『ピクミン ブルーム』では名付けにタグが使えちゃう。カラフルな名前にできるのは、意図的か不具合か
任天堂とNianticが共同開発した、モバイル向け位置情報ゲーム『ピクミン ブルーム』。11月1日にリリースされた本作にて、ユーザーが早速ある発見をしたようだ。本作では現在、「タグ」を使ってピクミンの名前テキストを編集できてしまうのだ。背景には、本作が利用しているエンジンの仕様があると見られる。
『ピクミン ブルーム』は任天堂のゲームシリーズ『ピクミン』を題材にした位置情報ゲーム。本作においてピクミンは、プレイヤーに追従してアイテムの捜索などをしてくれる。プレイヤーの位置情報は、現実のものがゲーム内にも反映される。つまり、実際にピクミンとお散歩している感覚が味わえるのだ。ピクミンにはそれぞれ好きな名前を付けることも可能。ちょこまかと愛らしいピクミンにさらに愛着が湧くシステムとなっている。そして、ピクミンの名付けには「タグ」が使えることが判明。ピクミンに色とりどりの名前を授けるユーザーも現れた。
タグとは、ウェブサイトを記述するHTMLなどで用いられる技術。一部タグは、テキストに「この文字は赤色」「この文字は大きく」などのスタイルを適用するのにも利用される。例として「<color=red> 赤字< /color> 」のように、文字を任意のタグで囲む形式が基本だ。この場合は、「文字色を赤として表示する」という意味になる。今回のケースだと、ピクミンの名前の色を変更してるのは、HTMLではなくゲームエンジンのリッチテキスト機能だ。
『ピクミン ブルーム』は、ゲームエンジンUnityをベースに開発されている。Unityにはテキストにさまざまなスタイルを適用するリッチテキスト機能が備わっている。本来は開発者が会話文の編集などに利用する仕組みだ。しかし、今回の場合はユーザーが自分で好きなタグをピクミンの名前に入力。リッチテキストを利用してピクミンの名前を彩れてしまうのだ。筆者も実際に『ピクミン ブルーム』でどのようなスタイルが利用できるのか試してみた。まず、名前の彩色とイタリック(斜体)については問題なく利用できるようだ。
そして、名前の文字サイズについても編集してみた。まずできるだけ小さくしてみたところ、視力検査の如きミクロサイズに。逆に大きくしてみたところ、ある程度までは文字を大きくできた。しかし、一定サイズを超えると表示されなくなってしまうようだ。さらに限度を超えて巨大化してみると、表示に大きな空白が生まれる結果となった。
ゲームではしばしば、ユーザーが入力したテキストには「サニタイジング」と呼ばれる処理が施される。上述のようなタグがゲーム内にそのまま反映されると、レイアウトの崩れや不具合を招く可能性があるためだ。特に、マルチプレイゲームのチャットなどでは、荒らし行為を防ぐため厳密にタグ利用が禁止されるケースが多い。一方で、文字に太字や彩色を施すなど、一定のテキスト装飾が許される場合もある。
今回の『ピクミン ブルーム』の挙動は、開発元の意図なのか、あるいは不具合なのかは不明だ。同開発が手がけた『ポケモンGO』においても、本作と同様の現象がかつて起きていた。しかし、そちらは現在修正されており、ポケモンの名称にリッチテキストは利用できなくなっている。また、一部タグでレイアウトが崩れてしまう点からも、開発上の不具合と考えるのが妥当だろう。カラフルなピクミンに色付きの名前を与えられるのは楽しい。また、現状の本作の仕様では他人に迷惑をかける心配もほぼない。しかし、タグを利用する場合は後の修正や不具合も考慮した方がよいだろう。不具合として深刻性が低いことから、仕様は認識されるも対応が後回しになっている可能性もありそうだ。
余談となるが、今回と逆のケースとして「タグが適用されず丸見えになってしまう」ケースも存在する。先ごろには、国内ユーザーが『Baldo: The Guardian Owls』での奇妙な挙動をSNS上で報告。お爺さんが謎のタグを喋る様子が反響を呼んだ。主人公「バルド」の名前を強調したかったものの、ミスによりタグ丸出しになってしまったと見られる。なお、こちらの作品もUnityで制作されている。とはいえ、タグ指定のリッチテキストはUnity特有ではなく、Unreal Engineなどほかのゲームエンジンでもサポートされている。ゲーム内で同様の現象に遭遇したら、優しく受け止めつつ開発者に進言するとよいだろう。
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