Nintendo Switchなどのニンテンドーeショップ「予約キャンセル」をめぐる訴訟に新展開。欧州任天堂がポリシー変更を迫られる

任天堂のニンテンドーeショップにおける予約キャンセルポリシーをめぐる裁判について、新たな展開があったようだ。欧州任天堂がポリシー変更を迫られている。

任天堂のニンテンドーeショップにおける予約キャンセルポリシーをめぐる裁判について、新たな展開があったようだ。同ポリシーについては2019年、ノルウェーとドイツの消費者機関が、EU法に違反しているとして任天堂を相手取り提訴。裁判所は訴えを棄却したが、控訴審にて判断が覆ったという。ドイツの消費者団体vzbvが12月6日に発表した。


Nintendo Switchのゲームなどをダウンロード購入できるニンテンドーeショップでは、以前は予約購入した商品をキャンセルして返金を受けることはできなかった。一方、SteamやPlayStation Store、Microsoft Storeといったほかの主要プラットフォームでは、適用条件はさまざまであるものの予約キャンセルに対応している。ノルウェー消費者委員会は、消費者の権利を守る観点からこうした状況を調査。そして2019年に欧州任天堂を相手取り、同社が拠点を置くドイツのフランクフルト地方裁判所にてvzbvと共同で裁判を起こした。

この裁判の争点となったのは、予約購入したユーザーはどの時点で“サービスを提供された”と見なすのかだった。つまり、事前ダウンロードによってユーザーがコンテンツを受け取った時点なのか、それとも発売日を迎えてユーザーがゲームをプレイ可能になった時点なのかということだ。任天堂は前者を主張し、サービスの提供後であるとして予約キャンセル不可としたポリシーの正当性を訴えた。そして一審では、裁判所は任天堂の主張を支持し、違法性はないとして原告の訴えを棄却した(関連記事)。

これに対し原告は上訴。今回の判決にて裁判所は、事前ダウンロードしたゲームは発売日まで動作しないことを挙げ、それまではサービスが提供されたと見なすことはできないと指摘。そのため、14日以内におこなったオンライン購入は理由を問わずキャンセルできると定めたEU法は依然として適用されるとして、任天堂にポリシーの変更を命じた。これに違反した場合は、任天堂は1件あたり最大25万ユーロ(約3200万円)の罰金を支払うか、ゼネラルマネジャー職のスタッフが最大6か月収監されるとのこと。


なお裁判所は、任天堂が判決を受け入れて、すでに対応をおこなっていることにも言及しているという。ただ、現時点ではどのようなかたちに反映されているのかは不明。少なくとも、公式サポートサイトの記述からは変更は確認できない。

ちなみに任天堂は昨年9月、すなわち一審の判断が下った後に、予約キャンセルについての新たなポリシーを導入している。先述したように、それまでは一切キャンセル不可としていたが、発売日の7日前までであればキャンセルできるように変更したのだ。7日前というのは、予約購入の決済がおこなわれるタイミングである(関連記事)。

今回裁判所が言及した任天堂による対応はこのことを指しているのか、それともまた新たなポリシーが導入されるのかが気になるところだ。現状では、発売日の7日前以降だと予約はキャンセルできないことになっている。もし今後さらなるポリシー変更が実施されるのであれば、EU圏外にも適用されるのかも注目されそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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