清水を湛えた水場があるのだ。そんな憩いの水場が、本をジャボンジャボンと投げ込む謎のチャレンジの場と化してしまったわけだ。

そして、『スカイリム』における本は、同作ファンにとって重要な要素である。本作の世界のなかには、神話を伝えるものから官能小説まで、多種多様な文献が存在する。スキルや呪文を学べる書籍や、クエストの起点となる本などもありゲームプレイにも絡む。また、単に世界観への理解と没入感を深めるための「読み物」としての本も多数存在するのだ。本作において内部的に「Book(本)」カテゴリーに区分されているアイテムは、実に800種類以上にのぼる。世界には同じ本が複数冊存在している場合もあり、本を追加するModまである。とにかく、プールを埋め尽くすには十分と思われる大量の書籍が存在するのだ。
 

 
PanzerkampfIV氏も、そうした書籍をコレクションするプレイヤーのひとりだったようだ。同氏は今回のチャレンジの動機について、「本を沢山集めたものの、どうしようか迷ってふざけてプールに投げ込んだ」とコメント。本を何度か投げ込んでいるうちに、プールを埋め尽くそうと決意したそうだ。同氏の証言を聞いても、なぜ決意したのかは理解しがたい。しかし、挑戦とはそういうものかもしれない。

現実であれば、本を水場に投げ入れればべしょべしょになって台無しになってしまう。しかし『スカイリム』世界では心配は不要だ。プールに投げ入れられた本は、ずっと読める状態のまま水面にぷかぷかと浮かぶことになる。PanzerkampfIV氏は挑戦開始からしばしばプールの状態を報告しており、挑戦3日目にはすでにかなりの量の本が水面をたゆたっている。じっと見ていると、なぜか味噌汁のしじみのようにも見えてくるから不思議だ。とにかく奇妙な光景である。
 

 
そして4/5日目。大量の本を求めるPanzerkampfIV氏は暴挙に出ることになる。魔術師の教育機関であるウィンターホールド大学を襲撃したのだ。同大学は、災害に見舞われ荒廃したウィンターホールドにおけるほぼ唯一の学び舎であった。PanzerkampfIV氏は首尾よく大量の書籍をかっぱらい、同地方にて3000ゴールドの懸賞金をかけられたという。そして、奪われた書籍はすべてプールにドボンである。大学職員や学生の気持ちを思うと心が痛むものの、チャレンジのためには仕方のない犠牲だろう。
 

 
そして同氏は、チャレンジ6日目にはフェルグロウ砦を襲撃し「本を救い出した」と供述。さらなる多数の本をプールに投げ込んでいる。なお、フェルグロウ砦には多くの魔術師が居住しているほか、上述のウィンターホールド大学から盗み出された書籍も複数存在している。つまり、泥棒された本をさらに強盗した格好である。そして狂気の本収集は、PanzerkampfIV氏自身をも蝕んでいくことになる。本が一か所にありすぎて、ゲームのフレームレートが低下しはじめたのだ。

同氏は1月21日には、プールの様子を収めた動画を投稿している。まるで亡者が血の池から手招きするように、本がぷかぷかと上下しているのが印象的だ。フレームレートはもはや紙芝居のようで、頑張ればストップウォッチと目視で秒間フレーム数を数えられそうである。同氏はプールに飛び込むと、あっという間に自らかき集めた本にもみくちゃにされている。大量の本と低いフレームレートにより、水面への浮上や脱出にも難儀しているようだ。まるで本たちの呪詛の声が聞こえるようである。
 

 
一連の投稿のなかでは、次の強盗計画などもPanzerkampfIV氏とコミュニティの間で相談されている。同氏は、Modの導入のほかDLCのロケーションなどの襲撃も視野にいれているようだ。例として、大量の蔵書をほこる「ヴォルキハル城」や、超常の存在であるデイドラの王子ハルメアス・モラが支配する領域「アポクリファ」などが候補にあがっている。なお、ハルメアス・モラは設定上も記憶や知識を司っており、知識収集の権化といえる名状しがたい神的存在だ。そのためアポクリファには莫大な蔵書がある。つまり、PanzerkampfIV氏は神の書庫から本をかっぱらうことも視野に入れているのだ。同氏はチャレンジ中に奇妙なバグにも遭遇しており、こちらはコメントにて「ハルメアス・モラの怒りに触れたな」と揶揄されている。
 

 
PanzerkampfIV氏は現在もチャレンジを継続中だ。しかし、フレームレートは同氏の健康にも影響を及ぼしているようで「見ていると身体的に具合が悪くなる」とまで漏らしている。また、直近の報告である7日目の投稿では「気持ち悪くなって投稿できなかった」と報告した。挑戦の性質上、今後もゲームの重さは悪化の一途を辿ることだろう。同氏がくれぐれも健康を保ちつつ、数多の障害を乗り越え、プールを本でみっしりと埋め尽くす日が来ることを願いたい。挑戦の果てに何があるのかは、見当もつかないが。