『ポケモン』ダイパリメイク、15分台でクリアされる。1.1.1に残ると決めた猛者たちの孤独な疾走
『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール(以下、ポケモンBDSP)』では12月2日、バグなどを修正するアップデート1.1.2が配信された。不具合の修正は、バグ利用スピードラン(RTA)に利用されるバグにも及んでおり、既存のバグの多くが改善された。しかし、本作バージョン1.1.1での猛者たちによる挑戦は、依然として続いているようだ。
『ポケモンBDSP』は2006年にニンテンドーDS向けに発売されたRPG『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』のリメイク作。本作はオリジナル版に忠実なゲームプレイが評価される一方で、バグなどの報告も相次いだ。そのため、バグ利用のAny%(達成度問わず)RTAも記録更新ラッシュが続いていたのだ。しかし、12月2日にはアップデート1.1.2が配信されたことで、RTAの重要バグも修正されている。アップデート配信直前には、海外スピードラン走者Werster氏が世界記録を更新。17分17秒というタイムを、アップデート前の最後の記録として残していた(関連記事)。
では、アップデートの配信を受けてバージョン1.1.1での記録更新は終わったのだろうか。答えは否だ。スピードランの世界では、走者が同じタイトルの別々のバージョンを確保しておくことは珍しくない。仕様によってタイムに影響が出るためだ。『ポケモンBDSP』も例にもれず、自動アップデートを回避して、多くのスピードラン走者がバージョン1.1.1を確保していた。アップデート1.1.1に“残った”とも言えよう。そうして旧バージョンの世界に残ることを決めた猛者たちの疾走が、いまだ続いているのだ。たとえば海外スピードラン統計サイトSpeedrun.comでは、上述のWerster氏の後にも記録が更新され続けている。同サイトでの世界記録は、記事執筆現在16分14秒である。
しかし、実をいえば16分の壁さえもすでに破られている。昨日12月5日、15分40秒のクリアタイムが打ち立てられたのだ。記録を出したのは、日本のスピードラン走者である、つぬ氏だ。同氏は世界記録を更新しながらも、抜きつ抜かれつの熾烈なタイム争いを繰り広げていた。また、つぬ氏は本記録について「更新の余地がある」と述べており、近いうち、さらにタイムが短縮される見通しを伝えている。バージョン1.1.1という戦場にはまだまだ可能性が眠っているのだ。
つぬ氏は現在も、タイム更新に向けてひたすら走り続けている。本日6日のRTA配信は、記事執筆中のいま放送時間4時間半を突破しており、自身で記録を更新する可能性も十分にありそうだ。また、海外スピードラン走者であるPulseEffects氏は、1.1.1での新テクニックを見つけたとTwitter上で言及。同テクニックの動画公開を予告するなど情報共有にも余念がない。スピードラン配信も依然としておこなっており、起動直後にゲームが強制終了して「クラッシュ%世界記録更新だ!」とおどける様子も見せている。バグ利用Any%に戦う意味を見出した国内外の一部スピードラン走者たちは、1.1.1に残りタイム短縮にしのぎを削っているのだ。
アップデート後も猛者たちによりタイム更新の進む『ポケモンBDSP』。ポケモン公式Twitterアカウントは、アップデート1.1.2について「本ソフトを遊ばれる方は、必ずダウンロードをお願いいたします」と適用を強く推奨している。一般ユーザーはありがたく不具合修正の恩恵を受けた方がよいだろう。破壊的なRTAは、バージョン1.1.1で信じた道を往くスピードラン走者たちに任せよう。
『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』は、Nintendo Switch向けに現在発売中。